【動画2分】藤木直人、マイコらが華やかに競演！ 命を掛けて生きる人々の思惑が渦巻く音楽劇『魔都夜曲』観劇レビュー

音楽劇「魔都夜曲」藤木直人、マイコ、小西遼生藤木直人、マイコらが華やかに競演！ 命を掛けて生きる人々の思惑が渦巻く音楽劇『魔都夜曲』観劇レビュー

開演時間になると、クラブ「ル・パシフィーク」のバンドメンバーが楽しげにリズムを奏で始め、歌姫やオーナーが歌でお出迎えをしてくれる音楽劇『魔都夜曲』。“魔都”という言葉に馴染みがなければ、“オシャレな大人の芝居”として気楽に観劇がスタートすることでしょう。

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“魔都”とは―舞台は1939年、上海。当時の上海はフランスやイギリス、アメリカ、日本などの列強の租界地として異国情緒が溢れる都市となっていた。人々の思惑や欲望を飲み込む多国籍の都市は“魔都”とも称された。（ストーリー抜粋）
つまり時代背景は戦時中です。とても上質なエンタメ作品として演出されている一方で、命を掛けて生きる人々の思惑が渦巻く人間ドラマが、熱く！深く！展開されます。

音楽劇「魔都夜曲」橋本さとし、秋 夢乃

「早速なにかが始まった！」という言葉をきっかけに、ドラムのリズムに合わせて緊迫感とスピード感が生まれ、場内の雰囲気はガラッと変わります。音楽劇というだけあって、芝居のテンポもリズミカルで心地よく、客入れ中には何もなかった舞台の上に、突如として現れる舞台美術も、からくり仕掛けを見ているようで胸躍ります。場内アナウンスでは「身を乗り出さないで下さい」と言われたものの、つい乗り出したくなるぐらいグッと引き込まれました(笑)。

音楽劇「魔都夜曲」藤木直人、山西 惇、小西遼生、マイコ

主人公・白河清隆（藤木直人）が、暴漢に襲われていた周志強（チョウ・チーチャン　小西遼生）と周紅花（チョウ・ホンファ　マイコ）を助けるところから物語は始まります。３人は一晩で意気投合し、清隆は彼らを通じて上海の現状を知っていく。清隆は公家の血筋に生まれ育ち、腕っ節が強く明朗快活かつ屈託のない青年。個人的に『こんなスーパーヒーローのような人間、眩しすぎて好きになれない。ボンボンはきっと痛い目に合って終わる』というのが第一印象でした(笑)。

音楽劇「魔都夜曲」

清隆は、アヘンが蔓延し貧しさで生活に喘いでいる中国人たちを目の当たりにして、戦争という大きな問題に立ち向かえるのか。行動を共にする紅花に惹かれてゆくが、この恋は成就するのか。清隆のどこまでも真っ直ぐな生き様に、いつしか自分の邪念も消えて清隆を応援していたのは、彼が自分らしく生き、なにより【戦争を終わらせたい】という気持ちに賛同できたから！

音楽劇「魔都夜曲」橋本さとし、壮 一帆

本作品は根底にあるものが重たいものかもしれませんが、だからこそユニークに生き、人間味に溢れ、オシャレに仕上がっているのだと思います。この【希望の物語】は忘れてはいけない歴史と感情を、気持ちよく観させてくれるエンタメ作品でした！

（文：かみざともりひと）