RENT (C)Tomoko-Hidaki

感謝しよう今日という日があることを。 胸を熱くさせる名曲揃い!ミュージカル「RENT」観劇レポート

RENT (C)Tomoko-Hidaki
RENT 撮影:ヒダキトモコ

感謝しよう今日という日があることを。 胸を熱くさせる名曲揃い!ミュージカル「RENT」観劇レポート

1996年にNYの小劇場でオープン後、わずか2ヶ月でブロードウェイに進出。ピューリッツァー賞、トニー賞、オビー賞など各賞を総なめにし、世界中にレントヘッズと呼ばれる熱狂的ファンを生み、社会現象を起こした「RENT」。

日本では過去7回上演され完売が相次ぎ、日本版でも上演され山本耕史さんや中村倫也さんなど多くの俳優の方が熱演。新型コロナウイルスの影響により2020年3月の上演は叶わず、今回待望の来日公演となります。4年ぶりの来日公演、熱気あふれる舞台の様子をレポートします!

RENT (C)Tomoko-Hidaki
RENT 撮影:ヒダキトモコ

舞台は20世紀末のニューヨーク、イースト・ヴィレッジ。セットにパイプ椅子や自転車やウォールアート。ガラクタの詰め合わせのような雑多な空間が広がります。

「RENT」はクリスマスイヴから翌年のクリスマスイブまでの1年を描いたミュージカル。荒廃したアパートの一室でシェアルームをしているロジャー(演:コールマン・カミングス)とマーク(演:J.T.ウッド)は家賃(RENT)を滞納中。”去年の家賃なんて払えるわけない!”とロック調の楽曲でパワフルに幕が開きます。(RENTを連呼する歌詞が帰り道とても耳に残りました笑)

RENT (C)Tomoko-Hidaki
RENT 撮影:ヒダキトモコ

しかし現実は残酷。貧困や人種差別、麻薬中毒や同性愛。HIVウィルスで命を落とす仲間たちを目の当たりにし孤独や恐怖に翻弄されていきます。辛く苦しい日々をなんとかやり過ごす中、「タフなフリをしたってハッタリだ」という本音が出る歌詞がとても胸が苦しくなりヒリヒリしました。

そんな渦中、仲間と支え合い希望を見出そうと歌う「♪大切なのは今、この瞬間なんだ(NO DAY BUT TODAY)」。仲間の死を乗り越えて今この瞬間があるという尊さに改めて気づいていきます。

RENT (C)Tomoko-Hidaki
RENT 撮影:ヒダキトモコ

「RENT」の代名詞とも言える「♪シーズンズ・オブ・ラブ(Seasons of Love)」は、本作を知らない人でも恐らく一度は耳にしたことのある楽曲。時が流れていく中でそれぞれが困難を抱えて過ごし、それぞれが思いを馳せて歌います。日没の数、真夜中の数、飲んだコーヒーの数、笑いの数、涙の数…1年をどう数えようか、愛で計るのはどうだろうか…? その優しい答えにどこか救われるような、心の強張りが解れていくような温かみを感じました。

歌って歌って歌い繋ぐ2時間強。若者の心の叫びが歌となり、訴えとなり幾層もの歌声が会場を埋め尽くします。1人1人が毎日を必死に生き、命を燃やしている姿に目頭が熱くなること間違いなしです。また海外特有のアクセントの効いた台詞回しやユーモアも詰め込まれていて楽しみながら時間があっという間に過ぎてしまいました。

RENT (C)Tomoko-Hidaki
RENT 撮影:ヒダキトモコ

今のご時世だからこそ大切なことを考え直したい、今を大切にすることから始めてみたいと思える、静かに背中を押してくれる作品でした。

今回の上演は初演から20周年を記念して立ち上がった全米ツアー公演の集大成。ラストチャンスのこの機会に是非劇場に足を運んでみてください。

詳細は公式サイトで。

(文:真来こはる

公演情報

ブロードウェイミュージカル「レント」25周年記念 Farewell ツアー来日公演

2022年5月18日(水)~29日(日)/東京・東急シアターオーブ

【脚本・作曲・作詞】ジョナサン・ラーソン
【初演版演出】マイケル・グライフ

【キャスト】

マーク・・・J.T.ウッド
ロジャー・・・コールマン・カミングス
ミミ・・・アイヤナ・スマッシュ
エンジェル・・・ジャヴォン・キング
コリンズ・・・シャフィーク・ヒックス
モーリーン・・・リンディ・モエ
ジョアン・・・レイラ・ガースク
ベニー・・・ジャレッド・ベッドグッド
ほか

公式サイト
https://rentthemusical.jp/

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