古典と革新の融合! 歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』‐歌舞伎界が魅せる圧巻の舞台

提供:松竹株式会社

『朧の森に棲む鬼』は、松竹と劇団☆新感線がタッグを組み、市川染五郎さん(現:松本幸四郎さん)がライを演じ、2007年に初演されました。
今回は、2015年の『阿弖流為』以来となる“歌舞伎NEXT”の第2弾として新橋演舞場に凱旋!2007年の公演は「劇団☆新感線with市川染五郎」でしたが、今回は“歌舞伎NEXT”としての公演。キャストのほとんどが歌舞伎役者で構成されています。さらに、今回は松本幸四郎さんと尾上松也さんとのダブルキャスト!2人が演じるライの違いにも注目が集まります。

幸四郎さまに会いに!いざ、新橋演舞場へ

2007年の「朧の森に棲む鬼」は、ゲキ×シネでしか観ることができなかった私。今回こそは!と、動く松本幸四郎さんを生で拝見すべく、新橋演舞場へ行って参りました!

チケットを取るのが少し遅れてしまいましたので、悩んだ末に3階のセンター席を予約しましたが、結果的に3階での観劇が大正解でした。舞台全体をしっかりと堪能することができました。3階席がなぜ大正解だったのか…それは後ほど。

ドキドキとワクワク!歌舞伎初心者でも心配なし!

松本幸四郎さま、ルンル〜ン♪♪とウキウキしながらも、ふと「歌舞伎NEXTとはいえ、歌舞伎初心者だけど大丈夫か…?」と、ちょっぴり不安がよぎりました。同じような不安を抱えている皆さん、ご安心ください!!歌舞伎初心者でも心配することなく、楽しむ事が出来る舞台になっています。歌舞伎!と、構える必要はありません。

ただ、より深く楽しむためには、事前に配役をしっかりと把握しておくことをお勧めします(当たり前ですが…)。過去に「阿弖流為」も映画館で観ていて、初演の「朧の森に棲む鬼」もゲキ×シネで観ているので、油断してしまいましたが、正直に言うと、幕間に改めてパンフレットを見て配役を確認しました(苦笑)。というのも、歌舞伎界に馴染みが薄かったので、お一人お一人の顔を見分けることに少し苦戦してしまいました。
そして、尾上松也さま…ずっと探していましたが、気づくことが出来ませんでした…(反省)。一方で、劇団☆新感線の作品をたくさん観ているおかげで、幸四郎さんの次に気がついたのは「殺陣の川原さん」でした(笑)。川原さんはすぐにわかりました!(なぜかドヤ顔)。


提供:松竹株式会社

新歌舞伎ならではの演出が光る!新しいエンターテイメント!

初演と比較するわけではありませんが、歌舞伎ならではの演出が満載で、歌舞伎初心者の私は興味津々でした。3階センター席だったこともあり、舞台全体を隅々まで観察することができました。拍子木、三味線、太鼓(実際には見えませんが)など、歌舞伎ならではの演出と、劇団☆新感線のようなカッコよく、迫力のある演出が絶妙に融合し、どちらとも違う、新しく、カッコいい舞台だと感じました。

そして、歌舞伎界の皆様、本当に所作が美しく動きにはキレがあり、どのシーンを取っても目が離せません。

参考に初演の配役と今回の配役をまとめてみました。
私は、舞台を観ながら、あの役は古田新太さんで・・、あの役は高田聖子さんだから・・と、脳内でマッチングしていました(笑)。

配役 2007年(劇団☆新感線) 2024年(歌舞伎NEXT)
ライ 市川染五郎(当時) 松本幸四郎/尾上松也
サダミツ 小須田康人 松本幸四郎/尾上松也
ツナ 秋山菜津子 中村時蔵
シキブ 高田聖子 坂東新悟
キンタ 阿部サダヲ 尾上右近
シュテン 真木よう子 市川染五郎
アラドウジ 川原正嗣 澤村宗之助
ショウゲン 河野まさと
大谷廣太郎
マダレ 古田新太 市川猿弥
ウラベ 粟根まこと 片岡亀蔵
イチノオオキミ 田山涼成 坂東彌十郎

