「池の下」が三島由紀夫『葵上/班女』の2作品を12月14日から絵空箱で上演
原久路「バルテュス絵画の考察」より: A Study of “The Room” (C)Hisaji Hara
「池の下」によるIKENOSHITA MISHIMA PROJECT『葵上/班女』が12月14日から絵空箱で上演される。
「池の下」は、1996年に演出家・長野和文を中心に結成。1999年から寺山修司全作品上演計画を展開し、愛知県芸術劇場「青森県のせむし男」、東京グローブ座 春のフェスティバル「青ひげ公の城」を上演。2006年の利賀演出家コンクールにて「犬神」を上演し、優秀演出家賞を受賞した。
さらに2007年夏には「狂人教育」で3カ国6都市連続公演(密陽演劇祭)(ソウル)(大阪)(名古屋)(東京)(上海 国際小劇場演劇祭)を敢行した。
『班女』初演 Photo by Nobuyuki Kagamida
また、2008年からは三島由紀夫作品の上演プロジェクト「IKENOSHITA MISHIMA PROJECT」をスタートさせ上海のアジア太平洋地域演劇祭、富山県利賀芸術公園SCOT Summer Seasonなどで上演してきた。
そして今回は、三島由紀夫「近代能楽集」より『葵上』と『班女』を新たな演出で2作品同時上演する。
「葵上」ストーリー
病院の葵のもとへ、夫の若林光が見舞いに訪れた。看護婦によると毎晩見舞いに来るブルジョア風の女がいるという。光が病室にいると、和服姿に黒い手袋をつけた六条康子が現れた。光と康子はかつて恋仲であった。毎夜、葵を苦しめていたのは嫉妬心に駆られた六条康子の生霊であった。六条は光の気持ちを自分のほうへ向けようとする。病室にかつて2人で乗った湖上のヨットが現われ、六条は幸福だった昔の思い出を語り出す。その不思議な魔力によって、葵のことを忘れそうになった光だったが、葵のうめき声で我にかえり、六条の愛を拒絶する。生霊は消えていった。病室の光は、六条康子の家に電話をかける。康子は電話に出て、ずっと家で寝ていたという。その時、病室のドアの外から、さっきの六条の生霊が、忘れた黒手袋をとって頂戴と光に声をかけた。受話器をそのままに光は病室から出て行った。受話器から六条康子の声が響く中、突然、葵が苦しみ出し床の上に転がり落ちて死ぬ。
「班女」ストーリー
実子は、見受けして彼女の家に住まわせている花子のことが新聞記事になってしまって不安を隠せない。花子は吉雄という男を愛して扇を交換した。会えることを願い駅のベンチで男を待ち続けているうちに狂ってしまった。花子が
扇を手に、来る日も来る日も駅で吉雄を待っている。世間から花子を遠ざけるために、実子は花子を旅行に誘うが、
花子は聞く耳をもたない。やがて新聞記事を読んだ吉雄が扇をもって実子の家を訪れる。実子は必死になって吉雄を家に入れまいと抗うが、現れた花子と対面してしまう。だが、吉雄を見た花子は、あなたは吉雄さんのお顔ではないと言う。失意のうちに吉雄は去って行く。そして再び、花子の待つ人生、実子の何も待たない人生が続く。
(文:エントレ編集部)
IKENOSHITA MISHIMA PROJECT 池の下 第25回公演 『葵上/班女』
作:三島由紀夫(「近代能楽集」より)
演出・美術:長野和文
出演:稲川実加、こもだまり(昭和精吾事務所)、平澤瑤、芹澤あい
2017年12月14日(木)-17日(日)/東京・絵空箱
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