2019.10.23  18

新国立劇場 演劇研修所 試演会『会議』稽古場レポート/10月25日から新国立劇場小劇場で上演


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新国立劇場演劇研修所『会議』稽古場より
新国立劇場演劇研修所『会議』稽古場より
 

新国立劇場演劇研修所『会議』稽古場レポート

 
新国立劇場演劇研修所の稽古場より、『会議』の稽古場レポートをお届けします。
今回は制作助手の藤田です。

毎年秋に行われている試演会、今年の研修所の3年生は13期生。上演する演目は別役実の『会議』です。1982年の初演以来、様々な団体で上演されてきた作品です。
別役実の『会議』稽古開始からおよそ1ヶ月と少し、本番まで約1週間の今、制作助手の目線からお届けします。

 

<実験>を<実験>する

 
とある町の国鉄の駅から少し歩いたところ、電柱がポツンと立っている場所、「<会議本能>を観察する」実験をとり行おうとする男と、その準備に雇われた道具方たち、準備のさなか起こったハプニング、そしてそこに集まってきた人間たちの会議・・・・・・と言いたいところだけれど会議・・・・・・なの?という不思議な物語。この1ヶ月と少し、実験会場を実験会場とすべく、稽古場では実験が繰り広げられています。

“稽古というのは本番のためにいろいろ試すための場”、といわれますがまさにそう。「不条理演劇」の別役実作品は本当に恐ろしく手強いです。同じセリフなのに言い方や、役の捉え方を変えるだけで恐ろしく変化するし、ビリヤードで球をついたら、ボール同士がぶつかったり壁に跳ね返ってきたりするように、芝居は1人で演じているのではなく自分が変われば相手の受け方、さらにその先の相手の動き方も玉突き式に変わってくる。

9月の稽古が始まった頃と、今稽古場で通している芝居は全然違うし、この数日でもどんどん試して変わっています。本番はどこまでいくのか、稽古場での実験はまだまだ続いています。

 

「安部公房とは違うんだよ」

新国立劇場演劇研修所『会議』稽古場より
新国立劇場演劇研修所『会議』稽古場より

 
演出の西川さんの稽古中の言葉で私が印象的だったのはこれ。

「安部公房とは違う、暴力じゃない。別役は安部公房を批判しているからね」

確かに戯曲を一読すると、「男」「女」のような固有名詞のない登場人物に、会話に次ぐ会話で展開していく。登場人物が一度出てきたらずっと引っ込まないところも含めて安部公房の作品と似た印象を受けるかもしれません。けれど、「暴力」ではないということ。ここが『会議』この作品の肝のように思います。

基本的に登場人物は一億総中流といわれていた頃の一般市民、いわゆる「小市民」、市井の「普通の」人々です。それぞれが言っていることは彼らにとって当たり前の主張でしかないのですが、これが噛み合っているようで噛み合わない。どんどん別の方向へ別の方向へと進んでいって、最初のシーンからは予測もしなかったところにたどり着きます。
不条理な暴力による支配ではなく、ただただ噛み合わないセリフで違う方向へ違う方向へと誘導されていく不条理です。もちろん、単独でも十分に楽しめる別役作品ですが、「違い」を知っても面白いのが魅力のひとつではないでしょうか。

 
ここで何が起きて、どうなるのか。最初から観ていた観客こそがこの『会議』の証人。
是非とも劇場で、会議の結末を見届けてください。

 
新国立劇場演劇研修所『会議』美術模型
新国立劇場演劇研修所『会議』

 
本作は10月25日(金)から新国立劇場 小劇場で上演されます。
詳細は公式サイトで。

 
(文:藤田侑加)

 

 

公演情報

演劇研修所第13期生
試演会「会議」

【作】別役 実
【演出】西川信廣

【キャスト】
新国立劇場演劇研修所 第13期生

今井仁美 大久保眞希 島田恵莉 松内慶乃 松村こりさ ユーリック永扇
河波哲平 河野賢治 宮崎隼人

高嶋柚衣(11期修了) 上西郷太(11期修了) 扇国 遼(12期修了)

2019年10月25日(金)~10月30日(水)/東京・新国立劇場 小劇場

 
公式サイト
演劇研修所第13期生 試演会「会議」

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