9PROJECTは、つかこうへいに師事したメンバー3名によって結成。近年では上演されることの少なくなった、70〜80年代のつかこうへい作品を中心に上演してきた。つかこうへいの“演出”よりも“言葉”に注目し、戯曲を一切書き換えることなく生み出されるその作品は、当時つか作品に熱狂した世代からも大きな支持を集めている。
つかこうへい作品以外では、これまで江戸川乱歩の「芋虫」、アルベール・カミュの「異邦人」を題材に新作戯曲を書き下ろして上演してきた。
そして今回、原作として選んだのは戦後の日本文学における無頼派の筆頭・坂口安吾の「夜長姫と耳男」。無邪気に人の死を喜ぶ高貴で残酷な姫と、その姫を呪いながらも次第に心惹かれていく耳男…。昔話のように語られるこの物語は一種異様とも言える幻想的な美しさを伴い、「桜の森の満開の下」とともに安吾文学の最高峰と言われている作品だ。
今作『夜長姫』では、大きな耳というコンプレックスを持つ耳男という存在を「自身」と「心の声」に分け、姫との間に生まれた数奇な絆——もしくは愛——を通じて、その「絶対の孤独」と向き合い、超越していく姿を描く。
出演は高野愛、相良長仁、小川智之、鈴木利典、友部康志、鈴木万里絵、遠山結子。振り付けは遠山結子。脚本・演出は渡辺和徳が手がける。
STORY
好きなものは咒うか殺すか争うかしなければならないのよ。
いつも天井に蛇を吊して、いま私を殺したように立派な仕事をして……
飛騨のタクミは名を残さず。ただイノチを残す。
そう称えられた彫師の村に、人並外れた大きな耳を持つ男がいた。名を、耳男。その異形のために人から笑われ、孤独に生きてきた男であった。
ある日、耳男の師匠の元に、夜長の村の長者からの使者がやってくる。美しいと名高い夜長姫のために、三人の匠に腕を競わせ、弥勒菩薩を作ってもらいたいのだという。図らずも、病身の師匠の代理を務めることになった耳男。だがそこで出会ったのは、純粋故の残酷さを持つ、恐ろしい姫であった…。
無邪気な笑顔で血を好み、人の死を喜ぶ幼い姫。
その姫の笑顔の奥に秘められたナニカに、耳男は激しく惹きつけられる。だが衆目の中、耳を笑われた耳男は、弥勒の代わりにバケモノの像を彫ることを決意する。
耳男の脳裏に浮かぶ姫の笑顔は、姫に対する憎悪の念か、思慕の情か。
人に非らざる姫と、チャチなる人間世界の間で惑いながら、耳男は像を刻んでいく…。
詳細は公式サイトで。
https://www.9-project.net/vol16/
(文:エントレ編集部)
9PROJECT vol.16「夜長姫」
【原作】 坂口安吾「夜長姫と耳男」より
【脚本・演出】 渡辺和徳
【出演】高野愛 相良長仁 小川智之 鈴木利典 友部康志 鈴木万里絵 ・ 遠山結子
【振付】遠山結子
【日程】2022年4月21日(木)〜24日(日)
【劇場】シアターグリーン BASE THEATER
公式サイト
https://www.9-project.net/vol16/
チケットを探す(3月12日一般発売)
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カンフェティ https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=64817&
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