八王子ユースシアターによる舞台『全舞台一斉上演会 “TAMARIBA”』が12月16日(金)から東京・八王子市文化会館(いちょうホール)小ホールで開催される。
「八王子ユースシアター」は2021年、ディレクターに小堀陽平を迎えて「八王子学生演劇祭」からリニューアルして誕生。ユース世代対象の人材育成事業として「学生マネージャー」と「上演団体」の2つの参加枠を設け、数ヶ月のあいだ作品創作に伴走し、その成果発表として12月に『全舞台一斉上演会“TAMARIBA”』を開催する。
今年度のコンセプトは「つくる、タマリバ。」。若者たちが集い、出会い、たまることのできる場づくりをめざす。主催は公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団。
上演団体は、同じ財団の演劇プログラムである演劇ネットワークぱちぱち(プロデューサー:中込遊里、ディレクター:早坂彩)、都立昭和高校演劇部、都立日野台高校演劇部の3団体。ぱちぱちは平井寛人作・演出『ラブ・フレンド・ランド』、京サリ作・演出『ある?ない?」の2作品、都立昭和はT・ワイルダー作『ロング・クリスマス・ディナー』、都立日野台はガラ林作『灰かぶりのエラ』を上演する。10月~11月にはそれぞれ中間発表を行い、他団体やディレクターからフィードバックやアドバイスを受けて稽古に取り組んできた。
学生マネージャーは創価大学と中央大学から計6人が参加。創作プロセスの記録や情報発信、上演会の運営に携わりつつ、数年かけてユースシアターの取り組み自体を拡げていく。
正直、僕たち大人だけでどうにかするものでもないし、どうにかできるものだとも思えません。
「学園都市だから学生や若者たちのプログラムをやる」というのが財団の考えですが、その成果を大人が用意したり約束したりするのは、学生・若者にとっても大人にとっても情けないことです。
特に今年の(ひとまず今年の)八王子ユースシアターは「つくる、タマリバ。」を標榜することにしました。もちろん大人のたまり場じゃありません。若い世代のたまり場をつくろうということです。これまで大事に大事に使われてきたであろう小綺麗ないちょうホールを、得体の知れない若者たちが用もないのにふらふら集まってくるようなたまり場にすることが目標です。
岩手の山奥に住んでいるのをいいことに八王子のいちょうホールにいたずらをしたいわけではなく、これは、「学園都市」の「公立文化施設」なんだから本来そうあるべきでしょう、そうなっていない今までがおかしかったんじゃないですか、という僕なりの問題提起です。かなり強い言い方をしているのは、この国の芸術文化状況にとっても、全国各自治体の公立文化施設にとっても、これからの日本社会を担う若者たちにとっても、どこから考えてももう先延ばしにしてやり過ごす余裕はないと切実に感じているからです。
「学生や若者を育てること」は「学生や若者のクリエイティビティを呼び醒ますこと」に他ならないと僕は考えています。でも、それは高校までの学校の授業のように大人が正解をちらつかせて導くことでは成し得ません。必要なのは「なにかが通じ合う誰かと、なんとなく一緒にいる」という状態です。めちゃくちゃ曖昧で漠然としていますが、「とりあえずそれでいいよ」と明け渡せてこそ大人だと僕は思ってます(財団のみなさんもよろしく!)。
クリエイティビティとは「つくる感性」です。人間がタマる。感性がタマる。そんなタマリバを、つくる。そのタマリバから、なにかがつくられる。
そのサイクルの原動力には演劇をつかいます。それは一応決めていますが、あとは学生や若者のみなさんにどうにかしてもらうつもりです。とりあえず今年はそれでやってみます。
本作は12月16日(金)から東京・八王子市文化会館(いちょうホール)小ホールで開催される。
詳細は公式サイトで。
https://www.8yt.net/
(文:エントレ編集部)
八王子ユースシアター2022:つくる、タマリバ。『全舞台一斉上演会 “TAMARIBA”』
2022年12月16日(金)~12月18日(日)/東京・八王子市文化会館(いちょうホール)小ホール
演劇ネットワークぱちぱち
『ラブ・フレンド・ランド』
【作・演出】平井寛人
『ある?ない?』
【作・演出】京サリ
※両日とも2作品続けて上演
2022年12月16日(金)開演19:00(開場18:30)
2022年12月18日(日)開演18:00(開場17:30)
都立昭和高校演劇部
『ロング・クリスマス・ディナー』
【作】ソーントン・ワイルダー
2022年12月17日(土)開演16:30(開場16:00)
都立日野台高校演劇部
『灰かぶりのエラ』
【作】ガラ林
2022年12月18日(日) 開演15:00(開場14:30)
公式サイト
https://www.8yt.net/
チケット
https://www.hachiojibunka.or.jp/icho/archives/eventinfo/1216-18tamariba/