早霧せいなの剣心再び!新たな伝説の始まりに心が躍る♪ 浪漫活劇「るろうに剣心」観劇レビュー
浪漫活劇「るろうに剣心」早霧せいな
早霧せいなの剣心再び!新たな伝説の始まりに心が躍る♪ 浪漫活劇「るろうに剣心」観劇レビュー
まず始めに、今回の舞台化における原作・和月伸宏作「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」(集英社ジャンプ・コミックス刊)は、1994年に週刊少年ジャンプで連載を始め、シリーズ累計発行部数6000万部を超える大ヒットマンガ。これまで、アニメ化、映画化とたて続けに大ヒットを記録。
2016年には小池修一郎の脚本・演出により、宝塚歌劇団が初めて舞台化をしました。そして今回、宝塚版で主人公・緋村剣心を演じた早霧せいなが宝塚を退団して再び同役を務めるということで、男女の枠を越えたかつて無い試みに大注目のミュージカルです!
浪漫活劇「るろうに剣心」早霧せいな
江戸末期。街では、修羅さながらに人を斬り、残忍な行いを繰り返す「人斬り抜刀斎」と呼ばれる伝説の剣客の存在が恐れられていました。
幕が開いてすぐ、舞台上に現れる厳かな竹林で、早霧せいなさん演じる緋村抜刀斎を中心に早くもこの作品の見所とも言える殺陣が行われるのですが、舞台一面を使って魅せる立廻りの迫力とかっこよさに冒頭から一気に心を掴まれます!
加えて、赤髪に赤い半着の装いで華麗な刀捌きを披露する早霧さんを、宝塚を退団されてもなお、観れているのだという現実に、開幕早々胸が熱くなりました。
(どなたに感謝したら正解なのかわからないけれど、心の中で舞台に向かって手を合わせたくなる気持ち。共感してくださる方、絶対にいるはず!)
浪漫活劇「るろうに剣心」早霧せいな、上白石萌歌
冒頭の場面から少し時代は動き、「江戸」から「明治」へ。緋村抜刀斎は「緋村剣心」と名を改め、血に染まった剣を封印。人を斬ることの出来ない“逆刃刀(さかばとう)”を手に、流浪人(るろうに)として街に姿を現します。抜刀斎の時の鋭い目つきの人とはまるで別人のように、物腰が柔らかく、穏やかな雰囲気をまとった優男。そのギャップが面白く、舞台端に居ても一つ一つの行動を目で追いたくなる愛らしさがあります。
流浪人に身をやつした剣心が出会うのは、神谷活心流という流派を守り続ける道場の娘・神谷薫(上白石萌歌)。まっすぐな瞳をした、気風の良い少女だけれど、剣心に寄せる淡い乙女心がピュアで可愛いかったです。
そしてもう一人、街でスリを働いていた孤児の少年・弥彦(加藤憲史郎 ※大河原爽介、川口調 の交互出演)。彼は、剣心や薫と出会うことで行いを改め、行動を共にするようになるのですが、小さい身体で果敢に敵に立ち向かって行く姿や、大人の様に強がって見せる姿が可愛すぎて、弥彦が登場する度に私の頬は緩みっぱなしでした(笑)
浪漫活劇「るろうに剣心」松岡充 ほか
原作には登場しない、舞台のオリジナルキャラクターである加納惣三郎(松岡充)。彼は元新撰組隊士でありながら、訳あって、剣心同様姿も名前も変えて生きているのですが、この、彼が生き方を変えて歩む道が2幕の物語を大きく動かす鍵を握っています。
そんな、惣三郎を演じる松岡充さん。さすが、90年代ビジュアル系代表。(初日前会見でご本人がおっしゃっていました)新撰組の衣装と貴族風の衣装をとても麗しく着こなし、さらに歌声がとても色っぽくて、どこか異世界へ誘われてしまいそうな不思議な感覚を覚えました。
時代が変わったことで、人々は平穏な暮らしが出来ているように見えましたが、実は、中毒性の高い新型アヘンの密売が行われ始めていました。密売を進めているのは、武田観柳(上山竜治)という実業家。作品上はわかりやすくお金に取り憑かれた悪役なのですが、意外とコメディ担当。
セリフなのかアドリブなのかわからない程、動きも言葉も突拍子がない。他の舞台での上山さんを知っている方は、「こんな引き出しあったんだ(笑)」という衝撃を受けることは間違いありません。
浪漫活劇「るろうに剣心」上山竜治、愛原実花
「蜘蛛の巣」と名付けられた新型アヘンを作るのは、愛原実花さん演じる、長く美しい黒髪が特徴の高荷恵。医師として薬学の知識なども持っている彼女は、その才能を観柳に悪用され、新型アヘンの製造に関わってしまっていたのですが、剣心達との出会いで運命が変わることになります。恵の放つ大人の色気と艶っぽさに少しデレっとする剣心と、その様子にやきもちを焼いて、ムスッとした薫との表情の対比が微笑ましかったです。
浪漫活劇「るろうに剣心」三浦涼介
観柳の命により、新型アヘン製造から姿を消した恵の行方を追う、いかにもミステリアスな男・四乃森蒼紫(三浦涼介)。
まず、登場の仕方が独特。(もう観劇した方は思い出してクスっとされるかと思います)ビジュアルも、マンガから飛び出して来たかのように白いロングコートがよくお似合い!2幕では、手下の忍者達を引き連れて舞うように戦う姿が印象的です。(しかも二刀流!!)
