サイトアイコン エントレ|演劇動画ニュース

【役者コラム004】香りのプロに聞きました! 役作りのための「香水」の選び方・使い方

香りのプロに聞きました!役作りのための「香水」の選び方・使い方

【役者コラム004】香りのプロに聞きました! 役作りのための「香水」の選び方・使い方【役者コラム004】香りのプロに聞きました! 役作りのための「香水」の選び方・使い方

エントレ読者の皆様、こんにちは!
楽劇座の五條なつきです。

今回の役者コラムは「役作りのための香水の選び方・使い方」についてご紹介したいと思います。


香りのプロに聞きました!役作りのための「香水」の選び方・使い方

役者はよく、演じる役柄によって香水を変えます。役者にとって「香り」はただ単に好きなものを選べばいい…というものではありません。自分が演じる役柄に相応しい香りを纏う事によって、より深く役作りが出来るのです。

また、自分が演じる人物の香りを身につけた瞬間に気持ちが切り替わって役に集中出来るという精神的な効果もあります。もちろん、お客様に作品や役柄の世界観を伝えるという意味でも、香りは非常に効果的な演出方法のひとつです。

でも「実際にどうやって香水を選べばいいのか分からない!」とか「どう使えばいいの?」と悩みを抱えている役者さんも多いのではないでしょうか?

私もこれまで自己流で香水を使っていましたが、より効果的な「役作りのための香水の選び方・使い方」を皆様にお伝えしたい!と思い、香水のプロにお話を伺って参りました。


店内香水バー

お話をお伺いしたのは、新宿の香水専門店FINCAの北郷さん。こちらのお店では、自分のイメージや希望を伝えると、香りのプロである店員さんが店内にズラリと並んだ50種類以上の香りからオススメを提案して下さいます!2種類の香水を重ね付けする事で、よりイメージに近い深みのある香りになるとの事。

せっかくなので、私もプロの方にご相談しながら楽劇座の次回公演『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』で演じるルー役にぴったりの香水を探す事にしました。

…という訳で!


ルーの衣裳でGO!

なんとルー役の衣装を着てお店を訪ねます(笑)

役柄をイメージした香水ってどう選べばいいの?

役柄をイメージした香水ってどう選べばいいの?五條

「よろしくお願いします!」

北郷「よろしくお願いします。今日は舞台で演じる役のまま来て頂いて嬉しいです!今回はどんな舞台なんですか?」

五條「『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』という舞台です。ルーとシーという2人の女の子がいて、そこに赤ずきんや白雪姫など、悩みを抱えた童話の登場人物が相談にやって来る…というのが毎回のあらすじですね。<大人のためのお伽話>といった世界観で、外見は海外の絵本のような可愛いヴィジュアルなのですが、中身は哲学的な台詞あり、世の中への皮肉ありで意外とブラックな内容です。」

北郷「五條さんの演じるルーさんはどんな役でしょう?動画や写真を拝見すると、セクシーというよりは可愛いキャラクターなのかなと…」

五條「そうです!子供みたいに無邪気で可愛いけれども、中に毒があるような…そんなイメージです。妖精みたいな存在で、年齢はありません。」

ここで北郷さんがたくさんの香水の中からいくつかをピックアップして下さいました。それを元に、更にイメージを広げて伝えていきます。

五條「林檎の香りはルー役のイメージに近いです。可愛いけど、人間の原罪の禁断の果実の意味もありますし、メルヘンの世界観を思わせてくれます!これにもう少し毒っぽさというか…奥行きがあると嬉しいですね」

私が良いと感じた林檎系の香水に、色々な香りを重ねて比べていくのですが…ここからが大変でした!何しろ50種類以上の香水があるので、迷ってしまってなかなか決められないんです。


迷ってしまって選びきれない・・・。

五條「こんなにたくさんの香りから、どうやって選べばいいんでしょうか?」

北郷「最終的には自分のテンションが上がる香りを選んで下さい!香りはなりたい自分になる手助けをしてくれます。思いきって、自分では付けないけどこの役ならコレ…!という普段とは逆の香りにしてみたり、ちょっと背伸びしたワンランク上に感じられる香りを選ぶのもオススメです」

五條「衣装もそうですけど、香りは自分がその役になるのを助けてくれますもんね」

北郷「その通りです!」

五條「でも、舞台だと中には香水が苦手なお客様もいらっしゃるかもしれないので、あまり個性的すぎない万人受けする香りがいいかな…。でもありふれた香りじゃなくて印象に残る香りがいいです!」

そして色々な香水を比べ続ける事1時間以上…。私が選んだのは、林檎の香りがベースの<PURPLE RAIN>と、深みのある<innocent ANGEL>という名前の香水です。

五條「ルー役の香り…というよりは、この『ルーシー・フラワーズ』の世界観そのものの香りかもしれません!甘くて可愛いのにどこか奥行きがあって、まさに<大人のためのお伽話>な香りです!」

北郷「この香りなら苦手な方も少ないと思います。柔らかいけど強めに香るので、舞台向きの香りですね!」

香水の種類は?

