昭和46(1971年)、早野寿郎・小沢昭一等(故人)が中心となって活動していた劇団俳優小劇場が、昭和49年(1974年)1月、現在の「劇団俳小」として活動を開始。ヨーロッパ・アメリカ演劇から、日本の古典、新作、あるいは詩や小説をそのまま舞台にするなど、一定の演劇理念にとらわれない幅広い演劇活動を続けながら、舞台芸術の原点を探る演劇創造集団として出発した。
劇団俳小公演「イエロー・フィーバー」 撮影:小林万里
今回の「ダンシング・アット・ルーナサ」は「現代アイルランド演劇界のチェーホフ」と称される劇作家ブライアン・フリールの名作。本作を、第25回読売演劇大賞・優秀演出家賞を受賞した小笠原響が演出する。
オリジナル曲にアイリッシュダンスを交え、姉妹と彼女等を取り巻く人物達との激しい応酬と心の交流を、生き生きと表現し、斬新な舞台を造り上げる。姉妹の過去を語る末娘の息子の拭う事の出来ない郷愁をより鮮明に浮き彫りにすると共に、いつかまた波乱へと向うかもしれない時代の危うさを現代に問いかける。
この物語は、マンディ姉妹の末娘クリスの息子・マイケルが成人し、大人の追想のフィルターを通して語られる。
アイルランドの北西部、バリーベッグのはずれの村で、ひっそりと暮らすマンディ姉妹(教師の長女・ケイト、家事をつかさどるマギー、手編みで家計に寄与するアグネス、頭の弱いローズ、末娘のクリス)はそれぞれの悩みや、互いの緊張の中で助けあって生きています。
しかし時には、満たされない日常生活のなかで、感情や性的抑圧のうさを晴らすため、古代ケルト文化の名残ともいうべき異教徒的、熱狂的な収穫祭の踊り「ルーナサの踊り」を気も狂わんばかりに踊ったりする。そこに司祭でアフリカ布教に失敗し、現地の異教に染まり精神薄弱となった兄・ジャックが送還され、もどってくる。また末娘のクリスの許婚、なんでも屋のジュリーも来訪してくるが……。
アイルランドの片田舎にも近代化の波が押しよせ、経済的な不如意に苦しみ、兄・ジャックの送還の余波でマンディ一家はだんだん崩壊していく……。
遠くて近い国アイルランドの物語です。時代や場所は違えど、貧しくとも助けあい、必死に生きている成人した五人姉妹一家を描き、普遍的な人間の生き様を浮き彫りにします。
ご来場心よりお待ちしております!
本作は3月1日(日)から日暮里・d-倉庫で上演される。
詳細は公式サイトで。
(文:エントレ編集部)
劇団俳小「ダンシング・アット・ルーナサ」
【作】ブライアン・フリール
【翻訳】小田島恒志
【演出】小笠原響
【出演】渡辺聡(劇団俳優座)、寺脇千恵(劇団俳優座)、原田翔平(演劇集団円)、須田晶子(フリー)、大川原直太、吉田恭子、西本さおり、荒井晃恵
2020年3月1日(日)~3月9日(月)/東京都・d-倉庫
公式サイト
劇団俳小「ダンシング・アット・ルーナサ」
チケット
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