On7(オンナナ)は、歴史ある新劇5劇団(青年座、文学座、俳優座、演劇集団円、テアトル・エコー)所属する30代の女優7人がプロデュース公演を行う演劇ユニット。毎回、演出家を招いて公演を作るスタイルで、これまで吉田小夏(青☆組)、サリngROCK(突劇金魚)、日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)、谷 賢一(DULL-COLORED POP)などが演出してきました。
そして今回の構成・演出を手掛けたのは劇団 company maの大谷賢治郎。
なんと、戯曲を元につくるのではなく、「ディバイジングシアター」という手法を使って俳優と演出家が共にゼロから作品を創り上げたのだそうです。
劇場に入ると、すぐに舞台が砂で満たされていて、ラジオ? レコーダー?のようなものが半分埋まっている。
砂漠なのか? 海岸の砂浜なのか? それとも荒廃した未来都市なのか? まさか乾き始めているヒトの象徴なのか?
いろんな想像がかき立てられる中、On7の俳優たちが登場してきました。
On7「かさぶた」舞台写真
序盤はダンス中心で、言葉は話さず抽象的なイメージ世界。
中盤にはせりふも入り、30代女性(つまり、俳優たちと同じ世代)の迷い、人生の岐路での葛藤などが語られていました。
投票するか、投票しないか。
結婚か、キャリアか。
産むか、産まないか。
いろいろな選択肢が提示されるたびに、僕はどっちかなと思い、そして、現在の僕は、まだ人生の通過点の途中なんだなという画が思い浮かんできました。
子供のころ、「かさぶた」はかゆくって、ひっかいてしまって症状が悪化してしまうことが多かったですが、それも正に「人生の分岐点」の一つ。ガマンができる大人になれるかどうかの試練でもあったのかなあ。
せりふの存在
女優さんにとって、せりふというのはとても重要なもののはずです。ダンサーやシンガーにない、俳優の最も強い武器のひとつだと思うのです。
それを今回は、制限して(もしくは自分たちで書いて)身体と動きと、表情などで表現しようと、いろいろ考えたんだろうなというのが伝わってきました。そして、逆説的ですが、彼女たちの「せりふ」部分が出てくると、ちょっとホッとしたような気持ちになりました。「ああ、これこれ、いつものやつね」と安心していたのかもしれないです。
今回のように「せりふ」を制限した先にある選択肢は「せりふに戻る」なのか、「動きをさらに極める」なのか、はたまた別の選択肢を考えているのか・・・。
挑戦を続けてきたOn7、さあ次は何を仕掛けてくれるのでしょうかね?
本作は2月11日(日)まで、下北沢 小劇場B1(北沢タウンホールの地下)で上演されます!
(文:森脇孝/エントレ編集部)
On7 第4回公演「かさぶた」
【構成/演出】大谷賢治郎(company ma)
【出演】
小暮智美(青年座)尾身美詞(青年座)安藤 瞳(青年座)
保 亜美(俳優座)吉田久美(演劇集団円)
宮山知衣(テアトル・エコー放送映画部) 以上On7
今回サポート:渋谷はるか(On7/文学座)
2018年2月3日(土)~2月11日(日)
下北沢 小劇場B1
公式サイト
On7 第4回公演「かさぶた」