浪漫活劇「るろうに剣心」廣瀬友祐、植原卓也
ここで、原作にも、舞台にも登場する魅力的な人物をあと二人ご紹介。
一人目は、維新後に明治政府の警官となり、新型アヘンの捜査をしている斎藤一(廣瀬友祐)。誰にでも冷たく無愛想ですが、時折心ある気遣いを見せたりする一面もあります。そして、タバコをくわえる姿もクールでかっこいい!
二人目は、大きくて扱いにくそうな斬馬刀(ざんばとう)を担ぐ相楽左之助(植原卓也)。
羽織った白法被から鍛えられた胸板が覗きます。今回、左之助は剣心と、演舞場らしいある場面に挑戦しているのですが、それはぜひ、劇場でご確認を!
浪漫活劇「るろうに剣心」早霧せいな、上白石萌歌、松岡広大
「人斬り」としての姿を沈めた様に見えた剣心。しかし、彼の中には、影のように密かに引きずる過去があります。そんな、若かりし頃の抜刀斎を演じるのは松岡広大さん。
この方、単純に若いということもあるかと思いますが、とっても身軽。殺陣のスピードもかなり早いので、「どこかで殺陣の経験が?」と思っていたら、驚いたことに、今回が刀を使う殺陣は初めてだそう。(製作発表の時にお話されていました)身体能力の高さが遺憾なく発揮された、松岡広大さんの俊敏な殺陣、要注目です!
過去と現在。抜刀斎と剣心。二つの自分に挟まれた剣心が見つけ出す答えと、新型アヘンの蔓延した街の行く末やいかに!!
浪漫活劇「るろうに剣心」早霧せいな、上白石萌歌
歌あり、踊りあり、アクションあり。
そして、演舞場ならではの仕掛けを存分に使った演出。私は原作のマンガに特別詳しいという訳ではありませんが、ミュージカルとしてはもちろん、エンターテイメントとして観ているだけでワクワクする、とても活気に溢れた楽しい舞台でした!
東京公演は、新橋演舞場にて上演中。11月7日(水)まで公演された後、大阪松竹座にて11月15日(木)から24日(土)まで上演されます。
詳細は公式サイトで!
(文:越前葵)
浪漫活劇「るろうに剣心」
原作:和月伸宏「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」(集英社ジャンプ コミックス刊)
脚本・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
音楽監督:太田健(宝塚歌劇団)
出演:
早霧せいな 上白石萌歌 松岡充
廣瀬友祐 三浦涼介 上山竜治 植原卓也 愛原実花 松岡広大
加藤憲史郎(交互出演)大河原爽介(交互出演)川口調(交互出演) 彩花まり 五條まりな 田村芽実 月影瞳 遠山裕介 宮川浩
藍実成 浅川文也 伊藤寛真 祝陽平 大場陽介
黒沼亮 笹岡征矢 鮫島拓馬 柴原直樹 高木勇次朗 竹部匠哉
楢原じゅんや 西村聡 早川一矢 廣瀬真平 山名孝幸
織里織 熊澤沙穂 小板奈央美 杉浦小百合 美翔かずき
横関咲栄 吉田繭
2018年10月11日(木)~11月7日(水)/東京・新橋演舞場
2018年11月15日(木)~11日24日(土)/大阪・大阪松竹座
公式サイト
浪漫活劇「るろうに剣心」
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