ミュージカル『フランケンシュタイン』の製作発表が行われ、出演の中川晃教、小林亮太、加藤和樹、島太星、演出・潤色の板垣恭一が登壇した。
ミュージカル『フランケンシュタイン』は、ゴシックロマンの名著「フランケンシュタイン」を大胆なストーリー解釈と流麗かつメロディアスな音楽でミュージカル化した韓国発の作品。日本では2017年に初演、2020年に再演され、2025年に新キャストを迎えて5年ぶりに再び上演される。
初演から続投する中川晃教、加藤和樹、鈴木壮麻に加えて、小林亮太、島太星、花乃まりあ、松村雄基、朝夏まなとら新キャストを迎え、2025年4〜5月に東京、愛知、茨城、兵庫で上演される。
11月某日、都内で本作の製作発表が行われた。
主演の<ビクター・フランケンシュタイン/ジャック>役をWキャストで務める中川晃教と小林亮太、<アンリ・デュプレ/怪物>役をWキャストで務める加藤和樹と島太星の4名によって劇中歌3曲が披露された。
キャストによる劇中歌の生歌唱はコチラから↓
♪「俺は怪物」by 加藤和樹
♪「偉大な生命創造の歴史が始まる」by 中川晃教
会見が始まると、演出・潤色の板垣恭一も加わり5名が登壇。
ミュージカル『フランケンシュタイン』製作発表会見
板垣恭一は「再々演という非常に光栄な公演をやらせていただけることになって喜んでおります。新しいキャストも入って、演出家としてはもう一歩新しい『フランケンシュタイン』を目指せたらなと。何よりも僕が楽しみにしています。
今回再々演をするにあたって、「ビクターがなぜ人間を生み出すところまで思い詰めたのか」というところまで、セリフを微調整して演出も一部変えようかと…そんなアプローチを今回考えています」と、初演・再演からのさらなる進化を窺わせた。
ミュージカル『フランケンシュタイン』製作発表会見
初演・再演に続き今回もビクター/ジャック役を演じる中川晃教は、再々演決定の報を受けてまず「あぁ、またこの日々が始まるのか」と思ったとコメント。「僕にとってはとても体当たりで挑ませていただく役どころです。今でも忘れ難いのですが、(2020年の再演では)ちょうど新型コロナの噂が世の中に広がってきたときに大阪公演の千秋楽を迎えた記憶があるんです。あれから時が経って今回再びということですが、この期間に僕自身、舞台に立つことや役者として役を演じること、向き合うことに対して大きく変わったように感じていて。これまで役者として自分が培ってきたものに胸を張ってビクターを表現し、そこに『フランケンシュタイン』ならではの人の心に突き刺さる実感や感動、「共感しがたいけれどもわかる」という悲哀みたいなものをより込められたらいいなと思っています」と熱く意気込みを語った。
ミュージカル『フランケンシュタイン』製作発表会見
今回が初出演で、中川とWキャストでビクター/ジャック役を務める小林亮太は、今作への出演オファーを受けた際のことを「マネージャーに『間違いじゃないですか?』と聞いたくらい、本当に信じられなかった」と懐古。
もともとこの作品が好きだったといい、「絶望だったり人が堕ちていくさまが個人的に好きな部分があって、この作品を拝見した時に『ミュージカルでここまで堕とされるんだ!』と。でも堕ちていくからこそ、ビクターとアンリの二人の間に芽生える光や、周りの役が持つ光みたいなものを捉えることができて、お客様としてもどこか救われた気持ちになれたり、感情移入できる作品だなと思いました」と魅力を語った。
中川と加藤についても「背中で見せてくださるお二人だと思うので、必死にそこに食らいついていきたいと思います」と真っ直ぐに気合いを込めた。
ミュージカル『フランケンシュタイン』製作発表会見
初演・再演に続き今回もアンリ/怪物役を務める加藤和樹は、「本当にこのフランケンシュタインという作品が大好きで、板垣さんよりも誰よりもこの再々演を楽しみにしているのは僕だという自負があります」と作品への愛情を吐露した。
「2017年の初演に臨むにあたり韓国でミュージカルを拝見した時、これは大変な作品だなと思ったのを覚えています。と同時に、なんて素晴らしい音楽、セット、お芝居なんだろうと感じたのを覚えています。自分の中でずっとずっと大切な作品なんです。今回5年ぶりということで、(中川さんとも)稽古から全く違う二人になるだろうし、新たに島くんと小林くん、ほかのキャストも加わるので、”再々演”というよりも”新作”をやるつもりで、新鮮な気持ちで挑もうと思っています」と意気込んだ。
ミュージカル『フランケンシュタイン』製作発表会見
今回が初出演で、加藤とWキャストでアンリ/怪物役を務める島太星は、出演オファーを受け「驚きが強すぎてショック死しそうになりました。震えてしまいまして…」と独特な表現で会場の笑いを誘った。
「出演が決まってから、今の僕の生きる動機が『フランケンシュタイン』なんです。命懸けで臨ませていただきたいと思っています。生きるか死ぬかでチャレンジさせていただいてもよろしいでしょうか…?」
すかさず加藤が「生きてもらわないと困るから!」とツッコみ、「はい!精一杯頑張ります、よろしくお願いいたします」と嬉しそうに応じた。
本作ならではの魅力は?
