ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

スピード感のある演出とおしゃれな音楽が素敵! ミュージカル『SPY×FAMILY』観劇レビュー

ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社スピード感のある演出とおしゃれな音楽が素敵! ミュージカル『SPY×FAMILY』観劇レビュー

「『少年ジャンプ+』で面白い漫画が始まったよ!」と、『SPY×FAMILY 』を読み終えたばかりの友人が興奮しながら連絡をくれたのを今でもハッキリ覚えていて、物語をしっかり落とし込む構成、読んでてワクワクするテンポ感、なにより愛すべき登場人物たちの“未来が見たくなる”作品に何度も読み返しちゃうほどの面白さ! あと絵も好き!! 要するに連載開始と同時に全部好きになっちゃったんですが(笑)、まさかあの帝国劇場でミュージカル作品として上演されるなんて、なんだか感慨深い…(推しのアイドルが売れたけど、遠くにいってしまったという感覚(笑))。

さて、個人的な思い入れは置いといて、今回のミュージカルではどのようになっていたのかお伝えしていきます!

ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

STORY

世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた東西冷戦時代。隣り合う東国〈オスタニア〉と西国〈ウェスタリス〉では、十数年間にわたる仮初めの平和が保たれていた。西国の情報局対東課〈WISE(ワイズ)〉所属の凄腕スパイであるコードネーム〈黄昏(たそがれ)〉は、高い諜報能力を駆使して幾度も東西両国間の危機を回避させてきた。

そんなある日、〈黄昏(たそがれ)〉は、東西平和を脅かす危険人物、東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドの動向を探るため、極秘任務を命じられる。その名も、オペレーション〈梟(ストリクス)〉。任務の内容は、“一週間以内に家族を作り、デズモンドの息子が通う名門校の懇親会に潜入し、デズモンドに接触せよ”というもの。〈黄昏(たそがれ)〉は、精神科医ロイド・フォージャーに扮し、家族を作るため《娘》と《妻》を探すことに。彼が出会った《娘》候補のアーニャは心を読むことができる超能力者、《妻》候補のヨルは殺し屋という裏の顔を持っていたが、3人の利害が一致したことで、お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなる。

案の定、変わった素性を持つ3人の《仮初めの家族》の日常はおかしなことだらけ。時には大事件に巻き込まれ、それぞれの敵や難問に立ち向かいながらも、とにかく《普通の家族》を装うために全力を尽くす3人に、世界の平和は託されたのだった・・・。

ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

主人公〈黄昏〉は「百の顔を使い分ける」変装が得意なスパイ、合理的故に冷徹な一面が際立つ。女性を騙したり、都合が悪くなればすぐに関係を切り捨ててしまおうとする思考に、もちろんこれがスパイ活動の一環だとは知っているのだけど、舞台だと酷い行動に見える。ただ手放しにそう思えないのは冒頭の〈黄昏〉の過去のシーンを知っているからだろう。この物語では完璧に見える〈黄昏〉も実は欠けているものがあり、アーニャやヨルを通じて変化をしていく様を見るのも醍醐味になっていることに気付く! 原作だけ見ていると男も惚れるクールなキャラの印象が強いのに、舞台では人間味ある人物へと変化していく様にホッコリ。自分が観劇した回は〈黄昏〉を鈴木さんが演じていたけど、これまでもクールな役から感情的な役まで演じてきた鈴木さんにピッタリ!

ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

一幕はアーニャとヨルの出会いが描かれている。アーニャは子供らしく好奇心旺盛でとても愛らしい。「理解できない」と何度も口ずさむように〈黄昏〉とは対照的な存在で、時に緊張感あるシーンでもふたりの笑えるやりとりは緩和剤のように場を和ませてくれる。シーンだけでなく初日会見でも彼女達(クワトロキャスト)は、それこそ子供らしく自由奔放に話をし、メインキャストだけでなく会場中を笑顔にしていた。本作ではアーニャも歌って踊ってと大活躍。しっかりレッスンを積んできたことが伺えるほど大人たち顔負けの演技を披露!

ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

ヒロインのヨルも “ズレた感性” の持ち主だけど、彼女が纏う独特な空気感をうまく表現されていて、漫画的な表現がリアルを帯びて何度も笑った!(唯月さんの回を観劇)
ロイド、アーニャ、ヨルとそれぞれの目的が合致し共同生活を送ることになるけど、それぞれに悲しい過去を背負っていて、彼等の幸せを願わずにはいられなくなる。

ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
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ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
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二幕では名門イーデン校に入学する為のミッションが描かれる。スパイアクション漫画とは思えない楽しいシーンの連続(笑)。「エレガンス」が口癖のハウスマスターのヘンリー・ヘンダーソンが、偽りの家族フォージャー家を見抜こうとするやり取りがコミカルで大好き!続編では是非イーデン校編をお願いします!

ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社
ミュージカル『SPY×FAMILY』製作:東宝 ©遠藤達哉/集英社

ユーリもフィオナもフランキーもシルヴィアも、漫画から飛び出したようでみんな最高だった!(書ききれずすみません)
登場人物にばかり目を奪われがちですが、大きな美術をグルグル回してスピード感ある演出や、お洒落な音楽も、あとPVがめちゃめちゃ好みでした(チェックしてください)!

ミュージカル『SPY×FAMILY』
https://www.tohostage.com/spy-family/

公演情報

ミュージカル『SPY×FAMILY』

【原作】遠藤達哉(集英社「少年ジャンプ+」連載)
【脚本・作詞・演出】G2
【作曲・編曲・音楽監督】かみむら周平

ロイド・フォージャー:森崎ウィン、鈴木拡樹
ヨル・フォージャー:唯月ふうか、佐々木美玲(日向坂46)
アーニャ・フォージャー:池村碧彩、井澤美遥、福地美晴、増田梨沙
ユーリ・ブライア:岡宮来夢、瀧澤翼(円神)
フィオナ・フロスト:山口乃々華
フランキー・フランクリン:木内健人
ヘンリー・ヘンダーソン:鈴木壮麻
シルヴィア・シャーウッド:朝夏まなと

ドミニクほか:楢木和也

新井海人、大津裕哉、小倉優佳、鎌田誠樹、栗山絵美、桑原柊、柴田実奈、島田彩、丹宗立峰、堤梨菜、般若愛実、深掘景介、福田えり、藤岡義樹、湊陽奈、宮野怜雄奈、元榮菜摘、山野靖博、ユーリック武蔵、LEI’OH

ロイドの幼少期:齋藤詠真、米本吉之介
男子児童:大澤空翔、齋藤潤

2023年3月8日(水)~29日(水)/東京・帝国劇場
2023年4月11日(火)~16日(日)/兵庫・兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2023年5月3日(水・祝)~21日(日)/福岡・博多座

ミュージカル『SPY×FAMILY』
https://www.tohostage.com/spy-family/

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