こまつ座 待望の新作「戯作者銘々伝」/弾圧に負けず『笑い』を書き抜いた江戸の戯作者たちの物語
こまつ座「戯作者銘々伝」稽古場取材
こまつ座の新作「戯作者銘々伝」の記者懇親会と
公開稽古が行われ、取材陣に一部のシーンが公開された。
こまつ座は1983年に創立。座付作者である井上ひさしに関係する作品のみを
専門的に上演している劇団だ。
今回は井上ひさしの小説「戯作者銘々伝」と「京伝店の烟草入れ」を原案とし、
劇団桟敷童子の東憲司が書き下ろした新作舞台「戯作者銘々伝」として上演する。
ちょうど稽古が佳境に差し掛かってきたという本日、
記者懇親会と公開稽古が行われた。
以下はこれを収録したもの。歌のシーンも少しあり。【動画 4分】
こまつ座「戯作者銘々伝」東憲司
作・演出 東憲司
「原作は小説。小説は振り返って読むことができるんですが、
舞台ではそれができないので、お客さんに伝えるために
それを念頭に置いて書きました。
井上ひさしさんの世界や言葉を失わないように
これは絶対に切れない、これは絶対に入れようと、
自分に思い聞かせながら書きました。
井上さんの全戯曲も読みましたし、過去の作品から息づいている
井上さんのメッセージも盛り込んだつもりでいます。
この戯作者銘々伝のテーマで、
世間の歪みがあれば、我々のうちにそれを正して・・・
というせりふがあるんですけども、
まず、滑稽に笑い飛ばして、そして権力を批判し、
戦っていくというメッセージは
井上ひさしさんの作品に息づいているものだと思います。
物書きの正義、精神というものが脈々と受け継がれているんだと思います。」
こまつ座「戯作者銘々伝」稽古シーン
東憲司
「宮川彬良先生に歌とBGMを作って頂きました。
最初に歌が来た時には ええっ!?と思って、
もう江戸から遠く離れた意表を突く楽しい音楽が来て、
初めて聞いたときは笑っちゃったんですけども、
逆にそれを利用して、音楽とマッチさせた演出を作っています。」
こまつ座「戯作者銘々伝」社長 井上麻矢
こまつ座 代表取締役 井上麻矢
「人間が持っている機微とか笑いとか残酷さとか
そういうものを言葉で表現しようとした人たちのお話で、
言葉が重みを無くしている昨今、言葉で表現した人たちの生き方を
現代の世に問うてみたいという欲求みたいなものはありました。
新たな事をやっていくというのは父(井上ひさし)の
遺言でもあったようなものなので。
父が言うには
やはり演劇というのはコンクリートで作られているものではなくて、
海のようにいろんなところに入り込んで、どんどん広がっていくものだから、と。
演劇というのは時代をはらんでいくものだから、
これにチャレンジしていくというのは、こまつ座の、
というか全ての劇団の使命みたいなものだと思いますので、
なるべく臆せず取り組んでいきたいと思っています。」
江戸時代後期、風俗を乱すとされた劇作は弾圧されたが
筆を折らず『笑い』を書き続けた戯作者たち。
そんな物書きたちの熱い物語を味わう事ができそうだ。
本作は5月24日(日)から新宿南口・紀伊国屋サザンシアターで上演。
その後、兵庫県でも上演される。
(撮影・編集・文:森脇孝/エントレ)
公演情報
こまつ座「戯作者銘々伝」
【原案】井上ひさし
【作・演出】東憲司
【音楽】宮川彬良
【出演】北村有起哉 新妻聖子 玉置玲央 相島一之 阿南健治 山路和弘 西岡徳馬
2015年5月24日(日)~6月14日(日)/新宿南口・紀伊国屋サザンシアター
入場料 8,000円/ 夜チケット 7,500円/ 学生割引 5,500円
その後、兵庫県でも上演。
関連情報
・容疑者は小林一茶? こまつ座の舞台「小林一茶」が開幕/出演は和田正人・石井一孝など
・舞台「木の上の軍隊」/藤原竜也さんのコメント動画が公開
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