坂東玉三郎「鼓童でも歌舞伎でもない、幽玄を作る」/「幽玄」製作発表レポート

坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」製作発表より
坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」の製作発表が行われ、坂東玉三郎と鼓童の石塚充と中込健太が登壇した。
鼓童は佐渡を拠点に世界中で活躍する太鼓芸能集団。坂東玉三郎は2000年に鼓童と出会い、2003年には坂東玉三郎の演出で「鼓童ワン・アース・ツアー スペシャル」を上演。
さらに2006年には坂東玉三郎が出演し「アマテラス」を上演。2013年の再々演では東京・福岡・京都の67公演が完売するなど大好評のうちに公演を終えた。
そして今回、坂東玉三郎が演出・出演し、新作「幽玄」を上演する。
世阿弥が見た世界を「羽衣」、「道成寺」、「石橋」など能の代表演目を題材にして表現することに挑戦する。
本作の製作発表が行われ坂東玉三郎、鼓童の石塚充と中込健太が登壇した。
製作発表の冒頭で坂東玉三郎は、
「みんなに、『どんな作品を作りたいの?』と聞いたら『日本のものをやりたい』ということだった。今回は、鼓童とも歌舞伎とも違った『幽玄』というものを題材にしました。」と挨拶。
作品は能をベースにしながらも、「能楽の楽器を使うわけではなく、能の様式を使いながら、鼓童の演奏に翻訳してやっていく。」とし、さらに「鼓童のみんなは謡(うたい)をうたいます。」と話した。これまでの鼓童の舞台とはかなり違ったものになるようだ。
鼓童の石塚充は本作の稽古について、
「普段 鼓童は生活の中で人が自然に歌うように出て来た音楽だと思うが、今回は人間じゃないところに行くことが要求されている。」と、能の呼吸や間の取り方の難しさについてコメント。
また、17年前に坂東玉三郎が鼓童と出会ってから、鼓童にどんな変化があったかという質問には、
「当時しきたりがたくさんあったが、玉三郎さんは『何故?』と気軽に質問してくれた。それまで無かった発想をどんどん投げかけてくれたので、僕たちも受け止めるのが楽しかった。」と答え、中込健太も、「最初は叩いていれば楽しいという感じだったが、お客様に作品を観てもらうというのはどういうことなのかを教えて頂いた。」と話していた。
坂東玉三郎も「歌舞伎も能も決まり事がある。でも、作品を作る上では決まり事を自由に考えていかないと、お客様が楽しめるものにならない。かといって、壊せばいいというものでも、楽しければいいというものでもない。その線を引いていくのが稽古だと思う。」と、今回の公演のみならず、舞台を作る上でとても大切なことを語ってくれた。
鼓童でも歌舞伎でもない、新しい「幽玄」の世界に出会えるのが楽しみだ。
本作の東京公演は5月16日(火)からBunkamuraオーチャードホールで上演。その後、新潟、愛知、福岡、京都でも上演される。
なお、東京公演の一般発売は2月4日(土)から。
(撮影・文:森脇孝/エントレ)
坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」
演出・出演:坂東玉三郎
出演:太鼓芸能集団 鼓童 花柳壽輔 花柳流舞踊家
2017年5月16日(火)~5月20日(土)/東京・Bunkamuraオーチャードホール
2017年5月26日(金)~5月28日(日)/新潟・新潟県民会館
2017年5月31日(水)~6月2日(金)/愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
2017年9月2日(土)~9月18日(月・祝)/福岡・博多座
2017年9月21日(木)~9月23日(土・祝)/京都・ロームシアター京都メインホール
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