「歌舞伎×シェイクスピア」古典×古典が作る新しく、誰もが楽しめる物語

物語はシェイクスピアの名作「リチャード三世」を下敷きとしたダークヒーローが描かれています。歌舞伎やシェイクスピアと聞くと、難しく感じるかもしれませんが、ご安心ください!中島かずきさんといのうえひでのりさんのマジックでしょうか?本当に誰でも楽しめる作品になっています。魔物との取引で得た力で王の座を手に入れようとするライの姿は、時に「やりすぎじゃない!?」と思ってしまうほど。怒られてしまいそうですが、一瞬、韓国ドラマかと思ってしまうような展開も…(笑)。


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夢の実現!?松本幸四郎&市川染五郎の親子対決!

この作品の見どころの一つは、迫力満点の殺陣!さすがの一言です。特に、ライを松本幸四郎さんが演じている公演では、市川染五郎さんとの親子対決が実現!お互いに遠慮がないように感じます。市川染五郎さんの美しさと、松本幸四郎さんのカッコよさ!これはぜひ、生で観ていただきたいです!

お茶目すぎる坂東彌十郎さん!

個人的なイチオシシーンは、坂東彌十郎さんが登場するシーン!ここは敢えて語りません!ぜひ劇場で確認して欲しいです。歌舞伎ですので、やはり花道が見える席がおすすめです。過去に花道が全く見えない席(お安い席)だったこともあるので、慎重に席を選びました。しかし、今回は花道が見えるかどうか、少しギリギリの席だったので、精一杯背筋を伸ばして観劇しました(笑)。それでも、観ることができて本当に良かったです。登場シーン以外も、終始お茶目で素敵な坂東彌十郎さんに、すっかりファンになってしまいました。

坂東彌十郎さん以外のシーンでも花道は沢山使われますので、座席からの見え方を事前にチェックしてお席を選ぶことをお勧めします!


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こんなところにワイヤーが!?想定外の出来事に大興奮(笑)

幕間後、ふと下手に目をやると、ワイヤーが視界に入ってきました。「あれ?こんなところにワイヤーなんてあったかな…?」と、考えながら観ていると…おや?もしや…と!!何やら花道で準備をしている気配・・・。再び、これ以上は語りませんが、3階席ばんざーい!と叫びたくなる瞬間でした。やはり映像化を待たずに劇場に足を運んで本当によかったな・・と思いました。もちろん、映像作品も楽しめますが、やっぱり生の良さがありますね。ワイヤーを使った演出以外にも、水を使った演出もあったので、その迫力を感じることができるのも、生での観劇ならではだな・・と、多数のゲキ×シネ作品を鑑賞してきたからこそ感じることが出来ました。
※映像化については、現時点ではまだ発表されていません

ゲキ×シネ作品を観ていて水を使った演出がずっと気になっていたので、今回観ることが出来て、個人的には夢が叶ったような感覚でした。

歌舞伎ならではの女形中村時蔵さんと坂東新悟さんは、所作も含めとても美しく、目が離せないあっという間の3時間半でした。

尾上松也さんのライも気になる!リピート確定!?

噂によると、松本幸四郎さんと尾上松也さんでは、同じライでも雰囲気が全く異なるそう…これは気になりますね!
次は、尾上松也さんのライも観に行きたいと思います!その際、サダミツ役の松本幸四郎さんをきちんと認識できるかは…ちょっと自信がありません(苦笑)。

生で観る魅了を十分に堪能させてもらった今回の観劇でした。


提供:松竹株式会社

(文:松坂柚希)

公演情報

歌舞伎NEXT「朧の森に棲む鬼」

作:中島かずき
演出:いのうえひでのり

〈出演〉
ライ:松本幸四郎/尾上松也
サダミツ:松本幸四郎/尾上松也
ツナ:中村時蔵
シキブ:坂東新悟
キンタ:尾上右近
シュテン:市川染五郎
アラドウジ:澤村宗之助
マダレ:市川猿弥
ウラベ:片岡亀蔵
イチノオオキミ:坂東彌十郎

◻︎東京公演
公演日程:2024年11月30日(土)~26日(木)
会場:新橋演舞場

◻︎福岡公演
公演日程:2025年2月4日(火)~25日(火)
会場:博多座

公式サイト
https://oboro-no-mori24-25.com/

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