2017.9.22

青年座「真っ赤なUFO」物語の中心を担う山﨑秀樹×小林さやか対談



左より 山﨑秀樹、小林さやか
青年座「真っ赤なUFO」左より 山﨑秀樹、小林さやか 撮影=坂本正郁
 

青年座「真っ赤なUFO」が9月29日から青年座劇場で上演される。脚本は太田善也。

 
今回の「真っ赤なUFO」は、ピンクレディーのUFOが流行っていた昭和の時代を舞台に、普通の父親とその家族が、予想もしない出来事に巻き込まれていくというストーリーだ。

演出は青年座公演『つちのこ』、朋友公演『ら・ら・ら』など太田善也作品を多く手掛けている黒岩亮が務める。

 
以下は、物語の中心となる山﨑秀樹(父親役)と、小林さやか(母親役)による対談が、青年座製作部より到着した。

 
左より 小林さやか、山﨑秀樹 撮影=坂本正郁
左より 小林さやか、山﨑秀樹 撮影=坂本正郁

今回、山﨑さん演じる清は、一番精神的に追い詰められる役ですよね。

山﨑 もう、すごいしんどい。楽に芝居できる瞬間がないからさ。ストレスがかかることが次から次に起こって。演劇体力がないから、台本読み終わった後すげー頭痛くてぐったりしちゃうんだよね、みんなにはそう見えてないんだろうけど。「なんか大変だなぁ」って思いながらやってる。でも、パッパラパーとやってちゃだめだろうな。一幕はピリピリして怒っちゃったりとかしてるけど、奥さんとの修復というか、家族の再生というか、最後はハッピーエンドで救われるといいな。

 

作者・太田善也さんはどんな方ですか?

小林 才能はもちろんあると思うけど、優しくて、めちゃくちゃ気弱かな。そうだからダメな人間を書ける。そういうのが(太田さんが主宰していた)散歩道楽だったんだよね。散歩道楽も解散して…立派なものを書かなきゃいけないってなると、たちまちどうしていいか分かんなくなっちゃうんだけど。
山﨑 作家として要求されるものも変わってくるだろうし。
小林 弱くてダメな人間って優しいよ。人の弱い部分をよーくわかってるから。(太田くんは)ダメな人間をすごく愛おしいと思って書くかな。

 

小林さんが感じる、太田さんのここが変わったなと思う部分はありますか?

小林 昔、(私が組んでいるユニットの)トローチに『スウィング・アウト・ペアレンツ』(*1)を書いてもらったのが、ちょうど太田くんに子供ども出来た時だったのね。それまでは息子側の心情に焦点をあてて書いていたのが、子どもを扱う親の気持ちを書いてくれたの。今回も父親目線で書かれている作品だよね。父親側を豊かに書いていこうとしてるのかも。そういう変化があるのかもしれない。

 
左より 矢崎文也、山﨑秀樹、小林さやか、平尾仁、山賀教弘 撮影=坂本正郁
左より 矢崎文也、山﨑秀樹、小林さやか、平尾仁、山賀教弘 撮影=坂本正郁

お二人は黒岩作品への出演回数が多いですよね。黒岩さんの印象について聞かせてください。

小林 黒岩さんはね、オタクだと思うの。
山﨑 俺、マニアックって言おうとした。掘り下げ方がすごいよね。『旗を高く掲げよ』(*2)の戦争ものにしろ、今回や『つちのこ』(*3)みたいなコメディ、『タカラレ六郎の仇討ち』(*4)みたいなハードボイルドコメディみたいなのも。広く浅く(の解釈)でいいような気がするものも、ぼっこぼこ深いっていうか。黒岩さんの話を聞いてて、俺の方が上回ってるなって思ったことないからさ。違うな、と思うことはあってもね。すごくいろいろ考えてるなって。一個一個の掘り下げ方が深い。

昔出会った演出家が「演出家は全体を見てるから、その役に関してはキャストがプロフェッショナルであるべきだ」って言われた。キャスティングされた人が一番その役について知ってるはずだし、知ってなきゃいけないと思う。それでも黒岩さんには情報量とか考え方に感服する。「あー、そういう風に見てたんだ」って。

 

小林さんは?

