月波兎『いつものオーロラが割った夜』

【動画7分】ほんわかとした気持ちになってもらえれば/石井麗子・奥山美代子・寺十吾 月波兎 舞台『いつものオーロラが割った夜』稽古場インタビュー

月波兎『いつものオーロラが割った夜』
月波兎 第4回公演『いつものオーロラが割った夜』左から奥山美代子・寺十吾・石井麗子

月波兎 舞台『いつものオーロラが割った夜』に出演する石井麗子・奥山美代子、演出を務める寺十吾にインタビュー取材した。

 
月波兎(つきなみうさぎ)は俳優の石井麗子と奥山美代子が2023年から活動を始めた演劇集団。
2024年5月に第1回公演『いちごの沈黙。2024』をこった創作空間で上演。
その後、第2回公演『ラスト・サパー』、第3回公演『母と惑星について、および自転する女たちの記録』を上演してきた。

第4回公演となる今公演は2025年文学座公演『リセット』で大好評を博し「悲劇喜劇」などでも絶賛された新進気鋭の山崎元晴による脚本、第33回読売演劇大賞 2025年上半期ベスト5に選ばれた演出家・寺十吾が演出を手がける。

出演は、ばいきんまん役、フリーザ役などの声優として知られる中尾隆聖、2025年「ウルトラマンオメガ」のホシミコウセイ役に抜擢されてドラマ・映画にも引っ張りだこの吉田晴登、劇団温泉ドラゴンの阪本篤をはじめ、『リセット』で山崎元晴作品に主役、メイン役で奮闘した「月波兎」の石井麗子、奥山美代子などが出演する。
 
エントレでは今作の稽古場に伺い、月波兎主宰の石井麗子・奥山美代子の二人と、今作の演出を務める寺十吾にインタビュー取材し、本作の魅力について聞いた。

月波兎で好きなことをどんどんやりたい

――まず月波兎について教えてください。

奥山 月波兎(つきなみうさぎ)は2023年にこちらの石井麗子と一緒に始めました。私が50代後半になりまして、これからは長くいろいろとやるのが難しくなるかもなと思いまして、できるだけ好きなことをどんどんやりたいという思いで立ち上げました。
彼女とは某演劇研究所の同級生なんです。私は彼女の芝居がとても好きで、「麗ちゃん、一緒にやらない?」って声を掛けさせていただいた次第です。

石井 私も奥山さんのお芝居はずっと観てたんですけど、実は今まで一度も一緒にお芝居をしたことが無くて、一昨年に初めて一緒に芝居をしたんです。それがすごく楽しかったので是非一緒にやろうということになりました。

月波兎『いつものオーロラが割った夜』
左から奥山美代子・寺十吾・石井麗子

――寺十さんに演出をお願いされた経緯や意図を教えてください。

奥山 寺十さんとは、私が主宰をしているもう一つの団体・西瓜糖(すいかとう)で、12年前に知り合いました。その芝居では、寺十さんは演出ではなく役者で出演されてまして、あの時は夫婦役でしたよね。

寺十 そうでしたね。

奥山 最初のシーンは手をつないで踊ったりするような、若い時期のシーンから始まってましたよね。その後は西瓜糖で2回、私としては3回演出をしていただきました。
私は30年以上芝居をしてきましたが、「この方はすごいな」って思ったほんの何人かの演出家の中のお一人が寺十さんで、もう、とにかく寺十さんに演出をやって頂きたいと思ってお願いしました。

月波兎『いつものオーロラが割った夜』
左から奥山美代子・寺十吾・石井麗子

ある漫画家がそのまま描写する、住民の日常

――本作はどんなお話ですか?

寺十 ある集合住宅に住んでいる漫画家さんがいて、その漫画の内容が、そこに住むいろんな人たちの日常をそのまま描写したような内容になっているんです。周りの人たちは「自分のプライベートが漫画になって晒されている」と言ってすごく危惧しているんですけれども、実はよく読んでみるといろんな人生がそこにはあって、どんな辛いことや恥ずかしいことも、漫画にしてしまうと少しほんわかした気持ちになるんですよね。
この漫画に対する行き違いみたいなものが、住民たちとすったもんだを起こしてしまうという話・・・だと思います。
現時点で脚本は上がっていません!(※取材したのは10月末)

奥山&石井 (笑)

寺十 なので、本当にどんな話なのか、どこにオチがあるのかというのは、これからのお楽しみということです!
ただ、今のところまではとても面白いものになりそうな予感がしています!

