関口存男の手紙を通して「生と死」を見つめる朗読インスタレーション『系図 ~ある男を巡る生と死の記憶~』6月22日、23日に新宿で上演
『系図 ~ある男を巡る生と死の記憶~』(C)楽劇座
楽劇座による舞台「系図 ~ある男を巡る生と死の記憶~」が6月22日(土)から東京・ローズセラヴィで上演される。
「語学の神様」とも呼ばれ、厳格なドイツ語学者として知られる関口存男。その関口存男の末娘・昭子は生まれながらにして足に障害を持ち、12年という短い人生の幕を閉じた。その時初めて明かされた、ひとりの男としての決意と覚悟とは?
没後60周年を記念して青山で1年間開催された関口存男『存在の男』展(主催:三修社)では1頁目だけが展示された貴重な手紙が、全く新しい形の朗読インスタレーションとして初めて公開される。公演では、音楽と朗読が融合した世界を、貴重な資料の展示と併せて味わえる。
末っ子の昭子が12歳で亡くなった際、長女の充子にその死を知らせるために書かれた手紙。
関口存男『存在の男』展(主催:三修社)ではその1頁目のみが展示されましたが、今回の公演では、26頁に及ぶ全ての内容を初公開致します。
我が子の誕生、そしてその早すぎる死を前に、男は人生を如何に変容させるに至ったのか?
誰も知らない事実に基づく関口存男伝。
初公開!関口存男本人が紡いだ言葉による朗読インスタレーション。
※関口存男(せきぐちつぎお)…1894-1958/ドイツ語学者、演劇人として活躍。NHKラジオドイツ語講座の初代講師を担当。
皆様、こんにちは!楽劇座の五條なつきです。
今月の公演は関口存男先生の手紙を元にした朗読インスタレーション…なのですが、「そもそも関口存男って誰?どんな人?」という方もいらっしゃると思いますので、少しだけご紹介致します。
関口存男先生は「語学の神様」とも呼ばれていたドイツ語学者。NHKラジオドイツ語講座の初代講師を務め、多数のドイツ語著書も執筆しています。
<関口存男のびっくり!語学エピソード>
・アテネフランセに入学すると驚異的なスピードでフランス語を身に付け、なんと1年後にはアテネフランセ初等科の教授になっていた。
・ドイツ語があまりにも堪能だったため、ナチを逃れて仙台に亡命していたカール・レーヴィット氏(ドイツの哲学者)は関口存男の文章を読んで、ナチス党員の誰かが書いたものではないかと疑った。
・英語、ドイツ語、フランス語、ギリシャ語、ラテン語、スペイン語、イタリア語、マレー語等の語学を基本的に独学で習得。
…等、凡人にとっては「え、うそ!?」と驚くようなエピソードばかり。「語学の神様」と称されているのも納得ですよね。しかもそれだけではなく、関口存男先生は日本の演劇界にも貢献された方なんです。
<関口存男の知られざる演劇エピソード>
・青山杉作、村田実らと劇団「踏路社」を結成。築地小劇場以前の日本の新劇の基礎を創った。
・「映画芸術協会」に参加し、大正期のサイレント映画に主演級の俳優として出演。これまでは「女形」が女性を演じていたが「女優」という概念を取り入れたのは同協会である。
・現在の形での「演出」を最初に行った人物とされている。
どうでしょう?演劇好きにとっては、かなり興味深い人物ではないでしょうか。
一般的には厳格なドイツ語学者というイメージが強かった関口存男先生ですが、昨年から今年4月にかけて青山で行われた没後60周年記念の展示『存在の男』展(主催:三修社)では初めてその素顔に迫る資料が公開されました。
今回朗読させて頂く手紙は、この展示会で1頁目だけ展示されたものですが、実は26頁にも及ぶ長い手紙です。関口存男先生は、基本的に仕事や演劇に没頭した人物だったようなのですが…ある時を境に、人が変わったようになったという証言も残されています。
関口存男の人生を変えたものは、一体何だったのか?
「関口存男」を厳格なドイツ語学者としてご存知の方にとっては、素顔を垣間見れる貴重な手紙。「関口存男」に初めて触れる、という方にとっては一人の男の人生における「生と死」という普遍的なテーマを考えずにはいられない手紙。
関口存男先生ファンの方にはもちろん、そうでない方にも足をお運び頂ければ幸いです。
(C)楽劇座
6月15日までに楽劇座チケットセンターよりチケットを購入すると、出演者の直筆メッセージ入り葉書と関口存男イラスト缶バッジがプレゼントとなる。
本作は6月22日(土)から東京・ローズセラヴィで上演される。
詳細は公式サイトで。
(文:エントレ編集部)
楽劇座「系図 ~ある男を巡る生と死の記憶~」
【作・演出】関口純
【原作】関口存男
【出演】五條なつき、齋藤蓉子、大西佐依(準座員)
2019年6月22日(土)~6月23日(日)/東京・ローズセラヴィ
公式サイト
系図 ~ある男を巡る生と死の記憶~
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