2019.12.25  12

笑って泣けて、暖かい気持ちに! 日穏-bion-『明日花(あしたばな)』が再演! 岩瀬晶子・内浦純一・たんじだいごにインタビュー



日穏-bion-『明日花-あしたばな-』内浦純一、岩瀬晶子、たんじだいご
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』写真左から内浦純一、岩瀬晶子、たんじだいご
 

日穏-bion-による舞台『明日花』が1月29日(水)から下北沢「劇」小劇場で上演される。主宰の岩瀬晶子、演出のたんじだいご、出演の内浦純一にインタビュー取材した。

 
日穏-bion-(ビオン)は、役者・脚本家・アナウンサーとして活動する岩瀬晶子(いわせあきこ)が、プロデュースを手掛ける劇団。

戦争やいじめ・差別など社会的問題を背景に盛り込みながらも、心にダイレクトに響くような、笑って泣ける密度の濃い作品を制作。どこか懐かしさを感じさせる温かい世界観は、世代を問わず、多くの観客の心を動かしている。
主宰の岩瀬は人気ドラマの脚本も手掛け、2020年度には劇団青年座本公演にも新作を書き下ろす事が決まっている。

 
今回は、2015年に東京・富山で上演した作品『明日花』を、下北沢「劇」小劇場で再び上演する。
出演は内浦純一、岩瀬晶子、山田将之、本間剛、菅井玲、沖原一生、和田裕太(Theatre 劇団子)、宮後真美、山崎和哉、たんじだいご。
脚本は岩瀬晶子、演出はたんじだいごが手掛ける。

 
エントレでは、企画・脚本の岩瀬晶子、演出のたんじだいご、出演の内浦純一にインタビュー取材し、日穏-bion-や「明日花」の魅力について聞いた。

 

日穏-bion-立ち上げの経緯を教えてください。

日穏-bion-『明日花-あしたばな-』演出のたんじだいご
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』たんじだいご

 
たんじ「奈良橋陽子さんが芸術監督を務めるアップスアカデミーという俳優養成所があって、僕が20年くらい講師を務めているんですが、この修了公演の脚本を岩瀬が書いてくれたんです。ソーントン・ワイルダーの『ロング・クリスマス・ディナー』を日本の舞台に置き換えて翻案したものなんですが、いまだに学校で使わせてもらってる。
人前で上演した作品はこれが初めてだったよね?」

岩瀬「そうです。当時ちゃんと書けるかわからなかったんですが、書いてみたら評判が良くて嬉しかったんです。それから何本か長編も頼まれて書くようになりました。

それで、たまたまある劇場の方から『キャンセルが出て、劇場が空いているからやらない?』と言われ、じゃあ1回だけやってみよう!と思って、やってみたのが最初で、それが今の日穏-bion-につながっています。」

 

日穏-bion-の作品テーマについて教えてください。

日穏-bion-『明日花-あしたばな-』岩瀬晶子
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』岩瀬晶子

岩瀬「実は元々《戦場を体験した人たちへ話を聞いてそれを残す》という活動をしていたり、アメリカの大学で戦後の補償問題についてレポートを書いたりしていたので、戦争のことを伝えて行きたいという想いはあったんです。最初の『初恋』という作品ではそれが色濃くでています。
日穏-bion-では、戦争だったり、介護だったり、社会的な問題をテーマに扱うことも多いんですが、小難しい話ではなくて、笑って、ホロっと泣けて、最後に温かくなって帰れるようなお話を作りたいなと思っています。」

たんじ日穏-bion-は《穏やかな日》と書くけど、表面上は穏やかな日常生活の根底には様々なドラマがある、ということなんだよね。岩瀬が戦場経験者から聞いたリアルな話が、脚本の随所に散りばめられているので説得力があるんです。僕も結構いろんなことを作品から教わりました。」

岩瀬「あと、bioというのはbiography や biologyに使われるように、生命や生きることを指す言葉なんです。日々生きている上での葛藤や、心の痛みなどにフォーカスして書きたいと思っています。」

日穏-bion-『明日花-あしたばな-』内浦純一
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』内浦純一

 
内浦「僕は『Gift ~星空の向こうから~』で初めて出演させて頂きました。オーディションの時に事前に脚本を読んだんですが、あったかくて、深くて、今までで一番、この作品に出演したい!と思ったんです。そして2度目の出演が『明日花』の初演だったんですが、わかりやすくて深い、いい作品だったので携われたことが幸せでした。あとは、この岩瀬さんとたんじさんのデコボココンビというか・・・。」

岩瀬「いいんだか、悪いんだかね〜。」

内浦「ホントにこの二人に出会えて、作品に出られるということがラッキーだなと思っています。あと、僕は出身が富山県で、いつかふるさとで芝居を上演したいと思っていたので、『明日花』の時にそれを二人に相談してみたんです。そうしたら、『ああ、いいねえ。』って言ってくれて、富山公演が実現したんです!興行的には不安だったと思いますが・・・。」

日穏-bion-『明日花-あしたばな-』(2015年)
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』(2015年)

 
岩瀬「そうねえ。演劇鑑賞会とかで呼ばれるならまだしも、自分たちで行くわけだから。スタッフさんにも絶対赤字になるからやめた方がいいって言われたよね。でもやってみたら、内浦くんの家族や友人が頑張ってくれたこともあって、いい公演になったよね。」

内浦「カーテンコールでは観客総立ちのスタンディングオベーションで迎えられて、出演者みんな感極まって泣いてましたね。本当にふるさとでやれて良かったです。だから再演を聞いて、本当に嬉しかったです!」

