2018.12.3  12

shelf27 ローラント・シンメルプフェニヒ作「AN UND AUS|つく、きえる」12月14日からCLASKAで上演


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shelf「AN UND AUS|つく、きえる」
宣伝美術 / 956D
 

shelfによる舞台「AN UND AUS|つく、きえる」が12月14日(金)から東京・CLASKAで上演される。

 
“shelf”はbook shelf(本棚)の意。沢山のテキストが堆積・混在する書架をモチーフに活動を展開。俳優の「語り」に力点をおきつつ、古典、近代戯曲を主な題材として舞台作品を制作し続けている。演劇や舞台芸術一般を、すべて個人とコミュニティとの接点で起こる事象(コミュニケーション)であり、と同時にそのコミュニケーションの様態を追求し、関わり方を検証し続けてきたメディアであると考えて活動を展開している。2018年には代表作「Hedda Gabler」中国5都市村(武漢、南京、上海、北京、方峪村)を巡るツアー上演を行った。

shelf 21 ”Hedda Gabler” @Playroom より
shelf 21 ”Hedda Gabler” @Playroom より

 
今回上演される「AN UND AUS|つく、きえる」は、ドイツ人劇作家 ローラント・シンメルプフェニヒ(Roland Schimmelpfennig)の作品。2013年に新国立劇場で宮田慶子の演出で上演された本作を、矢野靖人の演出で上演する。

 

STORY

沿岸の小さな町の港にある小さなホテル。日常のなか、毎週月曜に必ず不倫を重ねる三組の中年カップル。心の中で葛藤を抱きながら、誘惑に誘われ、日々の喧騒から逃れるかのように。ホテルのスタッフである若者は、湾岸警備のため高台にいる恋人の娘と携帯電話のメールで常に連絡を取り合っている。お互いを深く愛し合いつつも、二人が直接に出会うことはない。「まるでミツバチとクジラみたいに。」やがてカタストロフィが世界を襲い、ホテルは――世界は水の底に沈んでしまう。

 

矢野靖人(演出)

大規模な災害や、戦争などの災悪が起きたときのその災悪の記憶の仕方に関心がある。記憶の仕方、あるいは記憶のされ方について。現実(リアル)の確かな手触り(リアリティ)を、それがふとした瞬間に失われて分からなくなることがある。それは大きな災害や災悪に出会ったときに起きやすい事象だと思う。

一見すると何とも不可思議で奇形的といって差し支えないような人物描写から始まるシンメルプフェニヒのこの戯曲は、しかし詩的で美しく、寓意的な物語だ。そしてそのように事物から適切な距離を取って物語ることだけが、不条理で、普通の感覚では受け止め切れない、感情の落としどころのない災悪の記憶の仕方、歴史に対しての人類の落とし前の付け方として最も適した方法なのかもしれない。

アウシュビッツ以降、詩を書くことは野蛮である、と言ったのはアドルノだった。

詩は、無意識の記憶に似ている。そして詩は、無意識の発露たる夢に似ている。

人間はそれがリアル(現実)だからリアリティを感じるんじゃない。リアリティを感じるからそれをリアル(現実)だと思うのだ。

詩的でカタストロフ的とも思えるようなシンメルプフェニヒのこの戯曲を出来るだけリアルに、即ち現実(リアル)の不可解さをそのままに舞台の上に上げてみたいと思う。そしてそこからの恢復の手段としてのリアリティとしての物語(フィクション)の在り方を突き詰めてみたい。

 

仁科太一(ドラマトゥルク)

ドイツの作家であるシンメルプフェニヒによって書かれた『つく、きえる』は2013年に日本の新国立劇場で世界初演、2016年にドイツ初演となりました。この作品は作家が自ら行った東日本大震災の取材をもとに書かれたものです。私はちょうど2016年にドイツに留学していたため、マンハイム劇場での上演を観劇することができましたが、とても詩的な作品だと感じました。

人は東日本大震災のような圧倒的な出来事と出くわしたとき、そのことをどのように受け止めるでしょうか? それが未曽有の大災害だったことを、私はニュースを通して知ったわけですが、まさにその真っただ中にいた人びとは? おそらく何が起きたのか理解するのも困難だったのではないでしょうか。

シンメルプフェニヒのテクストは一見すると、ナンセンスなイメージの羅列のようです。そのイメージの断片からぼんやりと何が起こったのかを想像することはできますが、明白な情報、筋の通った話は書かれていません。でも考えてみれば、私たちの世界というものも、そもそも雑多な知覚の寄せ集めでしかなく、はっきりとした情報や物語というものは後から作られたものでしかありません。そうした情報以前の知覚のようなものが、この戯曲では詩的に描かれています。

 
本作は12月14日(金)から東京・CLASKA The 8th Galleryで上演される。
詳細は公式サイトで。

 

(文:エントレ編集部)

 

 

公演情報

shelf「AN UND AUS|つく、きえる」

【作】ローラント・シンメルプフェニヒ
【訳】大塚直
【演出】矢野靖人
【ドラマトゥルク】仁科太一

【出演】川渕優子、三橋麻子、沖渡崇史、横田雄平、江原由桂、杉村誠子、大石憲、鈴木正孝

2018年12月14日(金)~12月17日(月)/東京・CLASKA The 8th Gallery

公式サイト
「AN UND AUS|つく、きえる」

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