古民家カフェを舞台に『今までにない「宮城野」を作る』/La TELaviata 大寺亜矢子・日置達哉・鈴木美波にインタビュー
La TELaviata4『宮城野』左から鈴木美波・大寺亜矢子・日置達哉
プロデュースユニット《La TELaviata》による舞台「宮城野(作:矢代静一)」が2月14日から池上・古民家カフェ蓮月で上演される。俳優の大寺亜矢子、日置達哉、演出の鈴木美波にインタビュー取材した。
La TELaviata(ラ・テラヴィアータ)は、俳優・大寺亜矢子によるプロデュース公演。2016年の燐光群企画『楽屋フェスティバル』に参加する為に立ち上げ、清水邦夫 作『楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~』を上演。
2017年には、主宰の大寺自身を題材にした『La TELaviata2 -大寺亜矢子の憂鬱編-』を南青山MANDALAで上演。続いて2018年には『La TELaviata3 -星の王子さま編-』を吉祥寺のSTAR PINE’S CAFEで上演した。
『La TELaviata2 -大寺亜矢子の憂鬱編-』
La TELaviataとして4度目となる今回は、様々なカンパニーで繰り返し上演されている矢代静一の人気作「宮城野」を上演する。
女郎・宮城野は大寺亜矢子が、宮城野の馴染みの客で偽絵師の矢太郎は日置達哉が演じる。演出は『La TELaviata2 -大寺亜矢子の憂鬱編-』で作・演出を手掛けた鈴木美波(PAPALUWA)が手掛ける。
2010年には、作者の矢代静一の娘である毬谷友子の出演で映画化もされている有名な本作をどのように2人芝居として作り上げるのか?
今回の公演の見どころなどについて、大寺亜矢子、日置達哉、演出の鈴木美波(PAPALUWA)に話を聞いた。
La TELaviata4『宮城野』大寺亜矢子
大寺「最初に、《art project LA TRAVIATAカンパニー》を、2016年の燐光群企画『楽屋フェスティバル』に出演するために作りました。LA TRAVIATA(ラ・トラヴィアータ)というのはオペラの椿姫の原題でして【道を踏み外した女】という意味がなんとなく気に入って団体名にしました。
La TELaviata(ラ・テラヴィアータ)の方は作品のタイトルなんです。トラヴィアータをもじって私が大寺なのでテラヴィアータと・・・。」
鈴木「そうなんです。第2回公演をやるときに、私が団体名をただもじってタイトルをつけたんです。」
『La TELaviata3 -星の王子さま編-』
大寺「もともと第2回公演はカルメンを演劇としてやりたかったんですが、いろいろと話がまとまらなくって。場所は既に押さえていてどうしようかと思ったときに、鈴木さんが『大寺さんの話にしたらいいんじゃないですか〜?』と言って脚本を書いてくれて『La TELaviata2 -大寺亜矢子の憂鬱編-』を上演したんです。そして前回は『La TELaviata3 -星の王子さま編-』を上演しました。」
La TELaviata4『宮城野』左から鈴木美波・大寺亜矢子・日置達哉
大寺「前回の『星の王子さま編』は10人強の出演者がいて、ちょっと子供向けというか幅の広いお客様に向けた作品を作ったので、今回は男女2人の話をやりたいと思っていたところ、たまたま知り合いが『宮城野』を舞台でやっていてこれがやりたい!ってなりました。」
鈴木「最初はチェーホフの『熊』も候補にあって、『熊』の事を私は知っていたし上手くできそうな気がしていたんですが、『宮城野』の方がやったことがないけど面白そうだなって、江古田のマックで言ったんですよね。」
大寺「やけに具体的だね。それで相手役を探したんだけど、なかなか見つからなくて。」
日置「それで僕が呼ばれたわけですね。ちなみに今回の初日は2月14日なんですが、2016年にキラリ☆ふじみのリーディング公演で大寺さんとご一緒した時も初日が2月14日だったんです。巡り合わせですよね!」
大寺「たまたまね〜。」
La TELaviata4『宮城野』大寺亜矢子・日置達哉
鈴木「とある色街が舞台で、ちょっと年増の《宮城野》という女郎と、東洲斎写楽の弟子の《矢太郎》との会話劇です。」
日置「宮城野は矢太郎のことが好きなんです。矢太郎も嫌いじゃないんですけど、本当に想っている人が他にいる。付かず離れずといいますか。」
大寺「ずっと変わらない関係だったのが、ある出来事がきっかけで、次第に変わっていくんです。」
日置「男女の本音と建前が続いていくので、お客さん側としては、何が本当で何が嘘かわからなくなっていくかもしれないですね。」
La TELaviata4『宮城野』左から大寺亜矢子・鈴木美波・日置達哉
