花組芝居とは?
1987年、演出・俳優・作家の加納幸和を中心に結成。「ネオかぶき」と称し、難しいイメージのあった歌舞伎の娯楽性を追及した作風で人気を博す。所属俳優は男優のみ。個性豊かな俳優陣が女形も演じる。2023年に36周年を迎え、近年では、知っているようで知らない『仮名手本忠臣蔵』や『怪談牡丹燈籠』などの全編通し上演で話題を呼んだ。また歌舞伎作品のみならず、漫画原作や海外戯曲など幅広く上演している。
◆泉鏡花×花組芝居
1991年の『夜叉ケ池』を皮切りに、『天守物語』『日本橋』『草迷宮』『海神別荘』『婦系図』と数多くの鏡花作品を上演してきた花組芝居。“原文重視”をモットーに、鏡花独自の美しい日本語を紡ぎ出す舞台には定評がある。その中でも最多の再演数を誇るのが今作品『夜叉ケ池』。2023年版ではヒロイン・百合を新人の武市佳久、鐘楼守・晃を小林大介、ストリーテラーの役割を果たす学円を桂憲一、夜叉ケ池の主・白雪姫を初演から引き続き座長・加納幸和が勤める。
『泉鏡花の夜叉ケ池』(2017年の公演より)
◆素ネオかぶきで楽しむ泉鏡花
実在する夜叉ケ池の“龍神伝説”(=娘が雨乞の生贄として龍神に嫁ぐ話)を元に、戯曲『夜叉ケ池』を執筆した泉鏡花。彼は「幻想文学」の先駆者ともいわれており、本作に登場するのも、どこか妖しい雰囲気の美女や、人ならぬ龍神の眷属たち。この幻想的なキャラクターを、メイクなし、黒紋付の男優のみが演じる。シンプルだからこそ際立つ美しい台詞と、切ないラブストーリー。想像力を膨らませれば、見えないものまで見えてくる!?
「素ネオかぶき」
日本舞踊でいうところの“素踊り”。装飾を一切取り除き、メイクなし、衣裳は黒紋付きに白扇のみというシンプルな出で立ちで演じる企画。
三國ケ嶽の麓の里、龍神が住むという夜叉ケ池。
日に三度鐘をつく掟を破れば、村はたちまち全て水の底に沈むという。
諸国を旅する学者僧、山沢学円。
彼がこの里で出会った鐘守りの男は、行方不明の友人、萩原晃だった。
再会を喜び、共に夜叉ケ池へと出かけたその時、晃の妻百合は、かんばつに苦しむ村人から、雨乞いのいけにえにと迫られる。
追いつめられて命を落とした百合を抱き、晃は鐘の掟を破る。
村が水に飲み込まれるたまゆら、一人残った学円は、池の主、白雪姫と妖怪変化達、
その道行きを垣間見る。
『泉鏡花の夜叉ケ池』(2017年の公演より)
本作は12月28日から東京・二子玉川セーヌ・フルリで上演される。
詳細は公式サイトで。
https://hanagumi.ne.jp
(文:花組芝居 監修:エントレ編集部)
花組芝居『泉鏡花の夜叉ケ池』
【原作】泉鏡花
【脚本・演出】加納幸和
【出演】加納幸和 山下禎啓 桂 憲一 北沢 洋 横道 毅 秋葉陽司 磯村智彦 小林大介 丸川敬之 押田健史 永澤 洋 武市佳久
2023年12月28日(木)~30日(土)/東京・二子玉川セーヌ・フルリ
公式サイト
https://hanagumi.ne.jp