
役者×芸人の大人気コント公演シリーズ第7弾!『混沌vol.7』観劇レビュー
主催・企画は、CMをはじめとする映像の企画・演出・制作を行うアジアトップクラスのプロダクションであるAOI Pro.で、映画『8番出口』(東宝配給/2025年8月29日公開)、ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日/毎週木曜夜9時放送)、など、多くの劇場映画、テレビドラマの制作を担当したエンタテインメントコンテンツプロデュース部。
2023年から本格的に演劇事業に参入し、これまでの映像制作のノウハウとクリエイターの技術を活用して映像プロダクションならではの公演を制作されています。
©AOI Pro.
『混頓vol.7』は2本立ての新作書き下ろしオムニバスコント形式で、脚本・演出は政池洋佑さんと崎山祐さん(ファイヤーサンダー)が担当。秋元真夏さん、北村諒さん、かみちぃさん(ジェラードン)、北乃きいさん、日替わりゲストに近藤春菜さん(ハリセンボン)、山崎静代さん(南海キャンディーズ)が出演しています。
あらすじ
『戦隊ヒーローの経理部』 作:政池洋佑
地球を守る戦隊ヒーロー……その戦いを、陰で支える者たちがいる。その名は「経理部」。ヒーロー活動にも、もちろん“予算”が存在する。「新コスチュームを有名デザイナーに頼みたい?」「そんなの通りません」「できれば、他の建物を壊さずに怪人を倒していただけると助かります」正義の名のもとに膨れ上がる経費と、今日も戦う――。予算を守りながら、世界の平和を守る“戦隊ヒーロー経理部”の奮闘を描いていく。
『ようこそ、セカンドマートへ』 作:崎山祐(ファイヤーサンダー)
新規オープンを控えたコンビニ「セカンドマート」オープニングスタッフを募集するも、全然応募が来ない。開店間近、ようやく現れた数人のバイト希望者に店長は胸をなでおろす。しかし、いざ面接が始まると――彼らには、どこか見覚えがあるような気がしてならない…そして”史上最悪”のコンビニがオープンする。
幕間コントドラマ『スナック由紀子』~東京で楽しく飲んでも筋通すやっさ!~
沖縄で雇われママとして働いていた由紀子ママが、東京で新店を構えた。沖縄のスナック常連客まさとしにーにーと我謝、クリスが東京まで開店祝いに駆けつける。ところ変わっても、まさとしにーにーの我謝への説教は終わらない。沖縄のスナック風景がそこにあります。筋を通すまさとしにーにーの言葉に共感の嵐!?人生の当たりまえを、まさとしにーにーが教えてくれます。
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私は昔から、芸人さんと俳優さんが共演する“コントドラマ”が大好きなんですが、今作でも双方の魅力が自然と引き出され、互いを高め合うような心地よい”笑い”が生み出されていました。
コント公演に初挑戦する元乃木坂46の秋元真夏さん、2.5次元舞台で活躍する北村諒さん、女優の北乃きいさんが、かみちぃ(ジェラードン)さんと絡む姿は非常に新鮮!
普段イケメンな北村さん、綺麗な北乃さん、可愛らしい秋元さんがコントをするから生まれるアンバランスさや、ギャップのあるお笑いは、芸人さんだけのお笑いとは違う面白さがあります。普段はなかなか見られない3人の“笑いに全振り”した演技は注目です。
一部も二部も「日常の中に潜む部分」を丁寧にすくい上げていて、社会風刺やブラックユーモアを織り交ぜながらも、誰も傷つけない“平和な笑い”が成立しているように感じました。
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『戦隊ヒーローの経理部』は、戦隊モノの中心レッド顔の北村さん、美容好きのピンクに北乃さん、お堅い経理部社員に秋元さん、それをまとめる役柄にかみちぃさんとそれぞれピッタリな配役でした。
ヒーロー×会社の経理部という異色の組み合わせがまず抜群に面白く、戦隊ヒーローや怪人たちの“裏側”を覗き見しているようなワクワク感がありました。
ヒーローや怪人にもそれぞれ悩みや苦労があって、意外と普通の会社員と似ている部分が多く、思わず親近感が湧いてしまいました(笑)。また、「ヒーローや怪人も頑張ってるから、私も頑張ろう!」と、不思議な勇気をもらえる瞬間もありました。
作中には「仕事に裏も表もないから」という、心にストンと落ちる印象的な台詞も登場します。笑いのテンポの良さに包まれながら、最後にはホロっとさせられるような、明るくて優しい余韻が残る物語でした。
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『ようこそ、セカンドマートへ』は、誰もが利用するコンビニを舞台に“バイト面接”という身近なシチュエーションで物語が展開します。
面接に集まったバイト希望者たちは、それぞれにさまざまな過去や事情を抱えていて、その背景が少しずつ明らかになっていく過程が興味深かったです。最終的には、彼らがトラウマを乗り越えていく“更生ストーリー”のような側面もあり、伏線回収とともに心温まる展開へとつながっていきます。
また、かみちぃさんの“良い声”“良い男キャラ”が物語の中でしっかり活かされており、その存在感が作品にユーモアと魅力を添えていました。
ゲスト出演でハリセンボンの春奈さんが登場しますが、お決まりのネタは安心感が持てますし、存在感のある笑いはさすがだなと感じました。
どちらもハートフルな展開で、最後に流れるテーマソング主題歌『やったぜべいベー』を聴くことでゆっくり胸に沁みるような心地良さがありました。一度聞いたら忘れられないMOROHAのアフロさんとシンガーソングライターのヒグチアイさんの素敵な曲です。
こちらは、天々高々の公式YouTubeにて楽曲も配信中ですので是非聴いてみてください!
