本作は1980年に出版されたフランク・W・アバグネイル・Jr著の自伝小説『世界をだました男』をもとに製作された映画のミュージカル版。ブロードウェイでは3部門にノミネートされ、日本でも何度か上演されてきた作品です。
16歳の少年フランクが幸せな家族生活の破綻をきっかけに、失意の中思いついた小切手偽造を始め更にはパイロットへなりすまし、FBIの捜査を華麗に逃れながら生活を送るという話。
原作が自伝小説というから驚きです。現実離れしたストーリーとジャズを中心とした抜け感のある音楽がとってもオシャレで、スイング系の音楽に冒頭からつい身体を揺らしてしまいそう。様々なナンバーが舞台を彩り、緩急つけて展開していく音楽にワクワクが止まりません!
ミュージカル『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』撮影:伊藤智美
今回天才詐欺師フランク・ジュニアを演じた岩本照さんはとにかく綺麗な立ち姿が印象的。スマートな足捌きと華麗な身のこなしは世界を欺いた詐欺師の軽やかな器用さを伺わせます。(個人的にはダンスの腰の使い方や足の角度が抜け感あってオシャレだなぁと)それでいて純粋さを感じる少年らしいあどけない声。きっとフランク本人もそんなギャップを大いに活用したに違いありません。
ミュージカル『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』撮影:伊藤智美
フランクを追うFBI捜査官カールを演じるのは吉田栄作さん。ハスキーな声で歌い上げるナンバーや背中で見せる渋さがとても魅力的。と思えばおどけた場面もあり”お茶目で粋なおじさん”という感じがとてもチャーミングでした。
ミュージカル『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』撮影:伊藤智美
可憐さの中に凛とした品を持ち合わせた横山由依さんのブレンダ、音圧のある声と底知れぬ魅力をもつ春野寿美礼さんのポーラ(フランクの母)。他にも岸祐二さん(フランクの父)、生田智子さん、阿部裕さんら豪華出演陣が演じる個性的な登場人物にも注目です。また女性アンサンブルそれぞれの癖が強いキャラクターや力強い歌声も見どころ。
ミュージカル『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』撮影:伊藤智美
男同士の友情
追われるフランク、追うカール。2人には次第に奇妙な友情が生まれていきますが、家族や愛という温かいものを求め、欠けたピースを違う形で埋めているようにも感じました。2人ともスタイルが良くスーツがとても良く似合っていて。対になって歌う場面がとても印象的です。
友情とはまた違う形ですがフランク×フランク父のコンビも見どころ。レストランで楽しそうに食事し語りあう場面はとても微笑ましく、父親は事実に気づきながらも世界中を旅する生活をし羽ばたいていく息子に希望を見出しているようで。息子への想いが滲む岸さんのお芝居にも注目です。
ミュージカル『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』撮影:伊藤智美
小切手を偽造し、パイロットや医者になりすまし、誰にも止められないフランク。
華麗な転身ぶりですがどこか寂しさも垣間見え…
岩本さん演じる彼の行く末を是非劇場で見届けてください!
公演の詳細は公式サイトで。
https://www.musical-cmiyc2022.jp/
(文:真来こはる)
ミュージカル『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
【脚本】テレンス・マクナリー
【作曲】マーク・シャイマン
【作詞】マーク・シャイマン、スコット・ウィットマン
【演出・翻訳・訳詞】上田一豪
【出演】
岩本照(Snow Man)、横山由依、岸祐二、生田智子、阿部裕、春野寿美礼、吉田栄作
丹宗立峰、高橋卓士、中谷優心、家塚敦子、清水彩花
井上花菜、加藤さや香、菊地まさはる、小林遼介、小山侑紀、咲良、高山裕生、田中真由、山田美貴、横山達夫、りんたろう
2022年8月11日(木・祝)〜 9月4日(日)/東京国際フォーラム ホールC
2022年9月9日(金)〜 9月15日(木)/オリックス劇場
公式サイト
https://www.musical-cmiyc2022.jp/
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