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大分市の日下渚(劇団水中花代表)『かぼす咲く』が第11回九州戯曲賞・大賞を受賞

第11回九州戯曲賞

第11回九州戯曲賞は、大分市の日下渚(劇団水中花代表)『かぼす咲く』が大賞を受賞した。

「九州戯曲賞」は九州の劇作家を発掘・育成し、九州の文化芸術を盛り上げることを目的として設立された戯曲賞。
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県に在住、またはこの7県を主たる活動の場とする劇作家の、優れた作品を顕彰している。
今回、最終審査員を務めるのは中島かずき、横内謙介、岩崎正裕、桑原裕子、幸田真洋の5名。

第11回九州戯曲賞の結果が発表され、大分市の日下渚(劇団水中花代表)『かぼす咲く』が大賞を受賞した。

大賞
日下 渚(大分県大分市) 『かぼす咲く』

最終審査候補作品(5作品)
日下 渚(大分県大分市) 『かぼす咲く』
到生(福岡県福岡市) 『かみがたりぬ』
伊藤 海(宮崎県宮崎市) 『island』
田村 さえ(福岡県福岡市) 『Aliens』
升 孝一郎(福岡県福岡市) 『よりよりな日』

第11回九州戯曲賞

 
『かぼす咲く』あらすじ

母が亡くなったことをきっかけに、実家に戻ることにした心平。幼い頃から苦手だった、かぼすの木。
かつて自分の逃げ場だった庭石。ここにいると、どうしても逃れられない、母の思い出とかぼすの香り。
ある日、幼馴染だった女性が現れ、その息子を置き去りに姿を消してしまう。その子と二人で過ごすことになった夏…。
誰にも知られることのない、小さな秘密や小さな過ち…。
酸っぱすぎた青春と、トゲまみれの今、でも、一生懸命咲いている人たちの物語。

日下 渚 受賞コメント

九州戯曲賞最終候補に残るのは4度目でした。毎回、劇作家として足りない部分を痛感し、活躍されている劇作家の皆様の言葉に刺激をいただきました。
私は新しい感性や奇抜さみたいなものは全く持ち合わせておらず、ごく普通の大分に住んでいる凡人です。初めて最終候補に残ることができた9年前、自分の何かを変えなければ前に進めないのかと心折れそうだった時に、「あなたはあなたのままでいいんじゃない」と言ってくださったのは、今回も審査をしてくださった中島かずきさんでした。勿論、劇作家として未熟であることは理解していましたが、その言葉が自分の中にいつまでもお守りのように残っていました。
それから、出産や育児を経験しながら母としての感情や無償の愛を知り、生身の人間の脆さ弱さを知り、「人物」の捉え方や描き方に変化があったように思えます。
でも、そのお守りのお陰で、何度壁にぶち当たっても、違う誰かになるのではなく、「私は、私」「私はこうしたい」を信じることができました。
今回の賞を受賞した時に、これまでの全ての経験に意味があったのだと、ようやくわかりました。そして、これは通過点であり、まだまだこれから、ここから新しい道が広がるのだと、身が引き締まる思いです。
私を私にしてくれたのは、家族と仲間たち、大分での生活と沢山の出会いと別れです。決して一人でとれた賞ではありません。皆様にこの賞で恩返しができたなら幸いです。
私にこの賞を与えてくださった審査員の皆様と、この賞を守り存続させてくださっている事務局の皆様に心から感謝を申し上げます。
これからも、大分で、心を込めて、作品を作り続けます。この度は本当にありがとうございました。

(作者プロフィール)
日下 渚(くさか なぎさ)
大分県大分市出身。劇作家。演出家。役者。
日本劇作家協会会員。
2006 年演劇ユニット水中花を立ち上げ、2012 年劇団水中花へと団体を進化させる。
劇団では全ての作品の脚本演出を担当。私生活では三児の母。
地元大分の皆さんに「演劇で明日を楽しむ原動力を生み出す」という目標を掲げ、劇団での自主公演のほか、子ども達の施設での訪問公演、病院での訪問公演、今年は念願の小学校での公演が実現する。
九州戯曲賞には、最終候補に過去三回選ばれている。

第11回九州戯曲賞

公式サイト
http://www.krtc.info/

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