幕間映像のコントドラマ『スナック由紀子』~東京で楽しく飲んでも筋通すやっさ!〜は、お笑い芸人、女優、プロデューサーとしても活躍する友近さんが主演を務め、企画・プロデュースも担当しています。
友近さんはスナックのママを演じますが、常連客の揉め事を「うんうん」と包容力を持って聞く姿、返し、醸し出す独特の色気など正にピッタリ!大物演歌歌手「水谷千重子」や、中年ピザ屋店員「西尾一男」としても長く活動されていますが、改めて「こういう人いる!」っていうキャラクターを作るのが絶妙で上手いなぁと感じました。
共演には、沖縄を拠点に活動する実力派芸人じゅん選手とありんくりん(ひがりゅうた・クリス)の2組の芸人が出演されています。ありんくりん公式YouTubeでは、「ママと常連のスナックコント」で4人のリアルな掛け合いが人気を博しており、この度のコントドラマ『スナック由紀子』でも同一のキャラクターを演じます。
ヒリヒリするような展開からの最後の沖縄らしい、ゆるっとした終わり方まで、ドキュメンタリーを観ているようなリアルさと笑いがありました。
©AOI Pro.
一部と二部の幕間コントには、「R-1グランプリ2025」で王者となったピン芸人・友田オレさんが登場。
歌とフリップを組み合わせた独自のスタイルで、思わず“ふふふ”と笑ってしまうような、幕間にぴったりのゆるい笑いを届けてくれます。
さらに、歌が非常に上手く、無駄に(?)スタイルが良いことによるネタとのギャップも魅力で気負わず楽しめる時間でした。
また『混沌』シリーズのキャラクターがキツネの「コン」とブタの「トン」ですが、ポップで可愛らしさもありながら、わかりやすいダジャレが取り入れられていたり、とにかく”ちょっと笑ってしまう”ような面白さが舞台の至る所に散りばめられています。
笑い転げてお腹がよじれる爆発的な笑いというよりは(笑)
笑って心が温かくなって、観終わった後は、
なんだかゆったりお散歩して帰りたい気持ちになる公演でした。その後、私はFM TOKYOホールの近くの公園を歩きながら何気ない日常の幸せを噛み締めながら家路につきました。
休日の昼下がりに”ほっとささやかな幸せを感じられる”
「笑うって良いな」と思える、そんな公演です。
『混頓vol.7』は、4日間という限られた回数の公演だったので、今回、生の観劇が叶わなかった方は、11月30日(日)16:30開演の公演が1週間のアーカイブ付きで配信されますので是非ご覧下さい♪
早くも『混頓vol.8』の公演も予定されており、キャストも発表されていますのでそちらもお楽しみに!!
(文:あかね渉)
AOI Pro.コント公演『混頓vol.7』
脚本・演出:
政池洋佑 崎山祐(ファイヤーサンダー)
※崎山祐の「崎」は「たつさき」が正式表記
出演:
秋元真夏 北村諒 かみちぃ(ジェラードン) 北乃きい
日替わりゲスト:
近藤春菜(ハリセンボン)※11月28日(金)・11月30日(日)出演
山崎静代(南海キャンディーズ)※11月29日(土)・12月1日(月)出演
幕間コント芸人:
友田オレ
【幕間コントドラマ】
『スナック由紀子』~東京で楽しく飲んでも筋通すやっさ!~
企画・プロデュース:
友近
映像監督・演出:
並木慶
出演:
友近 じゅん選手 ありんくりん
日程・会場:
11月28日(金)〜12月1日(月) 東京・TOKYO FMホール
⭐︎11月30日(日)16:30開演の公演が1週間のアーカイブ付き配信

