2015.12.25

QSC4 審査員のコメント全文を掲載します!/行定勲さん編


第4回クォータースターコンテスト

第4回クォータースターコンテストの4人の審査員のコメント全文を掲載します!

 
第4回クォータースターコンテストの審査員を務めて頂いた鴻上尚史さん、野宮真貴さん、行定勲さん、CINRA.NET編集長の柏井万作さんのそれぞれのコメントを書き起こしました! 全部で4ページ!
3ページ目のこちらは、行定勲さんによる選評です!

行定勲
行定 勲(映画監督)


3位 選評

2年連続審査をさせていただいて、明らかに傾向と対策がなされているというかですね。こういう方が審査として高い評価をもらえるのね?みたいな(笑)。そういうものもちゃんとありつつだけど、僕は一応映像を仕事にしている映画監督なんですけど、いやぁみんな面倒くさいことしてるなぁと!

全体として、僕は演劇も最近やらせて頂いているんですけれど、すごく稽古を必要とする作品と、なんか衝動的にそこからはみ出して、パワフルに何かを描く作品。多分このQSCの場合、その2つのうちの、どちらかが秀でているものがいい気が僕はしていたんですね。

今回は、正直に言うと、ものすごくパワフルで、演劇の枠から映像の枠に、はみ出していくような、フレームからはみ出していって、それを追っかけて行った先に何かすごいものを勝ち取るような・・・。そんなパワフルな作品はあんまりなかった。

どちらかというと、緻密に練られて稽古していて、15分という中のワンシーンワンカットの中で、ちゃんと観客に伝わるように、繋ぎも含めて、計算されている。そういう完成度の高いものがあったので、今回は、全体として、観ていて楽しかったです。

ただ、僕は本来は、フレームからフレームアウトしてどんどんそれを追っかけていくと、すごい何かが見えるとか、そういうものを期待していたので、面白くは観ていたんですけど、ちょっと半分残念なところもあって。

じゃあ、どういう審査基準にしようかなと悩みましたが、やっぱり、稽古をすごくちゃんとやってる。準備がちゃんとできていて、その稽古がこの1回のためにきっちりうまくいった作品を完成形として作ってみせる作品。そういう作品を、上位3組を選ばせていただきました。

 

私が選んだ3位は、福谷圭祐(匿名劇壇)の『ON(OFF)-THE-RECORD』です。

まぁ、面倒くさいことをしてますよね!冒頭、これはよくやるんですけど、鏡の中の人間を、合成とかで合わせといて、パッといなくなる。そうすると、鏡の中だけが喋りだす・・・。みたいな。

昔からよくあるようなことなんだけど、案外「お?!」って思うところから始まり、それが全部、虚構というものと現実というものと、その境界線みたいなものと。実際、本音っていうかね。建て前があるんでしょうけど。

福谷圭祐(匿名劇壇)『ON(OFF)-THE-RECORD』
福谷圭祐(匿名劇壇)『ON(OFF)-THE-RECORD』

本音と、一番最後にメタフィクション的に、その撮影時のどんでんから、また更にどんでん。という(笑)そのメタフィクションが、ただ「誕生日おめでとう」っていうビデオが、すごく忌まわしい雰囲気に変わっていき、最後には「アンタの本音聞かせてよ」っていう。

女の子のキャラクター個人の話から、撮影している自分達にメタフィクションに変わっていくところが、すごく小気味よく観られたのと、ちょっと複雑になっているところもあるんですけど、言いたかったことや印象的な言葉もあった。

カメラの前で「私は女優だから演技し続けるよ」と、言い続けているところを、どんでんさせて、最後にカメラを向けることで、撮ってる人間をみせる。と、思いきや?!と、いう流れが、思ってたフレームからはみ出した世界みたいなものを感じさせるというか・・・。

即興というか、その時にしかない衝動みたいなものがあるし、ちゃんと稽古している。そこをすごく観ることができたので、これを3位にさせてもらいました。


2位 選評

私が選んだ第2位は百舌の「N.O.A.」です。

SIRIの声って非常にまぬけなんですよね。自分の日常でもSIRIって言う事おかしいしちゃんと理解してくれない。それを逆手にとりながら、
導入からSIRIの声にやられましたね。

男の声と女の声がSIRIが出てくるんですけど「HER」という映画にも似たところがあって、人工知能ではないですが、自分の間違いをただしてくれるという。物語として非常にSIRIの言葉がものすごく気持ちが入ってくるし、それが魅力的だったなと思いました。

百舌『N.O.A.』
百舌『N.O.A.』

映像もすごく凝っていて、良く作ったな、どうやって作ったんだろうというめんどくささですよね。全部これがちゃんと稽古されていないと、役者との呼吸も合わない、都合ではできないというか。

あとカメラワークですね。全体を見せないという良さですよね、車の中に入ってきて、ガラスの映りが赤く映っているんですけど、あれどうやってるんだろうなと思うし、洒落てたし、画のセンスもすごくあるなと思って、僕は百舌の「N.O.A.」を2位にさせていただきました。


1位 選評

わたしが選んだ1位は、あやめ十八番の「江戸系 猿踊」です。

前回もすごい力があるのは分かっていたし、今回はさらに更新してきたというか「これじゃダメならこれだ!」という明らかに前のネタよりブラッシュアップされているというか、強い話を持ってきたなと思いました。

後ろで控えている俳優たちと、その説明を最初にされるわけですが、最後にキリストがでてくるということは「十二人の使途」なのねと思いましたし、話としては見応えがあったし役者の芝居とキャスティングがすごいいいと思ったのと、まず演劇的であるということですね。

あやめ十八番『江戸系 猿踊』
あやめ十八番『江戸系 猿踊』

カメラが引いて寄っていくというそれだけなんですが。カメラ自体にたくさんの作為がなくて演出に沿ったカメラワークとライティングが素晴らしいのと演劇を映像の為にきっちり演出し直した演劇というか、フォーメーション、人の立ち位置とステージングが巧いということと、見やすかったです、今回。そしてそういう意味では奥行きがあって面白かった。アイディアも分かりやすくて。

もう、あやめ十八番さんは、これで一位が獲れたら、もういいんじゃないですかね。もう見たくないというわけじゃなくて、もう立派な作風を持っているので。前回の作品も見直したいなと思うくらいでした。今回僕はすごく好きで、力があるなと思わせた。そこがよかったです。

他にもいい作品はあったんですよね。「ここにいる」とか「大人になんかなりたくない」、「かえる的懐疑論」、「RASHINさんの話」ですね。
役者がすごく立っている作品で、じゃあなんでそっちを選ばなかったんだろうなと思うんですが(笑)
どっかで稽古をして、ほかの作品ももっちりきっちり稽古をされていると思うんですが稽古のディープさというか、そこが強いものを選びました。

 
演劇も映画もそうですけど、めんどくさいことを避けている作品はあまり面白くないんですよ。ちゃんと稽古されている作品が面白い。

めんどくさいことをしている映画こそどんどん減っていて、短絡的なものになりすぎてて、役者に頼っていたりとかね。そういう意味で貴重なのは、こういうコンテストに出すためにどれくらい練習したんだよという努力。

努力に勝る美しさはナシ、ということでこの3本を選ばせて頂きました。

 

※最後の4ページ目は、CINRA.NET編集長 柏井万作さんの選評です!

 
(文:森脇孝/エントレ)

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