ユーモアと温かさが詰まったニール・サイモンの傑作 髙地優吾 主演舞台『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』観劇レビュー
『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』 撮影:阿部章仁
ユーモアと温かさが詰まったニール・サイモンの傑作 髙地優吾 主演舞台『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』観劇レビュー
髙地優吾さんの初単独主演となる『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』のゲネプロを観劇してきました!髙地さんが演じるバディは、内気でおどおどしながらも、笑顔がキュートでとても魅力的でした。彼の演技を見ていると、まるで我が子のように「甘えていいよ」と思わず抱きしめたくなる一方で、「もっとしっかりしなさい!」と親心から応援したくなる、そんな感情を抱かせる存在でした(笑)髙地さんの持つ自然な優しさと純朴さが、バディというキャラクターに見事にマッチしていました!
『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』 撮影:阿部章仁
キャスティングも絶妙でした!バディの兄アランを演じた忍成修吾さんは、プレイボーイとしての軽妙な話しぶりがとても印象的でした。序盤では少し軽薄な印象もありましたが、両親に対しては優しさが感じられ、彼が抱える劣等感や葛藤が表現されており、単なるチャラいキャラクター以上の深みを持っていました。岡本玲さん演じるコニーはアランの彼女であり、初登場時には天然で可愛らしい印象が強かったですが、実際は冷静で大人びた視点を持つ自立した女性。登場の度にさまざまな一面を見せる彼女の魅力が、巧みに表現されていました。
『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』 撮影:阿部章仁
『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』 撮影:阿部章仁
松井愛莉さんが演じたペギーは、夢見がちでどこかフワフワとしたキャラクター。初舞台ということもあってか、その初々しさが役柄にぴったりで、松井さん自身の新鮮さが役に活かされているように感じました。母親役の高岡早紀さんもとても共感できるキャラクターで、「こういう人、いるいる!」と思わず笑ってしまう場面が何度もありました!父親役の羽場裕一さんは、息子たちに振り回される姿がコミカルでありつつも、常識的で愛すべき父親像を描いており、見ていてほっとさせられる存在でした。
『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』 撮影:阿部章仁
『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』 撮影:阿部章仁
今回の脚本を手掛けたニール・サイモンさんは、日本でも馴染みのある三谷幸喜さんに影響を与えた劇作家で、ワンシチュエーションで物語を展開する手法を得意としています。彼の作品にはユーモアと温かさが詰まっており、世界中で愛され続けています。この作品も例外ではなく、1961年に書かれたものですが、古さを感じさせず、まるで最近書かれたかのような新鮮さがありました!
ただその昔に書かれたことを意識しないと理解しづらい部分もあるかもしれません。登場人物たちは日本人と比べてとてもよく喋るし、アメリカ特有のユーモアも散りばめられています。だからこそあえて“昔の演技”で“アメリカン”な雰囲気を強くしたのかと思いました。今と昔の違いを楽しみながら観ると、さらに面白さが増すと思います!
『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』 撮影:阿部章仁
ここからネタバレになりますが(といっても公式でも発表されてますが)、3週間後のシーンは爆笑の連続でした!バディが口ずさんでいたあの有名なメロディが頭の中で何度も出てきちゃいます! 休憩前までのシーンがすべてこの展開のための伏線となっており、バディが別人のように変わってしまったギャップが最高でした(笑)
この舞台は、笑いだけでなく、キャラクターたちの成長や変化が丁寧に描かれていて、観終わった後に心がすっきりする作品でした。ぜひ、劇場でバディたちの“独立宣言”を体感してみてください!
『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』 撮影:阿部章仁
(文:かみざともりひと)
『Come Blow Your Horn~ボクの独立宣言~』
【翻訳】常田景子
【演出】宮田慶子
【出演】髙地優吾(SixTONES)
忍成修吾、岡本玲、松井愛莉、高岡早紀、羽場裕一
東京公演:2024年10月3日(木)~10月20日(日)/新国立劇場 中劇場
大阪公演:2024年10月25日(金)~10月28日(月)/森ノ宮ピロティホール