奇跡のひとり芝居「障子の国のティンカーベル」が7月に再演!/毬谷友子に単独インタビュー!
毬谷友子 ひとり芝居「障子の国のティンカーベル」
毬谷友子のひとり芝居「障子の国のティンカーベル」が
7月12日(日)から東京芸術劇場シアターウエストで上演される。
出演の毬谷友子に本作への想いを聞いた。
「障子の国のティンカーベル」は野田秀樹が25歳の正月に3日間で書き上げた幻の傑作一人芝居。
2014年に毬谷友子と奥村佳恵の2バージョンを上演。
若き野田の繊細な想像力が炸裂する「言葉遊び」と
椎名林檎のメロディなどを用いた「歌」が随所に散りばめられた舞台で好評を博した。
野田地図の賄いエッセイのコーナーによると、
実はこの「障子の国のティンカーベル」をやりたいと言ったのは、
毬谷友子自身だったとのこと。
そこには、
「細かくは、毬谷友子に聞いて欲しい。」と書いてあったので、
この企画が立ちあがるなりゆきや、
この舞台にかける想いなどを本人に直接伺ってきた。
以下は毬谷友子の単独インタビュー動画。【7分】
「障子の国のティンカーベル」 昨年上演した経緯を教えてください
-戯曲を読んでみましたが、どうやって舞台化するだろうと思いました。
毬谷友子
「そうなの、私も戯曲を読んだ時に、面白いんだけど、
現実として考えた時に、これは無理だろうって思いました。
演じ手のことなんか何一つ考えずに勝手に書いただろうっていう印象で。
実際にそういうところもいっぱいあったりして。
でも、面白いんですよね!
『いや、これ無理だろう!』って上演されずに
消えて行ってしまうってことがどうしてももったいないのと、
私は個人的に、野田さんの『贋作 桜の森の満開の下』で夜長姫で
毬谷友子を大きくしてくれたっていう、恩を感じていて。
この作品を私が文字からおこして立ち上げて、
面白いっていうものを作って、
これを観た人が『私も挑戦してみよう』ってなって、
この芝居が劇場で生き続けられるために
やらなければって思って、
野田さんにやってみたいんだけどってお願いしました。
『いいよ!』って言ってもらえたんですが、
上演にこぎつけるまでは10年くらいかかりました。」
「障子の国のティンカーベル(2014)」舞台写真撮影:引地信彦(Nobuhiko Hikichi)
昨年演じてみていかがでしたか?
毬谷友子
「去年は、お芝居の稽古が始まったのが箱根駅伝の次の日で、
『ひとり箱根駅伝』って言って、
まだ2区だ、まだ3区だ、山越えがあるって言ってやってました(笑)
野田さんの書く戯曲なので
想いとか時間とかが自由自在に飛ぶわけですよ。
言葉も突然『本棚!』とか、なんの脈絡も無く出てきたりするんで、
覚えるっていうことも大変だったし、
当たり前ですが、私一人しか出てこないので
誰かがせりふを言っている時間とか、袖に引っ込む時間とかが無いわけですよ。
唯一ピアノの後ろでティンクからピーターに早変わりをする時に、
3秒間だけ黙ってられるんですね(笑)
そこだけなんです!
だから本当に去年は大変だったんですけども、
今年はちょっとでも楽しめる余裕が見つけられればと思っています。」
「障子の国のティンカーベル(2014)」舞台写真撮影:引地信彦(Nobuhiko Hikichi)
音楽は椎名林檎さんですね
毬谷友子
「最初に野田さんにこの作品をやりたいって言った時に
『いいよ、でもね、これ音楽が大事だから、音楽をすっごい面白い人に
書いてもらわないと、面白くないかもしれない』って言って、
私が『椎名林檎さんはどうだろう』って言ったら
『林檎さんだったら絶対いいよ!』って野田さんが言ってくれて。
たまたま、それから何日か経った時に、
別の劇場の客席で、勘三郎さんにお会いして、
勘三郎さんが『彼女、とんちゃんのファンなんだって』って言って
椎名林檎さんを紹介してくれたんです! そういう偶然があって。
そこから椎名さんとの交流が始まって、
今回も林檎さんの有名な曲を使わせて頂いているんです。
結構、野田さんは私を信頼してくれている部分が大きくて、
『歌詞を林檎さんの曲にあてはめるのは、とんちゃんやって』
『どこをカットするかは決めて』っていうんですよ(笑)。
結構大変でした。
でも、天才のデジャブとでもいうのか、
これもまた不思議だったんですけども、
最後の曲に関しては野田さんの歌詞をほとんどいじることなく
Aメロ、Bメロともにピッタリ当てはまったんですね。
そんな奇跡的なこともあったりしました。
林檎さんが当日見に来て、
『こんなにクオリティが高くなっているとは思わなかった』って
言ってくださって! すごく嬉しかったですね。」
「障子の国のティンカーベル(2014)」舞台写真撮影:引地信彦(Nobuhiko Hikichi)
本作とは直接関係のない特別質問なのですが、
これまで観た中で、毬谷友子さんが最も影響を受けたお芝居を教えてください。
毬谷友子
「ピーター・ブルックの『真夏の夜の夢(1973)』です。
私が小学校1、2年生の時に日本に来たんですよ。日生劇場だったんですけどね。
今や伝説で、観た人もなかなかいないと思うんですけども・・・。
父は私が女優になるだなんて1ミリも思っていなかった人なんですけど、
『本当にいいものは見せておいたほうがいい』と言って見せてくれたんです。
真っ白な舞台で、つるっぱげのおじさんがパックをやっていて、
今まで自分が生きてきた中で一度もいたことの無い空間で息をしたんですね。
その衝撃が私の原点かもしれないですね。
劇場が持つ、現実とは違う空間に行ってしまうっていう感覚。
劇場って、ある時間だけ現実と切り離されて
そして、舞台上の人間と同じ空気で息をするっていう
そういう不思議な空間だから。
それは、映画を観たり、ネットで劇場中継を観るのとは全然違って、
やっぱり生の舞台を生の劇場で見るっていうことは
すごいことだと思うから、やっぱり劇場にみんな来てほしいって思います。」
インタビューの最後に毬谷友子は
「これで私がピーターやティンクを演じるのは最後になる」と語っていた。
実現不可能かと思われた戯曲から面白い舞台を作り、
この作品を劇場で生き続ける者にしたい。
毬谷友子がこの作品にかける
並々ならぬ想いが伝わってきたインタビューだった。
本作は7月12日(日)から東京芸術劇場シアターウエストで上演予定。
話題作につき、7月20日(月・祝)には追加公演も決定した。
追加公演のチケットは6月13日(土)から発売される。
(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
公演情報
舞台「障子の国のティンカーベル」
【作】野田秀樹
【演出】マルチェロ・マーニ
【出演】毬谷友子
【パフォーマー】野口卓磨
2015年7月12日(日)~20日(月・祝)/池袋 東京芸術劇場シアターウエスト
追加公演発売 2015年6月13日(土)~
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