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劇場で体験する、感動と興奮 ミュージカル「レ・ミゼラブル」開幕

ミュージカルの金字塔「レ・ミゼラブル」が帝劇に戻ってきた。

原作は、フランス文学の巨匠ヴィクトル・ユゴー自身の体験を基に、
19世紀初頭のフランスの動乱期を舞台に、当時の社会情勢や民衆の生活を
克明に描いた大河小説。

1985年ロンドン初演以来、熱狂的に支持され、
全世界での観客動員数6.500万人を突破。
日本では、1987年に帝国劇場での初演以来、今もなお驚異的な上演回数を
積み上げている。

2013年、ロンドン初演25周年を機に新演出版が日本で初演。
日本全国縦断を経て、2年ぶりの上演となる本作。
新たなキャストも加わり、決定版として帰ってきた「レ・ミゼラブル」が、
帝劇で幕を開けた。


「レ・ミゼラブル」が開幕 写真提供/東宝演劇部

愛、勇気、希望。圧倒的スケールでより克明に

美しい音楽と歌詞、圧巻の音響、衣装、照明、舞台装置。
登場人物のキャラクターが、丁寧に描かれ
幕が開けるとともに、一気に作品の世界へ引きづり込まれる。


写真提供/東宝演劇部


2011年からジャン・バルジャンを務める吉原光夫 写真提供/東宝演劇部

この日、ジャン・バルジャン役には、2011年から同役を務める吉原光夫。
パンを一つ盗んだ罪で、19年もの長きにわたり投獄されていたバルジャンが、
警察であるジャベールから仮出獄を言い渡される。

恨みがましい気迫に満ちた「囚人の歌」を背景に、
自由の身となったバルジャンの喜びと戸惑いがテンポよく展開。

しかし、突然放り出された自由であるはずの世間は、罪人であるバルジャンに冷たい。
その理不尽さに、怒りと絶望が混同し荒んでいくバルジャンの様子を
吉原が力強く繊細な演技で見せ付け、観ている私達も
バルジャンが手に入れた自由への爽快さはない。

そんなバルジャンに、救いの手を差し伸べる司教とのシーンを描いた「独白」では、
過去を捨て、新しい人生を生きるバルジャンの決意が、圧巻の歌声と声色で、
劇場全体を通し、臨場感を持って訴えかけられる。
気付けば、これから始まるバルジャンの人生を、最後まで見届けることへの
興奮に包まれていた。


ジャベール役の岸裕二 写真提供/東宝演劇部

自らの警察官という職務と信念、正義の基に、バルジャンを必要に追い詰める
ジャベール役には岸裕二。

正義の元に生きるジェベールは、名を変え、新たな人生を歩むバルジャンの人生と、
ことごとく交わり、愛の元に生きるバルジャンとの対比をうまく描き出している。

対峙する二人のストーリーは、ドラマティックに描き出され
観る人それぞれの感情を、これでもかと揺さぶる。
その存在感は圧巻だった。

まさに、世界の演劇史を代表する作品の一つ。

ロンドン初演から30周年。
観る者の心を揺さぶり続ける作品が、新演出版となって、
原作の持つ「無知と貧困」「愛と信念」「誇りと尊厳」といった要素を
よりダイナミックに分かりやすく表現されている。

バルジャンが、愛に生きるきっかけとなる出来事の数々は、決して美しいものではない。
だた、人々の力強い生き様や躍動感は、人としての在り方や教訓として、
今を生きる私達へ様々な問いを投げかけてくる。

公式パンフレットで、新演出版の演出家であるジェームズ・パウエルは、

「オリジナル演出版に“変更を加えた”のではなく、
同じストーリーを現代に即した別の形で“描写し直した”のが
このプロダクションである」

と、語っている。

普遍的なテーマである原作を、時代の変化とともに描写し直され、
そこには、想像以上に壮大な劇場空間が広がっていた。

是非とも、壮大な劇場空間を体験してみてほしい。


写真提供/東宝演劇部

詳しくは公式サイトをご覧頂きたい。

レ・ミゼラブル 公式サイト

(写真提供:東宝演劇部 文:長谷川美津子/エントレ)

公演情報
ミュージカル「レ・ミゼラブル」
【作】アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
【原作】ヴィクトル・ユゴー  【作詞】ハーバート・クレッツマー
【演出】ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
【出演】福井晶一 吉原光夫 ヤン・ジュンモ 川口竜也 吉原光夫 岸 祐二 鎌田誠樹 知念里奈 和音美桜 里アンナ 笹本玲奈 昆夏美 平野綾 綿引さやか 若井久美子 磯貝レイナ 清水彩花 原田優一 田村良太 海宝直人 駒田一 KENTARO 萬谷法英 森公美子 浦嶋りんこ 谷口ゆうな 上原理生 野島直人 上山竜治 他

公演期間・2015年4月~9月
東京・帝国劇場を皮切りに、
名古屋、福岡、大阪、富山、静岡でも公演
料金:S席 13,500円 A席 9,000円 B席 4,000円 / この他、プレビュー公演あり

関連情報
ミュージカルの金字塔「レ・ミゼラブル(2015)」製作発表
舞台「レ・ミゼラブル」ファンイベント ダイジェスト映像

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