本作は、映画「Time Stands Still」( 1981 年、ハンガリー、ペーテル・ゴタール監督)や、映画「A Time to Love and a Time to Die」(1958 年、エリッヒ・マリア・レマルク原作、ダグラス・サーク監督)などからインスピレーションを受け、ドイツの作家フリッツ・カーターが綴った三部構成の戯曲。
カーターは東ドイツで生まれ、東ベルリンで育ち、成人後、西ドイツに移住。ベルリンの壁崩壊後、再びベルリンに戻り、創作活動を行う。
『愛するとき 死するとき』は、ベルリンの壁崩壊前の社会主義体制下で青春期を過ごした作家自身の経験を活かし、ときにコミカルに、ときにシリアスに普遍的な人間の感情を描いた作品だ。
翻訳・演出を手掛けるのはドイツで生まれ育った小山ゆうな。
浦井健治をはじめ、前田旺志郎、小柳友、篠山輝信、岡本夏美、山﨑薫、高岡早紀が出演する。
翻訳・演出:小山ゆうな
『愛するとき 死するとき』は、東ドイツで育ち、東西ドイツ統一を経験したフリッツ・カーターが、2002 年に発表した作品です。
カーターは、現在、ドイツ演劇界を代表する演出家・劇作家の一人で、2002年には本作で『テアターホイテ』誌の「今年の作家」に選出されました。
2000年代初頭は、東西ドイツの壁が崩壊し、二つの国が統合されてから、約10年経ったにもかかわらず、人々が、埋まらない精神的「分断」や、悪化する格差にある種絶望感を覚え、東西ドイツに関する芸術作品も沢山生まれた時期でした。
それから、更に20年が経とうとし、ドイツでも分断は解消されるどころか亀裂は深まり、世界的に「分断」がキーワードとなる現在、『愛するとき 死するとき』に登場する人物達が抱える問題や、諦念、希望は今の私たちの抱える様々なジレンマをはっきり映す鏡となっています。
初めて浦井さんとお目にかかったのは、コロナウィルスの影響が日本にも広がり始めた時期でした。
無意味な「分断」を生み出さない稽古場の大切さについて語っていらした姿に、暗くのしかかる不安を跳ね除ける清々しさを感じました。
浦井さんを始め、高岡さん、前田さん、岡本さん、小柳さん、篠山さん、山﨑さん、いつも舞台に清らかな空気や温かい空気を運んで下さるメンバーが出演します。作品も、時間をかけた創作過程も、このメンバーの集結も世田谷パブリックシアターさんにしかできない企画だろうと思います。
「分断」された社会の中で愛と死を通過しながら、必死に生きる人々を皆で描き出していける事が楽しみです。
この状況下、観てよかったと思っていただける作品にすべく稽古していきたいと思っております。
東京公演のチケット一般発売は9月19日(日)から。
シアタートラムでの東京公演ののち、名古屋、兵庫でも上演予定。
詳細は公式サイトで。
(文:エントレ編集部)
『愛するとき 死するとき』
【作】フリッツ・カーター
【翻訳・演出】小山ゆうな
【音楽・演奏】国広和毅
【出演】
浦井健治 /
前田旺志郎 小柳友 篠山輝信 /
岡本夏美 山﨑薫 /
高岡早紀
2021年11月14日(日)~12月5日(日)シアタートラム
2021年12月11日(土)・12日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
名古屋公演あり
公式サイト
https://setagaya-pt.jp/performances/202111aisurutoki.html