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6人の女優が壮絶な運命をたどった一人の女性を演じ分ける 藤田俊太郎 演出ミュージカル『東京ローズ』12月7日(木)に新国立劇場で開幕

ミュージカル『東京ローズ』撮影:宮川舞子藤田俊太郎 演出ミュージカル『東京ローズ』が12月7日(木)に新国立劇場 小劇場で開幕した。

 
新国立劇場が全ての出演者をオーディションで決定するフルオーディション企画の第6弾は、2019年にイギリスのBURNT LEMON THEATREが製作した『東京ローズ』の日本初上演だ。フルオーディション企画としては初のミュージカル作品だ。

太平洋戦争時、米兵の士気を失わせるため、日本が放送したプロパガンダ放送「ゼロ・アワー」。正体不明の女性アナウンサーたちは、「東京ローズ」という愛称で呼ばれ、米兵のラジオアイドルともいえる存在に。終戦後、アメリカ人記者たちの「東京ローズ」の正体探しが加熱する中、ある一人の女性が名乗り出る──それが米国籍、日系二世のアイバ・トグリ(戸栗郁子)だ。

本作はこのアイバ・トグリが戦中戦後の歴史の波に飲み込まれながら、アメリカと日本、二つの祖国にアイデンティティを引き裂かれ、自身の権利を奪われながらも、決してあきらめることなく闘う姿を、女性6名のキャストによって描く。

翻訳は新国立劇場 演劇芸術監督の小川絵梨子が手掛け、演出は新国立劇場では『東京ゴッドファーザーズ』(2021年)で緻密な物語の世界観を丁寧に描き出した藤田俊太郎が担う。
2022年12月から始まったオーディションには936名の応募者がエントリー。二度にわたる映像審査を経て、1月下旬から2月初旬にかけて一次、二次選考を実施し、飯野めぐみ、シルビア・グラブ、鈴木瑛美子、原田真絢、森 加織、山本咲希の6名が選ばれた。
今回の藤田による演出では、主人公アイバを6人がリレー式に演じるという。そして、男と女、アメリカと日本、差別する側とされる側、裁く側と不当にも裁かれる側、相反する立場の役柄を6名全員で演じ分けると耳に残るパワフルな楽曲、バンドの生演奏、そして圧倒的な歌唱力を誇る6名の歌声が、アイバ・トグリの物語を現代へと蘇らせる。


ミュージカル『東京ローズ』撮影:宮川舞子

STORY

“Who is Tokyo Rose?”

アイバ・トグリ(戸栗郁子)は1916年にアメリカで生まれアメリカで育った日系二世。日本語の教育を受けることなく1920~30年代のアメリカで青春を過ごした。
叔母の見舞いのために25歳で来日し、すぐに帰国するはずが、時代は第二次世界大戦へと突入。アメリカへの帰国も不可能となってしまう。そこでアイバは、母語の英語を生かし、タイピストと短波放送傍受の仕事に就く。戦争によって起こる分断や、離散、別れ。多くの人々を襲った不幸がアイバ自身とその家族の身にも降りかかる。
やがてラジオ・トウキョウ放送「ゼロ・アワー」の女性アナウンサーとして原稿を読むことになったアイバ。彼女たちをアメリカ兵たちは「東京ローズ」と呼んだ。
終戦後、アイバが行っていたことは、日本軍がおこなった連合国側向けプロパガンダ放送であったとされ、本国アメリカに強制送還され、国家反逆罪で起訴されてしまう。
本国アメリカから、戦中日本の悪名高きラジオアナウンサー「東京ローズ」であった罪を問われることとなったアイバ。彼女は本当に罪人だったのか…?

 

藤田俊太郎(演出)

開幕に寄せて。
稽古の日々はとても充実していました。そして今思い返せば、およそ1年前のフルオーディションから激烈な創作は始まっていたのではないかと思います。舞台の上に美しく、女性の力が漲っています。太平洋戦争の時代を格闘し生き抜いた日系2世アイバ・郁子・トグリ役に、飯野めぐみ、シルビア・グラブ、鈴木瑛美子、原田真絢、森加織、山本咲希、そしてスウィングの柴田実奈が魂を込めました。新国立劇場の皆さん、プランナー、カンパニーの仲間たち、ミュージシャンとの素晴らしい仕事に感謝すると共に、心から誇らしく思っています。

祖国アメリカから国家反逆罪に問われたアイバは生涯をかけ、その生き様で「人を恨まない、恨みからは何も生まれない」ことを伝えました。2023年12月の今、戦いの終わらない世界に生きる私たちに、アイバの言葉が、強く生きる力を与えてくれるのではないかと感じています。板の上で全キャストがアイバ役をリレーします。そのバトンをお客様に受け取っていただけたら幸いです。

この素敵な作品の礎を創り、日本版の上演を許可してくださった英国のクリエイターBURNT LEMON THEATREに愛と敬意を込めて。
『東京ローズ』日本初演、開幕です。

ミュージカル『東京ローズ』撮影:宮川舞子

詳細は公式サイトで。
https://www.nntt.jac.go.jp/play/tokyo-rose/

(文:エントレ編集部)

公演情報

『東京ローズ』

【台本・作詞】メリー・ユーン/キャラ・ボルドウィン
【作曲】ウィリアム・パトリック・ハリソン
【翻訳】小川絵梨子
【訳詞】土器屋利行
【音楽監督】深沢桂子
【演出】藤田俊太郎

【出演】飯野めぐみ、シルビア・グラブ、鈴木瑛美子、原田真絢、森 加織、山本咲希

2023年12月7日(木)~12月24日(日)/東京・新国立劇場 小劇場

公式サイト
https://www.nntt.jac.go.jp/play/tokyo-rose/

チケットを探す
https://nntt.pia.jp/

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