大竹しのぶの体を通して突き抜けるピアフの生涯/舞台「ピアフ」観劇レビュー
大竹しのぶの体を通して突き抜けるピアフの生涯/舞台「ピアフ」観劇レビュー
2月7日(日)よりシアタークリエにて上演が始まった大竹しのぶによる3度目の『ピアフ』。
ピアフが、大竹しのぶに舞い降りた!
とはよくいったものだと思った。
フランスの貧民街でピアフが見いだされ、世界的なシャンソン歌手になり、そして転落していく。その生きざまをこれでもかと見せつけられた。
目まぐるしく変わる時代、ピアフに関わる多くの人、そして愛。
ともすれば人生のダイジェストのようにもみえるその舞台を、大竹しのぶは間違いなく生きていた。

舞台「ピアフ」舞台写真
ピアフの代表曲14曲もその人生とシンクロした。
恋人マルセル・セルダンとの出会いの感謝を歌った「私の神様」。そこからの燃えるような愛の語らいと恋人の死による喪失の場面は、短いシーンながら歌と大竹しのぶの演技との相乗効果でより衝撃的に映った。
激しく恋に生き、歌に生きた人間臭いピアフの姿。特に転落し、最後の伴侶テオ・サラポを得て、晩年に至るまでの演じ方は見事としかいいようがなかった。
髪型以外、外見上ほとんど変わっていないのに力なくしおれていくピアフ。これを演技一つでやってのけた大竹しのぶの表現力。
本当に素晴らしかったので、「まさに脱帽」という言葉しか出てこないのだ。
また、初演からピアフの貧民街からの親友トワーヌを演じる梅沢昌代のあっけらかんとした変わらぬ立ち位置、ピアフの歌手仲間として親交の深かったマレーネ・ディートリッヒを演じた彩輝なおの妖艶さ、シャルル・アズナブールの伊礼彼方をはじめとしたピアフ好みの美男子たちの競演。
ピアフを慕う人間群像が、ピアフという人間の光と影の部分を色濃く投影させていた。
物語のすべてが終わったとき、『水に流して』を歌い舞台に立つ大竹しのぶは、まるでピアフが今、生まれ直したかのような輝きに満ちていた。
東京公演は3月13日(日)まで。その後、大阪、広島、愛知にて上演される。
舞台「ピアフ」公式サイト
ぴあでチケットを購入
(文:平岡基)
公演情報
舞台「ピアフ」
[作]パム・ジェムス [演出]栗山民也
[出演]大竹しのぶ / 梅沢昌代 / 彩輝なお / 伊礼彼方 / 碓井将大 / 川久保拓司 / 大田翔 / 津田英佑 / 横田栄司 / 辻萬長 / 他
2016年2月7日(日)~3月13日(日) 東京・日比谷シアタークリエ
2016年3月19日(土)~3月21日(月) 大阪・森ノ宮ピロティホール
2016年3月23日(水) 広島・JMSアステールプラザ大ホール
2016年3月26日(土)~3月27日(日) 愛知・中日劇場
最近の記事
≫もっと見る
編集部ピックアップ!
エントレがおすすめする他の舞台