ミュージカル『フランケンシュタイン』の、他の作品と異なる”ならでは”の魅力について問われると、中川は「1幕と2幕で違う役を演じ分けることに、この作品のもう一つのテーマが込められているような気がしている」とコメント。「1幕でビクターを演じる俳優が2幕でジャックを演じることで、消化されていく」ものがあると思うと語り、「何が自分が追い求めていた理想だったのかということに到達した瞬間に、振り返ると、鏡の中の自分を見たようでゾッとするような… 今自分がいる現在地を自覚したりだとか。そういうことがしやすいように作られているところが、この作品の大好きなところです」と語った。
小林は作品の魅力として、自身がかつて今作を観て感じた「絶望、臓物を抉られる感覚」を挙げた。また、「日常を生きていて、僕らがなかなか対人で受け取ることのできないエネルギーが、ミュージカル『フランケンシュタイン』にはあると思うんです。だから僕もすごく救われる部分があって。そうした人間が生み出すエネルギーが、お客様に届いたらいいなと思っています」と気合いをのぞかせた。
加藤は、「この作品はとても暗いです。明るいシーンがほとんどなくて」と語った上で、「でもその闇の中で、光り輝くものがある作品だなと思っています。それはビクターの中にある『自分が生命の創造神になる』という希望の光だったり、その光を見たアンリの中に灯る光だったり。その小さな光たちが各シーンに散りばめられているなと思っています」とコメント。
島は、個人的に”今作ならでは”のことで言うならば、として「命の賭け方がちょっと尋常じゃないなと思います」とコメントし、作品への溢れんばかりの想いを告白。独特の表現で再び会場の笑いを誘った。
ミュージカル『フランケンシュタイン』製作発表会見
演出家から見たキャスト4名の魅力は?
キャスト4名の魅力や今作で期待していることについて聞かれた演出の板垣は、まず中川について、「あっきー(中川)は”青白い炎”の燃える男。絶大なる安心感と、どこにはねるかわからない意外感に魅力を感じています。最近僕はあっきーの演技の魅力にハマっているので、今回そこをもう一回作り直してみようかなと。ビクターの強さと弱さが見えると面白いなと思っています」と期待を寄せた。
Wキャストの小林については、「亮太くんは今回初めましてですが、熱い男です、おそらく。あっきーが青白い炎なら、彼は赤い系の炎が燃えている人です。先ほど亮太くんの”絶望”の話を聞きながら、てことは同時にこの人はロマンチストだろうなという風に思って。ものすごくそれを体現したいんだろうなと。今回の役にうってつけだなと思いました」とコメント。
加藤については、「このイケメン具合と、優しいお母さんのような心が彼の魅力。でもあまり見せないんですけど、秘めている熱い思いがあって、今回はそこに演出家として触れると楽しいなと思っています。それがさらに役の中にブレンドされるとどうなるのかを見られれば」と希望を語った。
島については、かつて一度仕事をした経験から「この人豹変するんですよ」とコメント。「ハマると人格が全く変わって、”パーンッ”と行ける人。そこを僕は信用していて、今回さらに飛び出してほしいし、世の中の人に太星を見つけてほしいなと思っています」と期待感を滲ませた。
ミュージカル『フランケンシュタイン』製作発表会見
「ここを観てほしい!」本作の注目ポイント
最後に「ここを観てほしい!」という注目ポイントについて、
中川は「いっぱいあるんです!でも、僕(ビクター)が入り混じった気持ちを抱えて和樹さん(アンリ)の胸に寄りかかるところは、割と勢い良く何回もぶつかっていくのに、この方(加藤)は体幹が素晴らしくて、ビクともしてくれない。そこ、見どころ!」と笑いを誘った。
