2017.3.24

中村倫也 出演×千葉哲也 演出 「怒りをこめてふり返れ」が7月に新訳上演



舞台「怒りをこめてふり返れ」左から中村ゆり、中村倫也、浅利陽介
舞台「怒りをこめてふり返れ」左から中村ゆり、中村倫也、浅利陽介
 

ジョン・オズボーンの「怒りをこめてふり返れ」が水谷八也による新訳で7月12日から新国立劇場 小劇場で上演される。演出は千葉哲也。出演は中村倫也、中村ゆり、浅利陽介など。

 
1956年ロンドン。それまで中産階級社会をウェルメイドに描く作品が主流だったイギリス演劇界に、本作「怒りをこめてふり返れ」は突如現れた。

下層階級の主人公が、根強い階級格差や、すでに斜陽となった大英帝国への焦燥、不満、怒りを本音でぶちまける姿が観客に衝撃を与え、「怒れる若者たち」の名で世界中に社会現象が巻き起こったという、歴史的問題作だ。

演出は千葉哲也。翻訳は『わが町』『るつぼ』の新訳を手がけた水谷八也。
中村倫也、中村ゆり、浅利陽介、三津谷葉子、真那胡敬二が出演する。
 

STORY

英国中部の大きな町の、とある屋根裏部屋。貧しい下層階級に生まれたジミーは、妻アリソンと、同じ下層階級出身の友人クリフとの奇妙な三人の共同生活を続けていた。ジミーは、政治、宗教、あらゆる旧世代の価値観や秩序に激しい怒りをぶちまけ、さらに搾取により裕福で欺瞞に満ちた生活を送る憎むべき中産階級出身の妻アリソンにいらだち罵倒する。善良なクリフは、ジミーに怒りの矛先を向けられ憔悴したアリソンをやさしくなぐさめるのだった。

殺伐とした生活が続いていたある日、アリソンの友人ヘレナが部屋を訪れる。窮状を見かねたヘレナは、アリソンの父親レッドファーン大佐に連絡を取り、説得されたアリソンは実家に戻るのだが……。

 

◎翻訳 水谷八也からのメッセージ

21世紀のジミー・ポーターへ
あの時、君はなぜあんなに怒っていたの? 何をあんなに苛立っていたの? 君のあの気持ちはどこから生まれて、どこに向けられていたのだろう。今でも、あの熱はなんだったのか、考えてしまうことが時々ある。君がロンドンのロイヤル・コート劇場で手当たりしだいに悪態をつき、古典劇や上流階級主体の客間劇ばかりで停滞気味だったロンドンの演劇界にショックを与え始めたのが1956年5月8日のこと。

ジョン・オズボーンの『怒りをこめてふり返れ』は、台所のガスレンジが丸見えの古びたアパートの屋根裏部屋が舞台となっていることも、主人公である君の知的ではあっても上品とは言えない言葉づかいも、機関銃のように喋り散らす圧倒的な言葉の熱量も、時に観客を挑発するかのような態度も、異例づくめだった。大体、君自身、旧態然とした現実を鋭く糾弾してるくせに、妙に律儀で義理堅い古風な一面も併せ持つ複雑な人間だ。自分でも持て余すほどの生命力を
抱え込んだ不器用な男・ジミーを、当時の観客はどう扱えばよいのか戸惑ったと思う。本当に面倒くさい奴だ。でも、君の存在は意外と大きくて、『怒りをこめてふり返れ』以後出てくる若い作家たちは、怒っていようがいまいが、「怒れる若者たち」と呼ばれることになってしまった。

1957年、君の熱は日本にも伝わり、日本橋の洋書屋でこの戯曲を立ち読みしていた当時演出家にもなっていなかった木村光一は、冒頭の場面を目にしただけで魅了され、翻訳に取りかかる。『怒りをこめてふり返れ』は1959年5月に文学座のアトリエ公演として上演され、夏には演劇雑誌『悲劇喜劇』が「怒れる若き世代」という特集を組み、秋には雑誌『文学界』が「怒れる若者たち」と題して、石原慎太郎、江藤淳、浅利慶太、大江健三郎らの熱い議論を掲載している。
君の怒りの熱はそれほど高かったということだ。

それから約60年たった今、世界には怒るべきことが明確に増え続けているように思う。その多くが直接〈生命〉に関わることだ。60年前も21世紀になってしまった今も、「生」の問題は何一つ解決されていない。むしろ状況は刻々と深刻になってきてるんじゃないだろうか。だから、厄介者かもしれないけれど、君のあの怒りの中を覗いてみれば、君が過去の人ではないことがわかると思う。やり場のない怒りや苛立ちが古びもせず、今でも熱を持ち続けていることがわかるんじゃないだろうか。
だから、もう一度、みんな、君の熱に当てられてもいい頃だと思う。いや、むしろ、当てられたいかな。だから、応援するよ。

 
◎演出 千葉哲也からのメッセージ

人と人が「関わり」を持つ
この時人は様々な感覚を手に入れる
一般的に使われる「喜怒哀楽」
例えば「愛」という感覚を「喜怒哀楽」で分解してみても
「愛故の喜び」
「愛故の怒り」
「愛故の悲しみ」
「愛故の楽しみ」
言葉で書けばたった4通りでシンプルである

しかし人はそんなにシンプルなのだろうか
「愛を手に入れた喜びと同時に、どうしようもない怒りにかられ、
そして楽しければ楽しい程、深い悲しみに捉われる・・・」
4通りどころか無限の可能性がありはしないか
シンプルに生きたいがシンプルには生きられないのではないだろうか
人は自分も他者もコントロールしているつもりで出来てはいないのではないだろうか
多分、生きる事は「1+1=2」にはならないのである
いや、なってはいけないのではないだろうか
だからこそ、「無感覚」や「無感動」にならずに「関わり」を持とうとするのではないだろうか

前を向き、時にはふりかえり・・・コントロール出来ない自分や他者と、
コントロールできない「関わり」を持って・・・
コントロール出来ない「喜怒哀楽」を抱え込んで・・・
自棄にならず無限の可能性に立ち向かい・・・そして覚悟を持って生きていく

『怒りをこめてふり返れ』、この戯曲の中には宝石箱のように、
様々なコントロール出来ない「喜怒哀楽」に満ちている
それを丁寧に、時には荒々しく乱暴に、残酷に愛を持って・・・「1+1=2」にならない様に
カンパニー全員が「関わり」の中突き進みそして、「関わり」を持ってふりかえる
そんな作品になればと願う。

 
とても激しい感情が込められたお芝居になりそうで、今から楽しみだ。

一般発売は4月22日から。
詳細は公式サイトで。

(文:エントレ編集部)

公演情報

舞台「怒りをこめてふり返れ」

【作】ジョン・オズボーン
【翻訳】水谷八也
【演出】千葉哲也

【出演】
中村倫也 中村ゆり 浅利陽介 三津谷葉子 真那胡敬二

2017年7月12日(水)~30日(日)/新国立劇場 小劇場

舞台「怒りをこめてふり返れ」 公式サイト
ぴあでチケットを購入icon
ローチケでチケットを購入icon


 ≫広告掲載のご案内
こちらの記事も合わせてどうぞ!

最近の記事


 ≫もっと見る
 

編集部ピックアップ!

エントレがおすすめする他の舞台



Copyright 2017 Village Inc.