2018.2.2  5

iaku+小松台東! 方言の強みを生かす2劇団が融合した舞台「目頭を押さえた」観劇レビュー



iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志
iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志
 

iaku+小松台東! 方言の強みを生かす2劇団が融合した舞台「目頭を押さえた」観劇レビュー

 
当時、演劇通の方々をも唸らせた横山拓也作品『エダニク』は、自分も忘れられない作品になりました。

普段見落としがちというか、考える必要のない人間特有の概念が、観ている側の道徳心を揺さぶる作品(食事をする時に動物の気持ちなんて考えないでしょ?)で、とても共感できるし笑えるし、でも考えさせられる“演劇のフルコース”をいただいたわけです。

 
iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志
iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志

そんな横山さんが書いた『目頭を押さえた』は今回初見だったんですが、世界観はそれほど変わらないだろうと、ウキウキした気持ちで劇場に向かったのに、見事にカウンターをもらっちゃいました(笑)。
結論からいうと、今回ずっしり重たかったです!

もちろん人それぞれの受け止め方はあるだろうけど、閉鎖的な田舎をもつ自分にとっては、身に覚えのある“田舎あるある”や、若い頃に誰しも経験しがちな恋愛による人間関係に、実際に自分が体験しているような感覚に襲われ“おののいて”いました。それだけのめり込ませるリアリティある世界観だったということ。

iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志
iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志

 

あらすじ

人口減少で衰退の一途を辿る人見村ひとみむらの林業と、この地で古くから行われてきた喪屋もやにおける葬儀。この2つの伝統を担ってきた中谷家と、8年前に都市から越してきた杉山家は親戚関係にあったが、杉山が葬祭コンサルタント業を人見村に持ち込んだことで、家族間の溝は深かった。
ただ、同い年の高校生の娘たちは、子どもの頃から親友のような存在である。

杉山の娘・遼は、母の形見である一眼レフカメラを愛用し、村に暮らす人たちのポートレートを「遺影」と称して撮影するのが日課だった。中谷の娘・修子は、遼の写真が大好きでいつも率先してモデルになった。

そんな修子と遼が迎えた高校三年生の夏。この小さな田舎でセンセーショナルな出来事が起きる。それは、村に暮らす大人や子ども、すべての無名人たちの未来を、哀しみを伴う希望で包んだ。

 
iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志
iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志

今回は小松台東カラーの宮崎弁にアレンジ。聞きなれない方言ではあるけれど、決してわからないわけじゃない。

その言葉のリズムを受け入れようと耳を傾けて作品を追って行くうちに、コップに入れた炭酸水が小さく弾けているような“音”を感じました。それは今回ベースとなる確執が、水面下で常に小さく、役者の演技(心)を通して見え隠れしていたからです。さながら往年の日本映画を見ているような錯覚を覚えたのは、自分だけではないはず。

音といえば今回の演出ではほとんど曲は流れません。たしか暗転時のみです。ただそれがとても効果的というか、好みでした。それまで舞台上にあった緊迫感、緊張感、不安定な空気感を、優しいピアノの調べは観ることしかできない観客の感情を優しく包んでくれる。安心させられるし、登場人物達の心境を想像させられるし、人目を憚らず泣くこともできちゃいます!(暗転してるので笑)

iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志
iaku+小松台東「目頭を押さえた」 撮影:堀川高志

【古き伝統】は効率化を考えた時にはどうしても排除しがちだし、自分も無関心な方かもしれない。

今回、人見村で伝統を重んじる人々をじっと見つめていると、『彼等がここまで執着する理由はなんだろう?』と興味を持ち始めましたが、ここは作品の核ではないので、作中でも”なんとなく大事にしている”という扱い(笑)。逆にリアルだなぁと個人的には思いましたが。

この伝統、少なくとも”ひとりの成長”には大きな影響があった。人の成長や心境の変化には、【キッカケ】が必要になりがちだけど、キッカケがなくても現状を打破できるように生きていたいなと、我が身を振り返らされました。

 
本作は新宿・サンモールスタジオで2月4日まで。

 
このレビューを書いたのは

かみざともりひと
演出家。映画監督。エンタメ劇団・骸骨ストリッパー主宰。劇団☆新感線『轟天』シリーズが大好物!
劇団骸骨ストリッパー『蛇骸王METAL』4/1~4/5 座・高円寺2
Twitter ⇒ @gai_suto

 

 

 

公演情報

サンモールスタジオプレゼンツ
iaku+小松台東「目頭を押さえた」

大阪弁のiaku、宮崎弁の小松台東。
方言の強みをいかした会話でユーモアと情緒を描くという共通点をもつ2劇団の融合。

【作】横山拓也(iaku)
【演出】松本哲也(小松台東)

【出演】
小川あん 納葉 緒方晋(The Stone Age) 森谷ふみ(ニッポンの河川) 斎藤ナツ子 村上誠基 櫻井竜 松本哲也(小松台東)

2018年1月30日~2月4日/東京・サンモールスタジオ

公式サイト
iaku+小松台東「目頭を押さえた」

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