岩瀬「初演を見た人からも、今回も見たいという声をたくさん頂いているので、ありがたいですね。」

 

改めて『明日花』のお話について教えてください。

日穏-bion-『明日花-あしたばな-』稽古場より 左から岩瀬晶子、内浦純一、たんじだいご
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』稽古場より 左から岩瀬晶子、内浦純一、たんじだいご

岩瀬「戦後のとある町の花火工場がお話の舞台です。花火師たちは火薬を扱えることもあって、戦時中は花火ではなく爆弾を作らされていたんですね。戦後、花火大会は中止されていたままだったけれど、そこに元作家の文山という人物が『どうしても花火大会をやりたい』と言ってやってくるんです。それは自分自身と、戦時中に亡くなってしまった文山の戦友に関連することが理由なんですが、この後の物語は是非、お芝居を観て感じて頂けたらと思っています。」

たんじ「彼女が書く話には『再生の物語』が多いですね。この作品も戦争そのものということもありますが、戦争に壊された親子関係や主人公の再生にまつわるエピソードが散りばめられています。」

岩瀬「最近どんどん日本人の中で戦争が遠い存在になってきているんじゃないかと感じているんです。私たちの世代は戦争を体験した人から話を聞くことができたけれど、さらに若い世代には《単なる教科書の年表の中の出来事》になりつつあると思うんです。
だからなんとか、私たち世代が戦争を体験した先人の想いをちゃんと引き継いでいかないといけないと思うんです。

だから今回再演する『明日花』は、普段お芝居を観たことがない人でも楽しんで観られて、ちゃんと考えられるものにして行きたいと思っています。」

日穏-bion-『明日花-あしたばな-』内浦純一、岩瀬晶子、たんじだいご
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』内浦純一、岩瀬晶子、たんじだいご

 
たんじ「お祖父さまの話はしなくていいんですか?」

岩瀬「ああ、そうですね。後に児童文学者となった私の祖父(藤田圭雄)は当時編集者だったんですが、戦時中たくさんの作家が戦意高揚を煽るようなものを書かされていた事に心を痛めていたのでしょう。祖父は戦後すぐに、平和を訴えないとダメだと言って子供の本を作り始めたんです。人々に夢や希望を与えるべき立場の自分たちが、結果的に戦争を煽ることになってしまった責任を感じていたのではないかと思います。
実は『明日花』の主人公・文山に、当時の祖父の想いを投影している部分があるんですよ。」

 

稽古をしていていかがですか?

内浦日穏-bion-の稽古をしていていつも感じるんですが、岩瀬さんもたんじさんも偉ぶらない。」

岩瀬・たんじ「あぁ~。」

内浦「もちろん、芝居については突き詰めていくんですけど、この二人の穏やかな姿勢がそのまま作品に投影されているんじゃないかと思うんです。その暖かな雰囲気が好きですね。」

日穏-bion-『明日花-あしたばな-』稽古場より 左から岩瀬晶子、内浦純一
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』稽古場より 左から岩瀬晶子、内浦純一

 
岩瀬「出演してくれた俳優さんがまた出たいって言ってくれるので、それはありがたいですね。」

たんじ「演技力よりも人の良さでキャストを選んでるところもあるよね。」

岩瀬「そんなことないですよ!! 今回のオーディションにも100人くらいから応募があって、ちゃんとそこから選ばせて頂いているんですよ。まあ、稽古場の雰囲気ってお客さんにも伝わると思うので、人の良さも重要ですけどね。」

 

本作『明日花』の魅力を教えてください。

日穏-bion-『明日花-あしたばな-』内浦純一、岩瀬晶子、たんじだいご
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』内浦純一、岩瀬晶子、たんじだいご

たんじ「わかりやすい・・・っていうと岩瀬に怒られるんですけど、お客さんが構えないで見てもちゃんと分かる。お芝居を初めて観る人からも面白いと思ってもらえるのがいいところだと思います。」

岩瀬「見終わって、お祖父ちゃんのお墓参りに行きたいと思ったり、家族に電話したいと思ったり、何かしらお客さんの日常にいい意味で影響を与えられたらいいなと思っています。」

内浦日穏-bion-のお客さんってお年寄りから若者まですごく世代の幅が広いんです。」

岩瀬「そうね。確かに幅広いよね。」

内浦「世代を選ばず、かといってテーマが浅くなく、そしてあったかい。日穏-bion-の作品のいいところだと思います。」

岩瀬「笑えて泣けて、最後はあったかい気持ちになって帰って頂けると思いますので、是非、たくさんの方に観に来て頂きたいです。」

日穏-bion-『明日花-あしたばな-』内浦純一、岩瀬晶子、たんじだいご
日穏-bion-『明日花-あしたばな-』内浦純一、岩瀬晶子、たんじだいご

 
本作は1月29日(水)から東京・下北沢「劇」小劇場で上演される。
詳細は公式サイトで。

 
(文:エントレ編集部)

 

 

公演情報

日穏-bion-『明日花ーあしたばなー』

【企画・脚本】岩瀬晶子
【演出】たんじだいご

【出演】内浦純一、岩瀬晶子、山田将之、本間剛、菅井玲、沖原一生、和田裕太(Theatre 劇団子)、宮後真美、山崎和哉、たんじだいご

2020年1月29日(水)~2月9日(日)/東京・下北沢「劇」小劇場

公式サイト
日穏-bion-『明日花ーあしたばなー』

チケット
こりっち カンフェティ

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