加藤は、そのシーンを思い出しながら「結構強めでしたよね」と中川に応えつつ、今作の見どころとしては「怪物の動き」を挙げた。「結構細かく動きの指導をしていただきまして。生み出されたものが一体なんなんだと思わせるような、思わず目を背けたくなるような身体の動き。特に足の角度に注目していただければ」とアピール。
小林は、一人で2役を演じることも含め「今まで挑戦したことのない域にいかなければいけないと思う」と語り、とくに「お芝居と歌の融合は、自分の中でも一つ壁として超えていきたい」と意気込みを語った。
島は、「先ほど亮太くんと歌った『ただ一つの未来』は、本当に大好きなナンバー。お互いの思想をぶつけ合いながら一つになるこのナンバーに、本番でもぜひ注目してもらいたい」と楽曲の魅力を語った。
君と一緒に夢を見られるなら、死んでも後悔しない
美しき友情はやがて、哀しき復讐へと変わる─
19世紀ヨーロッパ。科学者ビクター・フランケンシュタインが戦場でアンリ・デュプレの命を救ったことで、二人は固い友情で結ばれた。
“生命創造”に挑むビクターに感銘を受けたアンリは研究を手伝うが、殺人事件に巻き込まれたビクターを救うため、無実の罪で命を落としてしまう。ビクターはアンリを生き返らせようと、アンリの亡き骸に自らの研究の成果を注ぎ込む。しかし誕生したのは、アンリの記憶を失った“怪物”だった。そして“怪物”は自らのおぞましい姿を恨み、ビクターに復讐を誓うのだった…。
本作は2025年4月10日(木)~30日(水)まで東京・東京建物 Brillia HALL、
2025年5月5日(月)〜6日(火)まで愛知・愛知県芸術劇場 大ール、
2025年5月10日(土)〜11日(日)まで茨城・水戸市民会館 グロービスホール、
2025年5月17日(土)〜21日(水)まで兵庫・神戸国際会館 こくさいホールで上演される。
詳しくは公式サイトで。
https://horipro-stage.jp/stage/frankenstein2025/
(文:エントレ編集部)
ミュージカル『フランケンシュタイン』
【脚本/歌詞】ワン・ヨンボム
【潤色/演出】板垣恭一
【訳詞】森 雪之丞
【音楽監督】島 健
【振付】黒田育世 当銀大輔
【オリジナルプロダクション】ワン・ヨンボムプロダクション
【製作】東宝/ホリプロ
【出演】
中川晃教/小林亮太(Wキャスト)、加藤和樹/島 太星(Wキャスト)、
花乃まりあ、鈴木壮麻、松村雄基、朝夏まなと
<アンサンブルキャスト>
笠原竜司 栗山絵美 石川新太
松村曜生 齋藤桐人 宇部洋之 山田裕美子 宮野怜雄奈
半澤 昇 荒木啓佑 りんたろう 伊宮理恵
吉田萌美 松田未莉亜 江見ひかる 杉山真梨佳
久信田敦子 荒川湧太 田中真由
<SWING>
高木裕和 大川 永
<リトル・ビクター> 古澤利空 鈴木琉音
<リトル・ジュリア> 森田みなも 杉山穂乃果
2025年5月5日(月)〜6日(火)/愛知・愛知県立芸術劇場 大ホール
2025年5月10日(土)〜11日(日)/茨城・水戸市民会館 グロービスホール
2025年5月17日(土)〜21日(水)/兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
公式サイト
https://horipro-stage.jp/stage/frankenstein2025/
チケットは2025年1月11日(土)10:00より一般発売開始(東京公演)。