2017.5.16

第3回クォータースターコンテスト QSC3演劇業界人レビュー 結果一覧


第3回クォータースターコンテスト(QSC3)
演劇業界人レビュー 結果のまとめです。

公益財団法人 北海道演劇財団 劇場運営グループ シアターZOO 支配人(北海道)
阿部雅子

花掘レ「ダミークリスマス」

見どころにも書いてある通り、まさしく「観れば観るほど発見のある動画」でした。3人で撮ってると思いきや「え、実は4人いる?」と思わせる部分が画面の気持ち悪さを助長させていたり、全体を通じてじわじわ伝わってくる男兄弟ならではの空気感など、シンプル過ぎず、必要以上に展開し過ぎず、最後まで飽きずに観させる素晴らしい構成でした。また、マッチを擦る音や、作品にしっかり組み込まれた生演奏、絶妙なセリフの間合いなど、音楽作品としても楽しめて、一粒で何度も美味しい動画と言えるのではないでしょうか。そしてつい、言いたくなりますね、「神よ!」

公社流体力学「頭の中の蜂」

壁とガラス戸の比率が絶妙な撮影場所のセンスが好きです。
が、彼が気になりすぎて、ストーリーが全然頭に入って来なかったんですけど、とりあえず、節水は心掛けようと思いました。

to R mansion「BAR OK」

ワンカットを全く感じさせない素晴らしいスタッフワークに感服。カメラワークも照明も衣装も美術も隙のない感じで、まるでアート作品のようでした。人物の心情に近寄れるシーンがもう少し入ると、物語性がより一層深まりそうですね

 

シアターグリーン支配人(東京都)
朝比奈文邃

僕は齢四十を超えるおじさんです。最近ちょっと・・いや結構太ってきました。きっと中年太りと呼ばれるや〜つです。通風が怖いです。中性脂肪が気になります。ドライバーが右に曲がります。EAT SLEEP EAT SLEEPするおじさんです。ハイボールのCMの井川遥さんが大好きです。一般的な善良なおじさんが・・・恋をしたくなりました。心が踊りだしました。お腹の脂肪がプルプル震えました。そしてちょっと歌いました。

僕を、少しの間だけ甘酸っぱい遠いあの日にバックトゥーザ・・・過去・・にしてくれた作品、「ヒットナンバー」。それはきっと僕の人生を変え・・はしないけど、「夏の日〜!」って一緒に言いたいし、カメラのレンズについた指紋をすごく拭きたい15分でした。

 

三重県文化会館(三重県)
松浦茂之

気になった作品は3つ。
まずはto R mansion『BAR OK』
ワンカットとは思えない映像クオリティと「世にも奇妙な」系の世界観、そして出演者らの超絶パフォーマンスが印象的でした。15分の作品としての完成度の高さに驚きました。
続いて中野劇団『全員記憶喪失』
15分以内の制約がある中で、前後に広がる無限の時間を妄想させられました。1ループ目が既に何十ループ目だったと妄想するともうツボすぎです。
最後に週刊パラドックス『会話劇2014』
これが演劇なのかどうか判断は分かれるところでしょうが、指の動作やコメントの躊躇、そしてLINE上での今風な会話のやりとりは確かに演劇的で、うすら寒さを覚えました。

  

in→dependent theatre 劇場 プロデューサー(大阪府)
相内惟史

正直、舞台を映像で観るのがニガ手です。舞台自体がどんなに素晴らしくても映像になった瞬間に失われるものは大きい。舞台の演出意図を踏まえた上で編集が施されていてもその感覚は拭えない。だからこの企画にも正直懐疑的な面がありました。
ですが、完全に考え違いでしたね。この企画は舞台の映像記録でも、単なる映像作品でもなく、カメラを通して観る演劇だなと感じました。
それぞれの作品に1カットの短編演劇として、15分で何をどう描くかというアイディアの面白さを感じました。
特に印象に残って気に入ったのは、あやめ十八番「江戸系 紅千鳥」MoratoriumPants「ヒットナンバー」です。
他の方がどう見て、そしてこの2作が受賞なるか?僕も楽しみにしています。

