serial number11『神話、夜の果ての』が7月5日(金)から東京芸術劇場シアターウエストで上演される。
serial number11『神話、夜の果ての』では、本来幸福や安寧を得るための「信仰」が、多額の献金や過度の献身などが起り、狂信化していくことがあることに着目。それはどこで一線を越え、カルト化し、暴力へと転じていくのかをテーマに描く。カルト宗教の子供たちという視座を通じ、そのすべてを演劇のかたちで問いかける。
出演は坂本慶介、川島鈴遥、田中亨、杉木隆幸、廣川三憲。
ものがたり
青年は目を覚ますと、精神病院にいた。自分がなぜここにいるのか、自分が誰なのかさえ青年はわからない。そばにいるのは、精神科医と夢とも現実ともわからない少女である。
ある日、精神科医の元を弁護士が訪ねてくる。国選で青年の弁護士となった彼は、保護室にあり「心身喪失状況」の青年と面会することもできていない。
4人の会話は迷走し、もつれ、記憶と現在と精神を行ったり来たりしながら、青年の苦しみと、結果犯してしまった犯罪のかたちが浮かび上がる。
詩森ろば
神を持つという生活をしたことがありません。なので1995年に起った事件に足元が崩れ落ちるような衝撃を受けました。高校の同級生にいそうな同世代の頭のよい、優し気な若者たちが起こした無差別テロ事件。しかし演劇にすることもなく30年はあっという間に過ぎました。そこにまたひとつの衝撃的な事件が起こりました。書かなきゃいけないんじゃないか、と思いました。
と同時に、何十年も前に、うちの母と祖母が、不思議な集会に出ていた姿を不意に思い出したのです。たくさんのひとが泣きながら自分を救ってくれた奇蹟の話をしていた。小学生のわたしはその様子を窓の向こうがわから見ていた。
「ムカンケイナンカジャナカッタジャナイカ」
寄る辺ない夜、母が恋しくて自分の身体を傷つけていないと保てなかった子供や、朝、満員電車の中で、ビニール袋に傘を突き立てた若者が、わたしがどこかで捨ててきたもうひとりの自分なのだとしたら。わたしは書こうと思います。山奥にある「ニューヘイブン」という架空の宗教施設、そこで育った子供たちの物語を。
詳細は公式サイトで。
https://serialnumber.jp/
(文:エントレ編集部)
serial number11
『神話、夜の果ての』
【作・演出】詩森ろば
【出演】坂本慶介 川島鈴遥 田中亨 杉木隆幸
廣川三憲
2024年7月5日(金)~7月14日(日)/東京芸術劇場シアターウエスト
公式サイト
https://serialnumber.jp/