香水テスター五條

「そういえば…香水は濃度によっていくつか種類がありますけど、舞台向きの香水ってあるんでしょうか?」

北郷「日本で1番一般的な<オードトワレ>と呼ばれる種類です。香りが3-4時間持続しますが強すぎないので舞台にもぴったりですよ。<パルファム>は濃度が濃くて香りが強いので、初心者にはオススメしません。値段も高価です。<コロン>は濃度が低くて1時間ぐらいしか香りが持続しないので、舞台で使うにはちょっと物足りないと思います」

舞台の上での効果的な香水の使い方は?

舞台の上での効果的な香水の使い方は?五條

「舞台の上って、ライトの中で動くので暑くて結構汗をかくんです。そういう時って、どこに香水を付ければいいんでしょうか?」

北郷「汗をかく場所だと香水が流れてしまうので、汗をかかない場所…手首やくるぶしでしょうか。あとはスカートの裾やウィッグに付けると、動く度にふわっと香るのでオススメです!」

五條「なるほど!付け方にコツはありますか?」

北郷「少し離れたところから広い範囲にふわっとスプレーして付けてみて下さい。近くから付けると、その箇所からしか香らないんです。広い範囲に付けた方がふわっと程よい強さで香ります」

五條「やっぱり付ける量は多いほど香りも強くなりますよね?」

北郷「なりますよ!普段は2~3プッシュですが、舞台なら3~4プッシュといつもより少しだけ多めに付けてもいいかもしれません。もちろん、付けすぎには注意して下さいね」

香水を劇場全体に香らせる方法は?

香水を劇場全体に香らせる方法は?五條

「ちなみに…香水を劇場全体に香らせたい場合は何かいい方法はありますか?」

北郷「大劇場だと専用の機械が必要ですが、小劇場のような狭い空間ならアロマオイルのディフューザーが使えます」

五條「なるほど…!普通のディフューザーでいいんですね。ありがとうございます」

まとめ

まとめ北郷

「日本だとまだまだ香水の文化が浸透していませんが、香りは人間に影響を与えてくれるので、もっと気軽に香りを楽しんで頂けるといいなと思います」

五條「確かに、今日は色々な香りを試してみて、改めて香りの効果を感じました。爽やか、キュート、セクシー、クール、男性的…香りだけでも受ける印象がガラリと変わるので、役者は役作りで香りの効果を使わない手はないですね!」

北郷「そうですね。香水は気持ちの切替にも使えますから、役者さんにもぴったりのアイテムだと思います」

五條「先程、北郷さんも仰っていましたけど…香水はなりたい自分や役柄になれる、まさに<現代の魔法>ですね!」

北郷「その通りです!役者さんにも、ぜひもっと気軽に香水を活用して貰えたら嬉しいです」


香りのプロと一緒にお届けした「役作りのための香水の選び方・使い方」いかがだったでしょうか?
私も実際にルー役の香水を選んでみて、改めて香りの効果と楽しさに目覚めてしまいました!

次回公演『ルーシー・フラワーズは風に乗り、まだ見ぬ世界の扉を開けた』では、今回選んで頂いた香水を纏ってルー役を演じたいと思います。
香りまで含めて、この毒のあるメルヘンな世界観をお客様にお楽しみ頂けると嬉しいです。


ルーシーのおうちに香水たちがやってきた!

効果的に使えば間違いなく役作りを助けてくれる「香り」。次に舞台に立つ時には、貴方も楽しみながら取り入れてはいかがでしょうか?

<協力>
KAORI BAR FINCA
http://kaoribarfinca.jp

所在地:東京都新宿区新宿1-34-15 新宿エステートビル B1
電話:03-6709-8952

その5 》毎月10日間で舞台を創っている私達の方法と心得について

(文:五條なつき ※文章・写真の無断転載を禁じます)

モバイルバージョンを終了