 

福岡・九州の地域舞台芸術文化を支援するNPO法人FPAP(エフパップ)プロデューサー(福岡県)
森國真帆

あやめ十八番「江戸系 紅千鳥」・・・暗い部屋の中で照明をあてて役者だけ浮かび上がらせる手法が見事。人形がとてもこわいけど、目の離せない作品。
ガキダラケ「ハッピーゾンビ」・・・ゾンビと化して襲ってくる時の表情がいい。ゾンビから逃げまわる撮影が大変そう。
中野劇団「全員記憶喪失」・・・謎解きミステリーと思わせておいて、まさかコメディで終結するなんて。話が進まないことがもどかしくて面白い。
花掘レ「ダミークリスマス」・・・壁のダンボールが外された瞬間、抽象的な美術ではなくて現実として作品世界に存在していたとわかる仕掛けが見事。
short drama unit teeny-weeny「空気セイジョウキ」・・・冒頭のイライラさせる夫婦喧嘩がいい。セイジョウキと共に生活をする勇気はないけど、オフィスにあると便利そう!
公社流体力学「頭の中の蜂」・・・本人は必死に幽霊について訴えかけてくれるんだけど、なぜか笑っちゃって愛おしくなってくる。
Moratorium Pants「ヒットナンバー」・・・ナレーターの笑顔や、音楽、お客さんのアンサンブルが心地いい。
to R mansion「BAR OK」・・・カメラワークが素晴らしい。彼らの得意とする大道芸的なパフォーマンスが、カメラで視覚が限定されることで不思議さが増している。
JUNK YARD「30DOLL」・・・15歳の少女たちが何を思って自殺をしたか。日常が愛おしくなる物語だった。
かのうとおっさん「すみれ高校生徒会事件簿」・・・2人の妙なキャラクターと、ワダくんのセンスのない効果音のシュールさがいい。
プラズマダイバーズ「ミスター桃色袋小路。」・・・電気はつかない、眠ってもいけない、サンタクロースを信じる三十路過ぎの男のアパートの世界が、エベレストの山中に転がっていく展開が面白い。
週刊パラドックス「会話劇2014」・・・舞台の演劇で同じことをするのは難しいかもしれないけど、演劇「動画」だからこそ成功した手法だと思う。
イヂワル「かたむき」・・・就職先、というものさしで人間関係の強弱が変わっていくさまがいい。

 

福岡のステージ情報満載のフリーペーパー シアタービューフクオカ編集長(福岡県)
筒井あや

まずは、15分以内、編集NGのワンカットで、ここまで様々な作品ができるということに驚きました。最終選考に残った作品は、どれも似ているものがなく、コンセプトや演出にも、制作者のカラーが色濃く出ているように感じました。
まさに演劇的な映像作品。ただ撮影するのではなく、その中に新しいアイディアや“今”を感じられる演出がなされていました。映像ではなくライブでみたいと思う作品もあり、見応えのあるラインナップでした。個人的には、「あやめ十八番」「to R mansion」は、ビジュアルや構成がスムーズできちんと考えられていて俳優の演技を見せている。作り手の楽しみだけではなく、観る側を意識した作品だったので、他の作品も観てみたいと思いました。ただ、全体的に、器用な作品が多かったなと。演劇だからできること、映像だからできること、をより強く意識させられる部分を見たかったようにも思います。とはいえ、チャレンジすることから全ては始まります。どの作品も次回作が楽しみな作品でした。これをステップに、ぜひ、次のステージへ!

 

 ≫広告掲載のご案内

Tag (キーワード)


前の記事と次の記事

編集部ピックアップ!

エントレがおすすめする他の舞台

Copyright 2017 Village Inc.