小林 今回は、特に(黒岩さんが)イヒイヒって笑いながらやってるなーって思うの。もともと関西の人だから可笑しいことは好きなんだろうなって。吉本新喜劇みたいなのを見て育ってきたんだろうって感じが昔よりして、可笑しいことを可笑しくやろうとしてるなってことが伝わってくる。
山﨑 笑えるところは笑えるお芝居に持って行くみたいな。 (黒岩さん)楽しんでますよね。
小林 なんか楽しんでる感じする。
山﨑 黒岩さんの経験談をダメ出しの中で話すじゃない。多分、自分の昔の姿を(松田演じる長男)誠に投影してたり、もしかしたら黒岩さんの親父って清みたいな感じだったのかなとか。書いたのは太田さんだけど、設定は、黒岩家の芝居になってんじゃないかって思うことがある。自分が昭和50年代のUFOブームが全盛だった時代を楽しんでるっていうか、そういう風に思えるくらいフラットっていうか。

「自分の方向性に当てはめる」のではなくて「太田さんは、こういう風に書いてきてるから、こうやろう」っていうのが確かにある気がする。今までは、あんな直接的な言い方しないもんね、「ここは落ちるところだから、すっとスパゲティ言って」とか。あれって完全にお客さんを笑わすための方法で、前は周りの出演者がそう思ってても、(黒岩さんは)そういうアプローチはしなかった。

結果的にそうさせたくても「このときはこうだから、お母さんは真剣に言って下さい」って。それに対して真剣に言うからその結果が笑いになるっていうやり方だったけど、今は普通に読んで面白いと思うところをちゃんと太田さんが書いた構造どおりに伝えてる。昔はそれを説明するために・・・
小林 30分とかダメ出ししたり。
山﨑 聞いたことあるんだよね、黒岩さんに。時間をかけて状況説明してもわからない若手の役者が居てね。それでも黒岩さんは、イメージを湧かさせようとする。「そんなの『ちょっと声高く言って』とか『こういう言い方すれば』って言えばすぐだし、逆にその方が役者もすぐ解決していいと思いますけど」って言ったら「僕はそうしたくないんだ」と。「そうすると自分のイメージを相手に渡すだけで、そこから広がらない。自分は状況だけ教えて相手が何を持って来るか。結果的に自分が要求してるようになればそれでいいし、自分が知らない何かが出て来た時は、それはそれでいい」って。それを聞いた時に、黒岩さん流なんだなって思った。
小林 太田君の作品は表層だけをやっちゃうと、面白いのかもしれないけど、だから何だったの?って何もなくなってしまう危険性があるからね。
山﨑 面白くて笑えるだけってなっちゃうとね。
小林 黒岩さんは表層の下に隠された部分をしっかり作らなきゃいけないと思ってるのかなと。だから太田さんと黒岩さんの組み合わせっていいのかもしれない。
山﨑 それと黒岩さん自身が乗ってんのかなって。演出して作り上げる!っていう使命とかじゃなくて、自分が楽しいっていうか。聞いてみたら違うって言われるかもしれないけど。

 

最後にお客様へメッセージをお願いします

小林 いろんな種類の役者さんが出演しています。
山﨑 若い人にも絶対見て欲しいけど、この当時、中学生、高校生、大学生だった人、大人だった人に、この作品を観た時に、当時は俺もこうだったって思って懐かしさを感じながら観てほしいなって思います。楽しみに来てください。

 

※文中補足
*1『スウィング・アウト・ペアレンツ』(トローチ 作・演出=太田善也)
*2『旗を高く掲げよ』(青年座 作=古川健 演出=黒岩亮)
*3『つちのこ』(青年座 作=太田善也 演出=黒岩亮)
*4『タカラレ六郎の仇討ち』(青年座 作=中島淳彦 演出=黒岩亮)

 
本作は9月29日から代々木八幡にある青年座劇場で上演される。

 

(対談取材:小笠原杏緒/青年座製作部、文:森脇孝/エントレ)

 

 

公演情報

青年座「真っ赤なUFO」

作=太田善也
演出=黒岩亮

出演
斉藤清(父)=山﨑秀樹
斉藤康子(母)=小林さやか
斉藤久美子(長女)=當銀祥恵
斉藤誠(長男)=松田周
斉藤ハル(祖母 清の母)=山本与志恵
柴龍之介(久美子の恋人)=高松潤
小早川ちとせ(近所の主婦)=井上夏葉
野呂邦夫(TVのディレクター)=矢崎文也
遠山水心(小説家)=平尾仁
立木雅彦(数学者)=山賀教弘
戌井健(野呂の部下)=伊東潤

2017年9月29日(金)~10月8日(日)/東京・青年座劇場

公式サイト
青年座「真っ赤なUFO」

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