舞台なんだけどノンフィクションのような感覚　ただただ笑いながら観劇できました！『SHINE SHOW!』観劇レビュー

舞台なんだけどノンフィクションのような感覚　ただただ笑いながら観劇できました！『SHINE SHOW!』観劇レビュー

のど自慢大会やカラオケ大会ってテレビやイベントで昔からしばしば目にするけど、プロではない人がプロ並みに上手かったり、下手だけど楽しく歌う姿に共感することがあってつい見ちゃったりするんですよね。
本作はもちろん舞台だしプロが演じているんだけど『意外とこういう人がいたりするよなぁ』なんてリアルに感じられる部分も多々あり、舞台なんだけどノンフィクションのような感覚で、全く肩肘張らずにただただ笑いながら観劇できました！
（ネタバレあり）

開場中からややふざけた雰囲気の影アナからのショウ的な導入、花吹雪がシュレッダーされた書類だという巧妙な設定で笑いが生まれてから、観客があっという間にコメディの世界観に引き込まれたのがわかった。
始まる前は眠たくて仕方なかった自分もワクワクし始めて目が覚めた！（笑）

カラオケ大会運営側の都合とか関係なく、出場者たちの事情という名のワガママ（？）が飛び交う現場で、“出場者が主役”という考えを貫くカラオケ大会を運営するベテランの鈴木（朝夏まなと）。

降り掛かるトラブルを言葉巧みに解決し、仕事に不慣れな若手社員の加瀬（小越勇輝）のミスもカバーしたりとその仕事っぷりが光る。が、それじゃあコメディ作品にならない！

一度は解決した問題も時間が経てば再浮上する状況に、モグラ叩きのように必死に潰そうと戦う鈴木の姿がおかしく、また気がつけば加瀬が出場者に肩入れして更にややこしい状況を作るドタバタ感がますますおかしく。出場者が運営のことを考えず個人の事情を通す姿が、素人っぽくてリアルに感じたのは自分だけかな？（笑）

今回特に印象的だったのが、恋人にプロポーズを考えている中川晃教さん演じる和歌山。
自分の都合をズケズケと伝える個性的な姿がドツボでした！中川さんの芝居を全て観てるわけではないけど、これまで沢山の名作で素敵な役を演じてる印象が強すぎて、今回とのギャップが半端ない！

和歌山の行動も始めはただのワガママという印象が強かったけど、彼の必死な行動に徐々に感情移入していて、いつの間にかめちゃくちゃ応援してたし、なんだか泣きそうになりました。そして彼の結末がめっちゃ気になってます ←観劇した方は分かりますよね？ 今回は歌うシーンが少なかったけど、かなり満足しました！

和歌山以外も必死な方がたくさん出ます。自己顕示欲が爆発している元アイドルだけどアイドル扱いされない琴浦（花乃まりあ）だったり、

身バレを気にしているのに出場することになってしまったVtuber笛木（栗原沙也加）だったり、

カラオケ大会が好きすぎてリモートで勤務しているフリしてボランティアスタッフをしている秋野（前田友里子）だったり、

キャラが強烈な上に今っぽさも取り入れた脚本に新鮮さを感じた！
Twitterを「X」と言い直した（アドリブ？）タイミングも絶妙で思わず笑った！

終わりに近づくにつれ『それぞれの事情がどうやって解決して行くんだろう』という伏線回収の楽しみが増すばかりだったけど、全て気持ちよく落としてくれてとても爽快！
全体を通してライトだけど丁寧な作りだし、笑えるはずのシーンも登場人物の頑張りが時に切なくもカッコ良くも見えたりして、何度でも楽しめる作品だなと感じました。特にラストの朝夏さんの姿は必見です！

脚本の冨坂友さんが主宰するアガリスクエンターテイメントは“劇場でウケること”を重視している劇団で小劇場でも大活躍しているし、この先もまだまだ面白い作品を提供してくれそうな予感がしました！

公式サイトはこちら。
https://www.tohostage.com/shine_show/
　（文：かみざともりひと）