月波兎『いつものオーロラが割った夜』
月波兎 舞台『いつものオーロラが割った夜』稽古風景

――お稽古をしてみていかがですか?

奥山 寺十さんが一行ずつのせりふを本当にきめ細やかに丁寧にお稽古してくださっています。ちょっとでも良くなったら「すごく良い!」って褒めてくださるので自信になります。
昔はそうでも無かったですよね。

寺十 (笑)

奥山 昔はもっと厳しかったんですよ。

石井 優しくなったんですね。

奥山 今回はものすごく優しくて、天才が大人になったって感じですかね。

石井 本当に天才ですよね。役の立ち上げ方とかでも、今まで私が想像していなかったことをパン!っておっしゃるので、びっくりしますし、お稽古していて楽しいです。

月波兎『いつものオーロラが割った夜』
月波兎 舞台『いつものオーロラが割った夜』稽古風景

大事なのはデフォルメとリアリティの両立

――演出する上で大事にしていることを教えてください。

寺十 今回に限らないんですが、「人でいてほしい」ということですね。ただ、お話を運ぶキャラクターになってしまわずに、ちゃんと「その登場人物という人」でいてほしいと特に思っています。
まあ、今回はコメディなので、ある程度デフォルメした形で演技をしないといけないところもあると思うんですが、その中できちんとリアリティも含まれていてほしい。その両立が大事なので、バランスよく組み立てていければいいかなと思っています。

――注目の共演者を教えてください。

奥山 ドラゴンボールZ の フリーザ役や、それいけ!アンパンマン の ばいきんまん役などの声をやられている中尾隆聖さんがやっぱり素敵ですね。

石井 劇団温泉ドラゴンの阪本篤さんが本当にかっこいいです!
「ウルトラマンオメガ」でホシミコウセイ役をやられている吉田晴登さんも出演されます。

月波兎『いつものオーロラが割った夜』
月波兎 舞台『いつものオーロラが割った夜』稽古風景

寺十 稽古をやっていて若い人たちにびっくりします。鈴木稲穂さん、夏川詩子さん、吉田晴登くん、阪本篤くんもそうですが、自分がやるとしたらこうやるかなとか、自分にはこう読めたとか、自分をしっかり持って挑んでくれています。
本当だったら臆してしまったり、もっと物語の役に立とうと思って頑張りすぎたりだとか、そういうことがあるんですけども、今回はあまりそれが感じられないんですね。自然体というか、よくその歳で自然体でいられるなって思う若い人たちが多いですね。

月波兎『いつものオーロラが割った夜』
月波兎 舞台『いつものオーロラが割った夜』稽古風景

どこか懐かしくて笑えるお芝居
ほんわかとした気持ちになってもらえれば

――最後に本作の見どころを教えてください。

奥山 今回はどこか懐かしくて笑える とても楽しめるお芝居になると思うので、是非 お待ちしております!

石井 人間の持っている変なところとか、でもそれが可愛らしくて憎めない。そういうところが出てくるといいなと思っています。是非、いらしてください!

寺十 自分の人生は、自分が主役なんだということを思い出させてもらえるような作品だと思います。些細なことでも絵にしたりコマにしてみると、こんなに豊かなんだっていうことが伝わるといいなと思っています。観終わって、ほんわかした気持ちになってもらえたら嬉しいです。

月波兎『いつものオーロラが割った夜』
左から奥山美代子・寺十吾・石井麗子


月波兎第4回公演 『いつものオーロラが割った夜』
月波兎第4回公演『いつものオーロラが割った夜』

 
詳細は公式サイトで。
https://tsukinamiusagi.blog.jp/archives/5836337.html

(文:エントレ編集部)

月波兎 第4回公演『いつものオーロラが割った夜』

【作】山崎元晴
【演出】寺十吾

【出演】
中尾隆聖 阪本篤 伊藤俊輔 吉田晴登
陰山真寿美 谷田奈生 鈴木稲穂 夏川詩子
石井麗子 奥山美代子

2025年11月27日(木)~12月1日(月)/東京 ザ・ポケット

公式サイト
https://tsukinamiusagi.blog.jp/archives/5836337.html

チケットを探す
https://ticket.corich.jp/apply/374301/

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