日置「2人芝居なので、本当にせりふが多くて大変です!まあ、大寺さんはさらに僕の2倍くらいありますけどね。最後の方は、本当に一人でずっと喋っているくらいのせりふ量なんです。」
鈴木「確かにシェイクスピアばりの長ぜりふですよね。」
日置「あの辺はどうやってやろうかと考えています。課題ですね。」
La TELaviata4『宮城野』大寺亜矢子・日置達哉
大寺「私は楽しいですね。私は外部で出演している時、脇で見守っている系の役が多いのでせりふ量がまあ少なかったんです。自分でプロデュースしているから主人公ができるわけで、やりがいはありますね。」
日置「あと、台本がしっかりしているから読めば読むほどいろんな可能性が見えるんですよね。解釈もいろいろ考えられるので、いくらやっても納得はいかないのかもしれないですけど。」
鈴木「でも、我々の中での方向性をひとつ見出したいですね。実は脚本は江戸弁で書かれているので、最初全然意味が入ってこなかったんです。それで現代語訳して読んでみると、やっぱり時代を経ても男と女って変わんないんだなってわかって。普遍性というんですかね、そういうところがちゃんと出せるといいなと思います。」
La TELaviata4『宮城野』が上演される古民家カフェ蓮月
大寺「和室でやりたいと思って探していたんですが、古民家カフェ蓮月に下見に行った時に『あ、ここかも!』って感覚的に思って決めました。」
鈴木「かっこいいんですよ!住宅街の中に急に古い感じの建物がポンってあって。中もおしゃれで、場所自体に魅力がいっぱいありすぎるんで、お客さんにどこを見てもらおうかと悩んでいるところです。」
日置「実際の窓があったりするので、仮に外が雨だったらそれも演出になると思うんです。普通の劇場では味わえないような臨場感が味わえそうで、やる側としても楽しみです。」
鈴木「物語の中にお客さんも混ざっていくようになればいいなと思います。」
La TELaviata4『宮城野』
大寺「チラシにも書いたこのせりふが、何か私の中で引っかかっているんです。」
…バカねぇ。あたいったら七つの夏の約束が、まだ、心の奥に、深く深くこびりついてるんだもの。
大寺「彼女の根本がこのせりふの中にあるような気がして。二人とも不器用な人間なので人間臭くていいなという感じです。」
鈴木「確かに登場人物が人間臭い。言っていることがコロコロ変わるんですけど、本当は人ってそうだと思う。」
日置「男の情けなさというか、どこか弱くて逃げたくなる部分というのが、31歳という今この歳になってわかるというか。10年前の僕だったらわかんなかったような部分に共感できているので、やっていて楽しいですね。」
鈴木「例えば子供が見ても面白く見られるけど、大人になってから見たら『なるほど、そういうことだったのか!』と味わえるようになり得る作品だと思うし、そうなるように作っていきたいです。」
La TELaviata4『宮城野』左から日置達哉・大寺亜矢子・鈴木美波
大寺「『宮城野』はストレートにそのままやると『なんの内容なのかわかんない・・・』となってしまいがちな難しい作品だと思うんです。そこで、演出の鈴木さんの持ち味によって、身近に感じる話になるんじゃないかなと思っているんです。とっつきにくい作品じゃないんだと。」
鈴木「例えば、宮城野が『実はこの間こういう人がお店に来てさ』のような話をするんですけど、それが後々効いてくる・・・みたいなことがない! そういうのがいくつもあるんですけど、それをお客さんがしっかり聞いちゃうと話を見失ってしまうと思うんです。だから、そういうところをどれだけ『どうでもいい話』だと思って頂けるか。上手くできるといいですね。私はコメディ畑の人間なので、そういうエッセンスも入れていきたいですね。」
日置「たしかに、鈴木さんの演出は飛ぶというか、ナナメから来ますよね!その辺が面白いところだと思いますね。」
大寺「そうですね! 今までにない『宮城野』を作れたらいいなと思います。」
La TELaviata4『宮城野』左から大寺亜矢子・鈴木美波・日置達哉
本作は2月14日(木)から池上・古民家カフェ蓮月で上演される。
詳細は公式サイトで。
(文:エントレ編集部)
La TELaviata4『宮城野』
【作】矢代静一
【演出】鈴木美波(PAPALUWA)
【出演】
宮城野…大寺亜矢子
矢太郎…日置達哉
2019年2月14日(木)~16日(土)/東京 池上・古民家カフェ蓮月
公式サイト
La TELaviata4『宮城野』
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問い合わせ・チケット予約/la.traviata.co.20160503@gmail.com
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