望海風斗がノンストップで歌い踊る90分間 20th Anniversary ドラマティックコンサート『Look at Me』観劇レビュー

2022.10.27

望海風斗『Look at Me』　撮影：岩田えり望海風斗がノンストップで歌い踊る90分間 20th Anniversary ドラマティックコンサート『Look at Me』観劇レビュー

望海風斗20th Anniversary ドラマティックコンサート『Look at Me』が開幕。

本作は元宝塚雪組トップスター・望海風斗が、宝塚歌劇団の初舞台から20周年を記念したコンサートツアー。構成を竹村武司、演出をウォーリー木下が手がけるなど、映像・舞台・音楽とエンタメ界の各ジャンルを牽引するスタッフ陣と初タッグを組み、ミュージカルとコンサートを融合させたショータイムとなっている。

※以下、公演内容を含みます。ご注意ください。

物語の主人公はテレビ210のプロデューサーひかり(望海)。担当した音楽番組は視聴率が悪く打ち切り。番組のセットを寂しそうに眺めていると、AD御子柴がやって来てADの提案でひかりの理想の空想歌番組を実施することに。物語の中で望海風斗の軌跡を辿り、これまでと今、そしてこれからが詰まった90分間。

望海風斗『Look at Me』　撮影：岩田えり

はじめのパートは、ひかりの原点となるブロードウェイミュージカル『シカゴ』や『キャバレー』のナンバーから数曲。
セットのネオン看板が降りてきた瞬間そこはニューヨーク。
顎のラインで揃えたボブスタイルに赤リップ。ピンクのタイトな衣装で登場し、露出がありつつも品のある洗練されたカッコよさを感じ。驚くほど望海さんに似合っていて初めて見る姿につい見入ってしまいました。(『シカゴ』の世界から出てきたかと思うほど。)

望海風斗『Look at Me』　撮影：岩田えり

ジャズ調でダンスと歌に溢れたダイナミックなナンバーは言わずもがな望海さんにぴったりな世界観。軽快な歌いまわしと色気を帯びたニヒルな笑みでナンバーを完全に自分のものにし、客席を魅了します。(個人的には奥歯で声を溜めるような焦らした発音とたまにギラッと歯を見せるところが最高にセクシーでカッコいい注目ポイント。)　そして『ガイズ＆ドールズ』より、まさかのあのナンバーも聞けちゃいます。

望海風斗『Look at Me』　撮影：岩田えり

AD御子柴にダメ出しされ次のブロックでは趣向を変えて。「君は薔薇より美しい」や「秋桜」など時代を超えた日本の曲に挑戦します。体全体で音楽を楽しむ姿が印象的で、特に「田園」は疾走感と湧き上がるエネルギーを感じ、ホールに収まりきらない迫力を感じました。

ひかりが自身を振り返るパートでは望海さんと重ねた演出が。”音楽がすべてだった”と歌い始める「Music is My Life」は宝塚時代を思わせグッときてしまう場面。しかし姿も、発声も、環境も違う今歌う「Music is My Life」は、やはりあの時のそれとは違い、望海さんが新たな道を進み始めていることを改めて認識させられます。他にも「最後のダンス」や「DIARYー夢の宙船ー」など宝塚時代からのファンにとっては懐かしいメモリアルな楽曲も。

望海風斗『Look at Me』　撮影：岩田えり

やはり音楽の人

個人的にはやはり望海さんは”音楽の人”だという感想を持ちました。体全体を楽器にし、豊かな歌声が会場を満たし”キタキタこれこれ！”となるパフォーマンス続き。湧き上がるエネルギーが声に乗り、目の輝きは力強く客席には元気のシャワーが降ってくるようで。言葉にするのが難しいのですが日光浴しているような心地よさがあり、元気をチャージして帰ること間違いなしです。(今回は”芝居仕立て”のコンサートのため、新鮮さもあり望海さんのストレートプレイも見てみたいなと。)

過去を懐かしみつつ、さまざまなことに挑戦していく望海さんを、その進化の過程を一緒に楽しむような時間。今後の望海さんの活躍がより楽しみになりました。

望海風斗『Look at Me』　撮影：岩田えり